【バンダナコミック01】機巧機兵シャーリー【応募作品】
「こらっ! シャーリー! 何度言ったら料理のやり方を覚えるんだい!」
「スイマセン……。アンナサン……」
地下にあるシェルターハウスのキッチンで、メイド服を着た美少女型ロボットが初老の女性に謝っていました。
傍のコンロにはフライパンの中に黒焦げになった料理が。とても食べられたものではありません。
ロボットのの名前はシャーリー。市場で初老の女性アンナの夫、ジェイスがジャンク市場から買ってきた中古のロボットです。
金髪に青い目で、整った顔の人間大の美少女人形のような姿のシャーリーの腕は、人間の腕ではなく、義手にも似た、機械のそれでした。
「全くもう……。私が作っておくわ」
アンナは冷蔵庫から食材を出すと、慣れた手つきで料理を作り始めました。
「ジェイスさん。こんなポンコツ、なんで買ってきたんですか」
「すまんのう」
彼女の愚痴に居間の方から声が飛んできました。夫のジェイスです。
「わしが間違えて元軍用の戦闘用ロボットを買ってきたばかりに……」
「もうこの会話も何度目でしょうかね。このロボットはいつもいつも失敗ばかりで」
「スイマセン……」
シャーリーはもう一度謝りながら、黒焦げになった料理の後片付けを始めました。
シャーリーはもともと軍事用に作られたヒューマノイドロボットでした。
先の第四次世界大戦のあと、必要とされなくなった戦闘用ヒューマノイド達の多くは中古市場に払い下げられ、第二の人生を送り始めたのでしたが。
家庭用のプログラムをインストールしても不具合を起こすことが多く、家庭用としては不適合なことが多かったのです。
そんな事もつゆ知らず、ジェイスさんは住んでいるシェルターから少し離れたところにある町のジャンク市場でシャーリーさんを買ったのです。
お陰で、炊事洗濯掃除と様々な家事で失敗をいつもする彼女に、アンナもジェイスも世話を焼いていましたが。
その生活は、二人のときよりも賑やかで、どこか楽しそうでした。
「シャーリー。ご飯が終わったら、洗濯物を干しておいてね。ちゃんとシワを伸ばしておくんだよ」
「ハイ、ワカリマシタ。アンナサン」
「と言ってもまた忘れてしまうんだから……。困ったものね、この子は」
「ハイ、スイマセン」
そんな風に、平和な日々は過ぎてゆきました。
けれども。その平和は長くは続きませんでした。
*
荒野を、百台はあろうかという車やバイクなどが土煙を上げながら走っていました。
彼らはいかにも坊主頭にトゲの付いた革ジャンなど、極悪そうな風貌に、銃や棍棒などの武器を手にしていました。
ピックアップトラックの中には牢屋が載せられ、そこに女子供が閉じ込められていたりいました。
他の車には体を紐でくくりつけた男達を引きずっている車もありました。
檻に閉じ込められた女子どもたちは一様に、
「助けてー!」
「誰か、ここから出してー!」
「おとーさーん!」
などと声を上げ、泣き叫んでいました。
彼らはレイダー《略奪者》。第四次世界大戦で荒廃した世界の中で、略奪や破壊などを繰り返しながら生きている荒くれ者達の事です。
今もつい先程、シャーリー達の住むシェルター村の近くの街を略奪し、破壊し尽くしていました。
車列の先頭を行く大きな車の車上で、一段と凶悪そうな表情と図体を持っていた男が、遥か遠くを見ていました。
彼こそが、このレイダー達の首領です。
彼は遠くを見ながら何事か考えていましたが、やがて近くにいた部下にこう質問しました。
「おいっ! この近くにシェルター村かなにかがあったよな!?」
「はいっ! 個人用のシェルターがいくつか集まっている村があるでやんす! ここには小さいながらも油田があるようでやんす!」
「そうか……」
首領は考え込む様子を見せました。そして、部下に向かって、鼓舞するような声で命令しました。
「おいっ! 進路変更! シェルター村へ向かうぞ! 飯とオイルをたんまり貰いに行くぞ!!」
「はっ、はいでやんす!」
その声と同時に、車列は統率された動物の群れのように走りながら向きを変え、荒野のとある一点を目指し始めました。
