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領地のすべてをゴーレムで自動化した俺、サボっていると言われて追放されたので魔境をチート技術で開拓します!  作者: キミマロ


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第115話 久々の魔導王国

「ここに来るのも久しぶりだな」


 飛行船に乗って、まっすぐ北西に進むこと半日足らず。

 前方に途方もなく巨大な樹が見えてきた。

 魔導王国の中心に聳える聖樹だ。

 陸を進んだならば、俊足を誇るスレイプニル型でも丸一日はかかる道のりだ。

 流石、空の旅は実に早い。


「エルフたちからうまく情報を得られれば良いのですが」

「それについては、日頃から取引しているサルマトさんの手腕を信頼しよう」


 俺はそういうと、後ろに控えているサルマトさんへと目をやった。

 商人として働いてもらっている彼には、何度もエルフたちとの取引を任せている。

 大きな取引をするうちにパイプもできていると言っていたし、ここは彼を信じるしかないだろう。


「しかし、あのエルフたちが口を割るかどうか」


 エリスさんがうーんと渋い顔をする。

 俺たちがここまでやってきたのは、王という存在に関する情報を得るためだった。

 しかし、王に関することは彼らにとってかなり慎重に扱われるべき情報らしい。

 街へやってきたエルフたちに調査をしても何も情報が得られなかった。

 そのためツヴァイとともに聞き込みを担当したエリスさんは、どうにも嫌な気がしているようだ。


「だからこそ、本国へ出向くのです。エルフの中でも地位のある者ならば、自身の裁量で話せることがあるかもしれません」

「それはそうだけど、リスクもあるわね。もし王の情報が国の禁忌だったりしたら、一気に関係が悪化するかもしれないわ」

「安全策ばかりでは何も進展はありますまい。我々の街の中に王を抱え込むことになったのです、多少はリスクをとるべきです」


 エリスさんとサルマトさんが、軽く言い争いをする。

 うーん、二人の意見はどちらもわかるが俺はサルマトさん寄りだな。

 豚人王という存在を何も知らないまま抱えている方が危険だろう。

 街で何かが起きてからでは、遅いのだ。

 

「ひとまず、このあたりで着陸できる場所を探しましょう。国へ近づきすぎるのも危険かと」

「そうだね。白骨沼と平原の間ぐらいで……んん?」


 着陸場所を探して、少しずつ飛行船が高度を下げ始めた時だった。

 聖樹の樹冠にきらりと光る何かが見えた。

 ――あれはいったい、なんだ?

 ほんの一瞬見えただけだが、妙に興味をひかれた俺はすぐさまマキナに尋ねる。


「マキナ、あそこで何か光ったよな?」

「はい。一瞬でしたが、青い光が見えましたね」

「ちょっと近づけるか?」

「やってみましょう」


 マキナはそういうと、舵を操作して飛行船の高度を上げ始めた。

 どうやら、出来るだけ上空から怪しまれないように接近するつもりらしい。

 するとここで、エリスさんが急いで呪文を唱え始める。


「豊穣をもたらす雨雲よ、天を隠し、我が姿をも隠したまえ……」


 やがてエリスさんの握る杖から、勢いよく煙が噴き出した。

 いや、煙ではなく霧というべきだろうか。

 それらはたちまち空気中へと広がっていき、雲のような様相を呈していく。

 飛行船の船体がたちまちその中へすっぽりと覆い隠された。

 なるほど、目隠しというわけだ。


「これで多少はマシになったはずよ」

「流石は賢者様、凄い魔法ですね!」

「ま、当然でしょ」


 得意げに胸を張るエリスさん。

 そうしているうちに、飛行船はいよいよ聖樹の上空へと差し掛かった。

 上から見ると、大きく広がった枝葉はまるで緑の島が浮いているかのよう。

 そのあまりの大きさに、はるか上空から見下ろしているというのに距離感が狂ってきてしまう。

 

「まただ!」

「……今のははっきり見えましたな」


 再び、青い光が見えた。

 先ほどまでよりも距離が近いこともあり、今度はかなりはっきりとしていた。

 青白いその輝きはどこか人工的で、強い魔力を感じさせる。


「あの明滅パターンは、魔法陣に独特の――」

「……!」


 エリスさんが何事か言いかけたところで、マキナがいきなり舵を切った。

 船体が急に揺れて、たちまちバランスを崩してしまう。

 甲板の端の方にいたサルマトさんなど、危うく船縁から落ちそうになった。

 

「マキナ、何を……うわっ!?」

「あれは……!」


 いきなり、どこからか白い光線が発せられた。

 轟音とともに彼方へと向かっていったそれからは、ただならぬ力を感じられる。

 なるほど、マキナはこれを回避するために急旋回したのか!

 俺が感心しているうちに、再び光線が飛んでくる。

 いやこれは……光線なんかじゃないぞ……!

 先ほどよりも近くを通った光線の中に、細い棒状のものが見えた。

 矢だ。

 信じがたいが、光線の正体は膨大な魔力を秘めた矢のようだ。


「いったん距離をとって、着陸します」


 プロペラが激しく回転し、蒸気が唸る。

 魔法陣も激しく明滅し、飛行船が一気に後退を始めた。

 大きく迫っていた聖樹がたちまち遠ざかり、それに伴って青い光も見えなくなる。


「……追撃は無いようね」

「一定の範囲に近づいた者だけを攻撃する仕組みでしょうか?」

「いずれにしても、恐ろしい魔力だったわ。あんな矢を撃てる存在がいるなんて、信じられない」

「エルフもまだ底が知れないようです。まだまだ警戒をする必要があるでしょう」


 マキナがそういったところで、飛行船が急速に高度を下げ始めた。

 そして当初の予定通り、白骨沼と平原の間のあたりに着陸する。

 やれやれ、一時はどうなることかと思ったが……。

 ひとまずはどうにかなったな、特に追撃をしてくる様子もない。


「私は先に行って参ります。皆様はここで少しお待ちを」

「一人で大丈夫ですか?」

「ええ、この国にも慣れましたので」


 サルマトさんが一人で飛行船を降り、魔導王国へと向かっていった。

 流石は元冒険者だけあって、大した覚悟である。

 こうして俺たちが飛行船内でしばし待機していると、やがて数台の馬車がやってくる。


「お待たせしました」

「あ、ルーファムさん!」


 やがてやってきた馬車には、以前であったエルフの商人が乗っていた。

 彼は飛行船を見て目を丸くしながらも、こっちこっちとばかりに手を振る。

 よしよし、これで無事に魔導王国へと入れそうだ。

 安堵した俺たちは、そのまま船を降りて馬車へと向かうのだった――。

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