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生まれ変わった僕

リシアの小屋で一晩を過ごし、僕は目覚めた。

病院のベッドには嫌気がさしていたのに、ちょっと野宿しただけで、

それより簡素な木製のベッドと硬い布団がこんなにも有り難いなんて、我ながら現金なものだ。


昨日の夜は、どちらがベッドで寝るか床で寝るかでリシアと一悶着あった。

家主であり女の子のリシアを床でなんて寝かせられないという僕に対して、

衰弱している客人を床で寝かすことなど出来ない、というのがリシアの主張だった。


最後は

「貴方様が床で寝るなら、リシアは外で寝かせて頂きます」

というリシアの一言で、僕は黙ったのだった。


当のリシアはもう出かけたのか、既に姿はなく、

綺麗に畳まれた布団だけがベッドの横に置かれていた。


外に出る。

とても綺麗な森だけど、相変わらず生き物の気配はない。


洗濯物を干していたらしいリシアが僕に気が付き、

「おはようございます。昨夜はよく眠れましたか?」

たった数日のことなのに、その言葉が妙に懐かしかった。


朝食を食べ終えて、僕はリシアと今後のことを話し合った。


僕が元の世界に戻ることは、どうやら出来ない。

……というか、リシアにも分からないようだった。


というのも、リシアが行ったのは『転生』召喚であり、

つまりは……。


「僕は死んで、そして、この世界に生まれ変わったってことで良いのかな?」


「残念ながら」


リシアは申し訳なさそうに頷いた。

彼女が悪いわけじゃない。

彼女が僕の魂を召喚してくれなければ、僕はあのまま死んでいたということなのだから。


よしんば元の世界に戻れたとしても、元の世界の僕は死んでいる。

そもそも元の世界にまでリシアの魔法が影響を及ぼせるのかどうかは、彼女にも分からない。


父と母は泣いているだろうか。

姉は怒っているかもしれない。

誰よりも僕を心配してくれていたから。


「ごめんなさい」


小さく口をついた言葉に、僕は嗚咽を止めることができなかった。

けれど、同時に思ってしまう。

これで両親も姉も自由になれるのだと。


願わくば、愚かな僕の死を引きずらないでほしい。

悲しまないでほしい。


どうしようもないほどに愛された僕は、

彼らのそんな愛すらも――拒絶したかった。

どうか、どうか……。

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