シャーリー達の住む、シェルター村へと。
*
「何っ、ここにレイダー達が近づいてきているとな?」
「はい。近くの街が襲われて、生き残った人達がここに逃げ込んできて……」
シャーリー達のシェルターに、近所のシェルターの住人がそう知らせてくれたのは、それから少し後のことでした。
「これはいかん。武器を探してこないと……」
「レイダーですって!? ま、まあ、どどどどうしましょう!?」
武器を探しに倉庫に向かったジェイスさんに、ただオロオロし、震えるだけのアンナさん。
シェルター村の人達も、家に出入りしてはレイダー達への対応策を話し合っていますが。
一応に、落ち着かない感じです。
人々が右往左往する中、シャーリーはただその様子を眺めている様子でしたが。
やがて、一つコクリと決心したように頷くと。
身にまとっていたメイド服を、脱ぎ始めました。
それを見たアンナさんはびっくりして、
「な、なにをしているんだいシャーリー!? ついに壊れちゃったのかい!?」
そう問いかけました。
メイド服を脱いだシャーリー。その姿は、顔以外は全身銀色のチタンボディに覆われていました。
その姿はシャーリーが本来何のために作られたのかを示していました。
シャーリーはアンナさんに向かって優しく微笑むと、安心させるような、人間そのものの声色でこう答えました。
「アンナさん。いよいよ私の本来の性能を発揮する時が来ました」
そして、もう一度微笑み、更に言いました。
「私がそのレイダー達をやっつけます」
シャーリーの声はいつもより、滑らかに、人間のそれになっていました。
「では、行ってきます」
彼女がそう言い終えると、ポンコツヒューマノイドはシェルターの出口へと向かいました。
「しゃ、シャーリー!?」
そう言いすがるアンナさんでしたが。
彼女の声を振り払うように、シャーリーは出口から外へと出てゆきました。
アンナさんは後を追いました。
が、突然シャーリーは背中や足からジェット噴射を吐き出すと、轟音を立てて空へと飛んでいってしまいました。
その背中には、決意の姿が表れていました。
シャーリーはあっという間に空高く飛んでいくと、小さな光となって消えていきました。
「シャーリー……」
その場に取り残されたアンナさんは、寂しくそうつぶやき、ただ出口の方を見つめるしかありませんでした。
*
シャーリーは全身のジェットエンジンで空を飛びながら、大地を視覚センサーやレーダーなどで走査していました。
すると、大地を土煙を上げて走る車やバイクの群れを見つけました。
「あれがレイダーですか」
シャーリーは視覚を拡大してさらにレイダー達を分析しました。
その結果、戦力は人数は百名程度、車・バイクを中心に、装甲車一、二台は保有しているようです。
恐ろしい戦力です。
それでも。
シャーリーは、
「私単機でも、対処は可能ですね」
と、静かにうなづきました。
その時です。
大きなトラックの荷台に、牢屋のかごがあり、その中に何十人もの女性や子どもたちが閉じ込められているのを確認しました。
人質です。
「人間の感情で言うなら、『厄介』ですね」
シャーリーはそう判断しました。
「でも、あの兵装があるなら対処は可能でしょう」
そう判断すると、シャーリーは、自分の並走チェックを始めました。
「腕部パルスレーザー、問題なし、腕部マイクロミサイル、問題なし、腕部ソードシステム、問題なし。肩部レーザー、問題なし。……ナノマシン生産展開システム、問題なし」
すべてのチェックを終えると、シャーリーはこくり、と一つ力強くうなづきました。
「では、作戦開始です」
そうつぶやくと、シャーリーはジェットエンジンを噴射させ、眼下で走っているレイダー達の群れへ向けて急降下していきました。
*
一方。
レイダー達はシェルター村へ向かって集団で車やバイクなどを走らせていました。
「さってあそこではどんないいおなごがいるかなーっ? ……?」
一人の荒くれ者が空に光るものを見つけました。
その光るものは、どんどんこちらに近づいてきます。
「なんだあありゃ?」
そう言って荒くれ者は双眼鏡を手にして見ようとしたその時です。
バビュンっ!
