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プロローグ

※プロローグ。



 リヴァイユ王国――…。

 大陸一の大国であり、自然豊かに竜に愛された国である。


 古に竜と婚姻したといわれ、その血には竜の血が混ざるドラゴニュート。

 そのドラゴニュートの王族が代々治めてきたリヴァイユ王国では、人々の生活に竜が欠かせない存在となっている。

 中央に王族が住む城があり、それを取り囲むように貴族達の屋敷が立ち並ぶ。

 そして、中壁を跨いで一般庶民が暮らしていた。


 そんなリヴァイユ王国、王都の中に大きな牧場があった。

 王都内の敷地面積約1割を占める広大な牧場で、食肉用の牛や鶏、羊、それらの副産物、加工品。

 さらに、野菜や果物などなど、色んな物が育てられている。

 牧場は、老齢の牧場主ロンと、その孫娘のカルヴィーの二人で経営されていた。


 ちなみに、私がその“カルヴィー”なのである。


 深い群青色の髪を見て何故この色なのかと鏡にツッコミを入れたのは記憶に新しい。

 眼の色は至って普通の茶色だったから良かったものの、畑に居ると非常に目立つ髪色に溜息が漏れたものだ。

 それでも髪型は背中ほどまでの緩いふんわりとしたヘアーだったので良しとする。

 下手に有りがちな縦ロールとかでなくて良かったと心底思った。


 此処まで簡単に説明してきたが、私が“私”としての記憶を取り戻したのはつい先月の事。

 私には、所謂“前世”の記憶がある。

 元々は立派に成人したアラサー女子だったのだが、通勤中の不運な玉突き事故に巻き込まれてあえなく死亡。

 気づけば病院のベッドの上だったと言うわけだ。

 何故かと言うと、どうやら私が気付く前に“カルヴィー”も災難な事故にあったようで、怪我は軽症だったものの高熱に魘されて漸く目が覚めたら“私”の記憶も戻っていたと言うわけだ。

 しかも、一緒に事故に遭った両親は私を守るようにして落石の下敷きになっていたのだとか。

 両親の記憶は殆ど無い為、さほど悲しいという感情が無いのが救いか。

 祖父であるロンが傍に居たというのも大きいかもしれない。


 おまけにこの世界、実は魔法という概念が存在するファンタジーな異世界だった。


 その為、怪我も治癒魔法であっという間に治されたし、街中は竜が沢山。

 前世で不運な事故で死に、この世界では何とか一命を取り留めた。

 だからこそ、運命と思ってこの世界で生きて行こうと思った。

 とはいえ。


「……何で名前が“カルヴィー”とか、美味そうな名前なのかな…!」


 広大な畑の一角で、毎日生える雑草を抜きつつ、思い出したように愚痴を零す。

 こういった異世界に転生するような話は、現代では本やゲームで多数存在した。

 私も結構好きだったし、漫画とかはよく読んでたけど、大抵転生先の名前って可愛い感じの名前だったと思う。

 にも拘らず、何ゆえ、“カルヴィー”なのか。

 最初は慣れなかったが、記憶が戻ってひと月、漸く慣れてきた。


 しかも、私が居るこの牧場。

 結構大きいのだが、知れば知るほど“牧場シミュレーションゲーム”によく似ている。

 牛や鶏、羊を育てたり、野菜などを育てて出荷したり。

 確かに好きだったし、最初はワクワクしたけれど。

 何かが違う。

 というのも、通常“牧場シミュレーションゲーム”の世界観はいたって普通なのだ。

 しかし、この世界、最初にも記述した通り、竜が兎に角多い国で。

 祖父の話によれば、国が管理する軍もあるようだし、冒険者が多数存在するギルドもあるようだ。

 つまり、“RPG”要素ももれなく付いてきてしまったということだろう。

 だが、一先ず牧場メインで行動していれば危ない事はない、と思う。


「こういうのに良く有りがちな死亡フラグとかは立てたくないしね…」


 何が気がかりかというと、つまりそういうことだ。

 割かし安全な現代日本と違って、こういう異世界だとどうしても安全面が不安になってくる。

 しかし、牧場という危ない事から比較的は慣れた場所に居さえすれば死亡フラグなんてものは立たないはずだ。

 だから祖父の後をしっかり継げるように牧場の仕事に従事していこう、そんな決意をした時。

 新たな出会いが起こったわけだ。



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