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9 ガラスを割れ!


「皆さま、叱咤激励のコメントの数々、ありがとうございましたー! さあ、いよいよ、飛び降りたいと思います!今まで応援してくれてありがとう!」

打ち切りマンガの最終ページのコメントみたいな事を言いつつ、スマホをセットし直し、いよいよ飛び降りようと柵に向かう男の子。

「ちょっと待ったー!!」

 90年代の恋愛バラエティ番組みたいな勢いで、男の子の前に飛び出すわたし。

「あ、あなたはさっきの、、、と、止めないでくださいっ!!ボクは今から死ぬんです!止めてもムダですよ!ボクの決意は固いんです!」

 おまえ、わたしの買った『人間失格』持ってったやろ!かえせや!と言いたかったけど、さすがにそれどころじゃない。


 10分。

 

 10分だ。とにかく、10分間はわたしが説得して、この子が飛び降りるのを死守しなければいけない。自殺するのを死守するって、日本語としてなんか変な気がするけど、まあいいや。


 頭に被った黒のクロッシェを放り投げる。

 クロッシェは風に乗って、ひらひらと何処かへと飛んでいった。どこまでも飛んでいけ!

 変装用のメガネを、掴み取り、足元に置き、それを勢いよく踏み潰した。

 ちょっともったいなかったけど、これから一世一代の大芝居が始まるんだ。これは、わたしの矮小な心を粉々に踏み潰すための儀式だ。


「あ、あ、あなたは、、、なんか見たことがあります!……誰だっけ?」


「……クソがーーッ!!」

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