そのなにかから光が発せられました。
その光は集団の前方を走っていた装甲車の一台に直撃しました。
ボカン!
装甲車が爆発し、炎と煙、そして爆発を吹き出しました。
装甲車は象に押し倒されたように横倒しになり、動かなくなりましたあ。
壊れた装甲車をよけようと、レイダーの車やバイクが大きく左右に動いたり止まったりしますが、交わしきれずにぶつかったり、他の車やバイクにぶつかったりしたりします。
「なんだ!?」
「装甲車が!」
レイダー達は大混乱に陥っていました。
その時さらにキラキラしたものがそれから降ってきました。
そのキラキラしたものが、バイクに乗っていたり車から出たりした荒くれ者達の体にかかります。
レイダー達はそのキラキラしたものに、一様に「?」という反応を見せました。
「なんだこりゃ?」
「雪か?」
彼らが見合わせた時、空を飛んできたなにかが戻ってきました。
そして、そのなにかはもう一度光を放ちました。
ビシュッ! ビシュッ!
その連続した光は残っていたもう一台の装甲車を貫き、吹き飛ばし、数台の車やバイクなどを吹き飛ばして炎上させました。
その時はもう、荒くれ者たちは「それ」を明確に「敵」だと判断してしました。
「なんだコイツはぁ……!?」
「仲間を殺った以上、落とし前つけてもらわんとなあ……!」
爆発の後。煙が晴れた後に空中に浮かんでいたのは。
長い金髪に青い目、顔は白い肌に、銀色に輝くボディを持った美少女型の、ロボットでした。
レイダー達は一瞬怯みました。強そう、だからではなく、少女のかたちを取っていたからです。
大人の一般兵よりも少年少女兵うを撃つときのほうが、一瞬ためらいが生じる。そういうデータは、二〇〇〇年代の先進国の軍隊では既に有していました。
「これはなんですか親分!?」
部下の一人が放った問いに、眼帯を掛けたレイダーのリーダーはどなるように答えました。
「こいつは先の戦争で国が使ってた戦闘用ヒューマノイドだ!」
「なんでこんなところに!?」
「知るかボケェ! とっとと殺るぞ!」
「は、はいっ!」
レイダー達は一斉に銃やロケットランチャーなどを構え、彼女に向かって乱射します!
しかし。
シャーリーは空を飛んで銃弾を素早く易易と回避します。
当たりそうになっても、彼女の体の近くが突然光り輝いて、銃弾が突然止まり、そのまま地面へと落ちていきます。
「チッ! 電磁バリアか!」
レイダーの一人が歯噛みします。
「普通の銃弾は私には通用しませんよ」
そう言いながらシャーリーは即座に反撃します。
彼女の手のひらからビームを撃つと、次々とレイダー達が弾け飛んでいきます。
「ぐうわああっ!」
「うううぎゃあっ!」
そんなシャーリーに向かってレイダーの鉄板をつけて増加装甲とした車が突っ込んできます!
「!」
シャーリーはジェットエンジンをふかして回避すると、腕を車の方へと向けました。
すると、ガントレットが割れ、中からマイクロミサイルが飛び出しました。
シャーリーはそのままミサイルを発射!
マイクロミサイルは即座に車に命中し、爆発が起き、軽々と空に舞い上がり、地面へと叩きつけられました。
「一台撃破」
小さくうなづいたシャーリーでしたが、そこに荷台にレイダーたちが載ったトラックが突っ込んできました!
