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領地のすべてをゴーレムで自動化した俺、サボっていると言われて追放されたので魔境をチート技術で開拓します!  作者: キミマロ


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第112話 街の秘密

「街をもう一つ?」


 俺がそう問いかけると、ロンさんはゆっくりと頷きを返した。

 彼はそのまま、朗々とした口調で語りだす。


「混ぜると問題が起きるならば、混ぜなければ良い。実に単純な発想です」

「けど、その理屈だとまた新たな種族が来た時に街を分けないといけなくなるんじゃないか? それはさすがに非効率だと思うけど」


 このサリエル大樹海には実に様々な種族が住んでいる。

 イスヴァールの街にも、いずれさらに多くの種族が住むことになるだろう。

 種族ごとに街を分けていては、そのうち細切れになってしまうのではなかろうか。

 

「そこまで厳密に分けていく必要はないでしょう。ざっくりと、新しい移民と元からの住民で分けるぐらいでいいのではないでしょうか」

「なるほど、そうすればトラブルは減るでしょうね。街への侵入工作とかも防げそうだし」


 ここでエリスさんが、ロンさんのアイデアにほうほうと頷いた。

 ほかの面々も、特に反対するような素振りは見られない。

 エリスさんが指摘した通り、街の防衛といった面でもメリットは大きそうだ。

 

『私からも一つ。街同士で争いがおこる可能性があります』


 水晶玉を通じて、マキナも意見を出してきた。

 そこは確かに重要なポイントだな。

 新しい移民の街と元の住民の街とで揉め事が起きる可能性は高い。

 俺がかつて治めていたアルファドの街でも、職人街の住民とそのほかの住民でたびたび争いが起きていた。

 職人街は煙を出すから、それを巡ってあれこれあったんだよね。

 するとマキナの言葉を聞いたロンさんは、問題ないとばかりに言う。


「それについては、自治がうまく機能すれば代表者の話し合いで解決できます」

『……自身の権利拡大が狙いですか』


 マキナの口調がにわかに鋭さを増した。

 現状、移民たちの代表はロンさんである。

 新しくできる街の自治が認められれば、彼の代表としての権利は今までとは比べ物にならないぐらい大きくなるはずだ。

 ……もしや、新しい街を足掛かりに独立でも狙っているのか?

 ロンさんの目の奥に、かすかにだが野心が見える。

 しかし、彼は落ち着いた様子で言う。


「彼らに王がいる以上、私が代表になることはないでしょう」

「……本当にそうですか?」

「もちろんです」


 わざとらしいぐらいに穏やかな口調でロンさんは言い切った。

 その笑顔の下に、いったい何が隠されているのか。

 俺は不穏なものを感じたが、ここで豚人王が待ちきれないとばかりに吠える。

 ……そういえば、だいぶ待たせてしまっていたな。


『どうなっているのだ。早く結論を言え!』

「……わかりました。結論から言うと、我々はあなた方を受け入れることにします。ただし、この街ではなく新しい街で」

『新しい街と言われても、それができるまでの間はどうするんだ。我々は今、行き場を失っているのだぞ!』


 豚人王に合わせるように、オークたちが騒ぎだした。

 千人近いオークが口々に声を上げて、たちまち猛烈な騒音が襲い掛かってくる。

 くっそ、物理的に圧をかけてきたな……!

 俺たちはその威圧的な声に、たまらず耳をふさいだ。

 もともと声の大きい種族なのか、もはや音というよりも衝撃波のようだ。

 するとここで――。


『図々しい!』


 荒れ狂う騒音の中、マキナの声が異常なほどはっきりと聞こえた。

 それと同時にあれほどうるさかったオークたちが口を閉じる。

 拳を振り上げ、雄叫びを上げていた豚人王までもが即座に沈黙した。

 抗いがたいほどの静寂。

 異様な空気が周囲を包んだところで、マキナが言う。


『あなた方は保護される立場なのです。わきまえなさい』

『……我は王ぞ』

『落人の首領でしょう』

『ぐぐぐ……!』


 痛いところを突かれて、またしても言い返せない豚人王。

 その顔をまっすぐに見据えながら、マキナは言う。


『新しい街についてですが、すぐに用意しましょう。ヴィクトル様、よろしいでしょうか?』

「かまわないが……」


 いくらゴーレムたちの生産能力が凄まじいとはいえ、街である。

 俺たち数名が暮らす拠点を作った時とはわけが違う。

 俺としては、オークたちにはテントか何かで当面の間は暮らしてもらうつもりだったのだが……。

 マキナの表情は、何やら確固たる自信を秘めているようだった。


『すぐにできます。お任せを』

「わかった、ならやってくれ」


 俺がそういうと、マキナはさっと手を挙げた。

 はてさて、いったい何が起きるのだろうか。

 俺たちが様子を見守っていると、何やら地鳴りのようなものがし始める。


「うお、地震か!?」

「街が揺れている!?」

「違う、この城壁が揺れてるんだ!」


 俺たちの立っている城壁。

 街をぐるりと囲んでいるその一角が、にわかに動き始めた。

 ザラザラと重々しい音を立てながら壁の一部が地下へと沈み込み、代わりにぽっかりと大きな穴が現れる。

 いったいいつの間に、こんな大掛かりな仕掛けを作っていたのか。

 俺が呆れる間もなく、やがて穴から次々とゴーレムたちが姿を現す。


『ブ、ブモオオオォ!?』


 オークたちよりもさらに一回り以上も巨大なゴーレムたち。

 壁の下から次々と姿を現した彼らに、たちまち豚人王は腰を抜かすのだった――。

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