雑文ラノベ「すごく短い異世界恋愛血痕物語 もとい『結婚物語』」
「聖女っ!結婚してくれっ!」
「お断りします。」
「なら、恋人になってっ!」
「嫌です。」
「だったらお友だちからお願いしますっ!」
「間に合ってます。」
「えーっ、じゃあ、とりあえず知りあいでいいや。」
「はぁ~、勇者。とりあえずと言うか、私とあなたは既に知りあいじゃない。なんで今更それをやり直すのよっ!」
「えっ、俺と聖女って既に『尻愛』な仲だったのっ!なんかアブノーマルだなぁ。」
「漢字が違うっ!知りあいよ、し・り・あ・いっ!」
「いや~、そんなに強調されると照れるなぁ。」
「照れるなっ!と言うか、どこに照れる要素があったっ!」
「ふふふ、そうゆう聖女の『ツンドラ』なところも好きだぜっ!」
「ツンドラじゃないっ!ツンデレだっ!いや、私はツンデレじゃないけど、言葉を間違えるなっ!」
「ツンドラってツンと澄ましたドライな子って意味じゃないの?」
「ネットの新語かよっ!そんなの聞いた事ないわっ!」
「ネットと言えば、たまに『www』ってのを見るんだけど、あれってなんなんだろうね?」
「『わーるど・わいど・わーくす』の略よっ!」
「おーっ、外国語だったのかぁ~。俺はてっきり『World Wide Web』の略だとばかり思っていたよ。」
「知ってるなら聞くなっ!」
「なら、これはなんて読むか知ってる?」
『I Love You』
「アイ ラブ ユーでしょっ!」
「へぇ、やっぱり聖女はすごいねぇ。何でも知っているんだな。」
「何でもは知らないわ。あくまで知っている事だけよ。」
「なら、『I Love You』の意味は?」
「あなたを愛してます。ね。」
「いや~、聖女から告白されちゃったよっ!うん、俺も聖女の事が大好きだよっ!だから結婚しようねっ!」
「引っ掛けかいっ!」
その後、結局聖女と勇者は結婚した。何故ならば勇者が聖女の言葉をボイスレコーダーで録音していたからだ。
勇者はその音声を証拠として教会に提出し、結婚届を受理させてしまったのである。
もっともこの強引な手段は後々まで響き、その後勇者は家庭内で聖女の尻に敷かれる事になるのだった。
まぁ、とは言え、これも『尻』が取り持った『愛』のひとつなのかも知れない。
因みに結婚の婚の字は『女』と『昏』という文字の組み合わせだが、『昏』という文字には『日が沈んで暗くなる。夕暮れ。』という意味があり、昔は結婚式が日暮れに行なわれていた事に由来するらしいです。
そして『男』ではなく『女』という文字がついているのは、これもまた昔は女性が男性の『家』へ『嫁入り』するという考えから当てられたそうな。
まぁ、このように文字というものは色々こじつけがあるのである。なので将来的には『尻愛』が男女の親しい間柄を表す漢字になる可能性も・・、ないな。うん、絶対無い。
-お後がよろしいようで。-