荷台に載ったレイダーは飛んでいるシャーリーに飛びかかります!
「もらったぁ!」
しかし、シャーリーは冷静に回避すると。
手甲から二〇センチぐらいの剣を出し、それを一振りします。
「ぐはぁっ!」
飛びかかったレイダーの体は寸断され、地面に落ちていきました。
さらにシャーリーは振り向き様に、もう一方の手でビームを発射。トラックを吹き飛ばしました。
そのトラックを撃破したシャーリーを、車やトラックなどから降りた荒くれ者たちが銃で狙いをつけて撃ちます!
「舐めんじゃねえぞこのアマ!」
シャーリーはナノマシンシールドで銃弾をあっさり防ぐと、両肩のレーザー砲を展開しました。
そして、扇状にレーザーを発射します。
すると、見えない光線が周囲に向かって放たれ、レイダー達の腕や胴体などを寸断していきました。
「ぎゃあ!」
「ぐぎゃあ!!」
シャーリーとの戦闘で、レイダー達の数も随分減っていました。
「残り数十人と言ったところですか」
シャーリーは確認すると、レイダーの車に向かってビームを発射しようとしました。
そのときです!
「ちょっと待ったぁ! そこのロボットさんよ! これが見えないのかぁ!」
シャーリーが振り向くと。
そこには、レイダー達のボスが、彼の部下と一緒にいました。
それだけではありません。
いつの間にか、牢に閉じ込められていた町の生き残りである女子どもたちが、牢から出され、レイダー達に銃を突きつけられているではありませんか!
レイダー達のボスは顔をニヤつかせながら言いました。
「コイツラがどうにかなってもいいのかぁ!? ほら、ここに降り立って武装を解除しろ」
「ロボットさああん!」
「わたしたちはいいから、こいつらをやっつけて!」
シャーリーは無表情で彼らを見据えると、ジェット噴射を弱くして地面に降り立ち、そのままうつ伏せになりました。
それを確認すると、レイダー達はシャーリーを取り囲み、銃を構えました。
ボスのニヤつきが大きくなります。
「フフフ……。これだけ強ければ俺達の仲間にしてやってもいいんだが、これだけ可愛い部下を殺られてなぁ……。野郎ども、こいつをバラバラにしろ!」
「ヘイッ!」
そう言うとレイダー達の生き残りは一斉に銃の引き金を引こうとしました。
その時です!
シャーリーが、一言つぶやきました。
「サイ・クラッシュ」
と。
その瞬間!
空中に浮かんでいたナノマシンから無数の電光が飛び、レイダー達のボスや部下たちの頭に突き刺さります。
「ぐぎゃああああああああ!!」
「ぐああああああああああ!!」
「ぐはあああああああああ!!」
レイダー達は一斉に銃を取り落とすと口から血を吐き、頭をかきむしって倒れ、そのまま悶えていましたが。
やがて、皆動かなくなりました。
サイ・クラッシュ。それは、脳に浸透したナノマシンで脳を破壊する恐るべき兵器です。
対象を選択して攻撃できるので、この様に人質を取られたときなどに有効な兵器なのです。
生体バイオセンサーで周囲のレイダーたちが皆死んだのを確認すると、立ち上がり、
「これで、作戦完了ですね。予想よりは早かったですか」
そう言うと、辺りを見回しました。
周りには燃え盛るトラックや車、乗り捨てられたバイクが主人を失った姿で放置されていました。
そしてただただ荒野の風が吹くばかりでした。
その周囲にはレイダー達の死体。まるで、戦争のあとのように。
そして、シャーリーとレイダー達の捕虜だった女子どもたち。
彼彼女らはしばらく無言でしたが。
ぼろぼろの服を着た子供の一人がシャーリーに走り寄って近づくと、
「……、あ、ありがとう!」
そう言って小さくお辞儀をしました。
その言葉をきっかけに、あとから駆け寄ってきた母親らしき女性がシャーリーに向かって、
「あ、あのお名前は!?」
そう問いかけました。
