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アーシェル街道

アーシェルからリベル・オルムへ向かう街道には、

全部で五つの宿場町がある。


アーシェル近郊は非常に肥沃な大地が広がっており、

大規模な農園や牧場が多い。

さらに、ステム平原のラクナ山地近くでは、

比較的品質の良い扱いやすい素材が採れる。


そのため――


* 農園・農場の護衛

* 採集依頼

* 小規模討伐依頼


こうした仕事が豊富で、

冒険者はまず“アーシェルを目指す”のが定番となっている。


大陸中央部に比べて物価も安い。

だから、引退した冒険者や錬金術師、薬師が多く住み、

安価(とはいえ、一般人からしたら高いが)で質の高いポーションや解毒剤がアーシェルで大量に作られる。


こうした農作物や薬、素材は

まずアーシェル街道の第五宿に集められ、

そこで荷分けされてリベル・オルムやリュミナートの首都ラザリスへ運ばれていく。


この流通事情のため、

第五宿は他の宿場町と比べ“アーシェル寄り”に位置している。


つまり――


アーシェルを出てほんの少し歩けば第五宿があり、

頑張れば一日で第五宿まで辿り着けるほど、

アーシェルから最初の宿場町は間隔が短いのだ。


***


急ぐ旅でもないため、

僕たちは第五宿で宿泊することになった。


比較的安全な街道沿いとはいえ、野宿には一定のリスクがある。

どちらにしても距離的に明日は野宿せざるを得ないし、

旅の進捗次第では明後日もその可能性がある。


「泊まれるときは無理せず泊まったほうがいい」

というのがカイルの主張だった。


第五宿での宿泊は、基本的に問題はなかった……のだが、

ただひとつだけ揉めたことがある。


リシアのためにもう一部屋取るかどうか問題だった。


男二人と同室はまずいんじゃないか、

というカイルのもっともな指摘に対して、

リシアが静かに反発したのだ。


森の小屋で一緒に寝起きしていた僕は、

正直その発想がなかった。


「ユウさんとリシアさんって……やっぱりそういう仲なの?」


と聞いてくるカイルに、

僕は全力で首を横に振った。


リシアは綺麗で優しいけど、

僕なんかがそんな……おこがましい。


「なら、ちゃんとしたほうがいいと思うよ」


というカイルの至極真っ当な意見と、

なぜだか怒気を含んだように見える

リシアの視線が僕に突き刺さる。



結局――


「そんなことを気にし出したら、リシアは野宿もできません。

 二部屋とるなら、カイル様だけ別室でどうぞ」


というリシアの極めて冷静な一言で、その場は収まった。


(リシア、強い……)


***


それから気になったことといえば、

「リシアと同室だと緊張して眠れない」とぼやいていたカイルが、

速攻で寝て朝までぐっすり寝ていたこと。


そして、宿屋に併設された酒場で聞いた噂。


街道沿いの魔物が、最近少し活発になっている――。


それは、本来“初心者向け”であるはずの街道には似つかわしくない、

そんな気がする噂だった。

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