シャーリーは、年頃の少女が見せるような可憐な笑顔を見せると、
「……シャーリー」
と答えました。
その時です。
シャーリーの目から光が消え、そのまま動かなくなると、いきなり地面へと倒れました。
「シ、シャーリーさん!? 大丈夫ですか!?」
母親がシャーリーに駆け寄って声を掛けましたが、シャーリーは、そのままピクリとも動ごこうとしませんでした……。
*
シャーリーが次に再起動したとき、いつも聞く声が聞こえてきました。
「シャーリーや、大丈夫かい……?」
それはオーナーであるジェイスさんの声でした。
シャーリーが光学センサーの機能を回復させると、そこにはジェイスさんの心配そうな表情がありました。
「マスターデスカ? ワタシハ……」
彼女は自律チェックプログラムを走らせると、こう返しました。
「大丈夫、デス」
「それは良かったわい」
ジェイスさんはホッとした顔を見せると、
「さっ、立ち上がれるかのう」
そう言ってシャーリーを起き上がらせました。
そこは、先程戦闘があった荒野でした。
しかし、レイダーは全滅させたはずなのに、なぜか活気があります。
シャーリーが見渡すと、彼彼女らは、シェルター村の人々でした。
彼らはレイダー達の車やトラックの中で、残っているものを動かしたり、武器などを回収していました。
もちろん、レイダー達の死体も袋に入れて回収しています。
「アレカラドウシタノデスカ」
「お前がレイダーをやっつけたあと、儂らは押取り刀で駆けつけたんじゃ。そうしたらこの有り様でな」
ジェイスさんは苦笑いで答えました。
シャーリーも笑顔を返しました。プログラムとして。
その中で、彼女は優先事項として気になったことをおじいさんに問いました。
「アノ、アノ人質達ハ?」
「しばらくシェルター村で過ごすことになったよ。また新しく住む場所を見つけるまではな」
「ソウデスカ、ヨカッタデス」
シャーリーはホッとした仕草を見せました。
ジェイスさんは辺りをもう一度見渡すとシャーリーに向かって言いました。
「しかし、お前がこんなときに役立つとは思わんかったわ。あの時お前を買って良かったよ。シャーリー」
その言葉に、シャーリーはジェイスさんに向かって真顔で敬礼し、今度ははっきりとした人間の発音で、言いました。
「はい、ありがとうございます。オフィサー。これが私の本来の役目なので」
ジェイスさんは彼女の動作と言葉に一瞬ぎょっとしましたが、すぐに笑顔になると、
「さ、さて、帰るかの。婆さんが待っとるでよ」
そう言って、自分の車の方へとゆっくりとした足取りで歩き始めました。
彼の言葉に、敬礼を解いたシャーリーは、
「ハイ、マスター」
またいつもの調子に戻ると、ジェイスさんの後を追って歩き始めました。
二人を、赤い太陽が見守っていました。
*
翌日。
「シャーリー! また料理が黒焦げになっているわよ!」
「スイマセン……。アンナサン……」
キッチンで、メイド服を着ていたシャーリーがアンナさんに謝っていました。
傍のコンロにはフライパンの中に黒焦げになった料理が。とても食べられたものではありません。
それでも。
アンナさんは優しい顔でシャーリーに向かってこう言いました。
「いいのよシャーリー。また作ればいいんだからね。今度は私も手伝うから」
そう言いながら、アンナさんは冷蔵庫から食材を取り出すと、台所に立ち、料理を作り始めました。
その姿を見て、シャーリーは、
「ハ、ハイ」
そう頷くと、アンナさんの隣に立ち、一緒に料理を作り始めました。
二人の様子を、ジェイスさんは少し離れたところから楽しそうに眺めていました。
そして、一言つぶやきました。
「決して役に立たなくても、儂はこれがいいんじゃよ……」
と。
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