3話 柚との再会
八神進学予備校、進学塾も兼ねているので、現役の高校3年生も多く通っている、進学予備校だ。僕は今年の大学受験に失敗して、この予備校に通っている。この八神進学予備校の特徴は、進学塾コースと予備校コースがあり、僕は予備校コースを選択して受講している。
教室に入って、一番後ろの中央の席に座って、テキストと勉強道具を出して、講師が来るのを待っていると、教室の前のドアが開いて、白いコートを身にまとった、ニットにスキムジーンズを履いた、広瀬柚が中へ入ってきた。
茶髪でネオエフォートレスミディカットの髪が美しい。クリクリとした大きな目、少し吊り上がった目尻、鼻筋はきれいに通っていて小鼻、形の良い唇が色白の小顔の中におさまっている。スタイルも良く、スレンダーなのに、胸はほどよく膨らんでいて、お尻も突き出ている8等身美少女だ。顔色は元気そうで健康そうに見える。
元気そうで良かった。
広瀬柚が教室へ入ってくると仲の良い男子1名と女子1名が駆け寄っていく。3人で笑顔で話している。そして男子がくるりと振り向いて、僕のほうを見ると、僕を指さして、柚に何かを言っている。
3人はゆっくりと僕の座っている長机に近づいてくる。
「お前が柚を助けてくれたんだってな。本当にありがとうな。俺の名前は司馬俊輔って言うんだ。俊輔と呼んでくれ。よろしくな」
「柚を助けてくれてありがとう。本当に嬉しい。これから仲良しになろうね。私の名前は八幡夏希。夏希って気軽に呼んでね」
司馬俊輔は長身でガッチリとした体をしている。今まで何か運動系のクラブにでも入っていたのだろうか。
黒髪のウルフカットの髪型。目つきが非常に悪い。睨まれているようだ。切れ長二重まぶたに、ごつごつした鼻、薄い唇、色黒ににっこり笑った時、歯がすごく白く見える。野性味溢れる風貌だ。きちんと挨拶されなかったら、僕から声をかけることなんてなかっただろう。
八幡夏希は少し身長が低く、茶髪のソフトウルフな髪型。優しい瞳の二重まぶた、少し垂れた目尻、少し低い鼻、少しぽってりした唇、色白の小顔で可愛い系だ。スタイルは抜群で、出る所は出て、締っている所はキュっと締っている。巨乳に美尻。メイクも艶やかで色っぽい。
広瀬柚は顔を赤くして、上目遣いに僕を見ているが、なんだか睨まれているような気がする。何か悪いことでも僕はしたんだろうか。
「助けてくれてありがとう。でもあれくらい、自分で救急車を呼べたんだからね。救急車呼んでくれて助かったけど。お礼に私のことは柚って呼んでいいわよ」
は?シャッターに持たれて、呼吸器を持って、息をゼイゼイ言わせて、意識なかったよね。意識ないのにどうやって、救急車を呼ぶつもりだったんだ?柚って呼び捨てで呼んでいいのがお礼ですか。ずいぶん友好的ですね。
俊輔が僕の肩に手を置いて耳元でささやく。
『柚ってツンデレなんだわ。それになかなか相手に気を許さないタイプでさ。俺以外の男子とは口も利かないくらいなんだわ。名前を呼び捨てで呼んでもいいって言ってるのは、あれでもデレてんだ。許してやってくれ』
はぁ、そうなんですか。
「僕の名前は柏木圭太。今年の大学受験に失敗して、この予備校に通ってる。圭太と呼んでくれると嬉しい。よろしくね」
「圭太って、おっとりしてそう、優しそう、俊輔と全然違う。仲良くしましょうね」
夏希が嬉しそうに僕の両手を握って、にっこりと笑顔になる。俊輔は夏希のいうことを無視して、僕の肩をポンポンと優しく叩く。
「私も柚って呼び捨てでいいから、これからは圭太って呼ぶわ。それでいい?」
夏希が俺の耳元でささやく
『通訳すると、私を柚って呼んでいいから、私も圭太って呼ぶよって意味だから』
柚と話すには、毎回、俊輔と夏希の通訳が必要なのか。なかなか難解な性格らしい。でも元気な顔を見れて良かった。
「それだけ威勢が良くて良かったよ。元気になった証拠だね。顔色も唇もピンク色になってるし、倒れていた時より数倍、きれいで可愛くなってるよ。安心した」
「いきなり唇の色なんて見ないでよ。どこ見てんの。きれいで可愛いなんて言っても優しくしないからね」
柚は口ではそう言っているが、耳まで真っ赤にして、少し俯ていて体をモジモジさせている。恥ずかしいのだろう。本当にきれいで可愛い美少女だ。口が悪い所はスルーしよう。
僕がニコニコと笑っていると俊輔が耳元でささやく。
『もう、柚の扱いに慣れてきたか。圭太、俺達と友達になれそうだな。柚も含めてよろしく頼む。柚の奴、普段は元気なんだけど、持病があってさ。俺達も気にかけてるんだけど、1人でも気遣ってくれる奴がいると助かる』
ストレス性慢性喘息のことだね。巽総合医療病院で聞いた。それにお兄さんの瑛太さんからも、気遣ってくれって言われてるし、遠くから見守っておくよ。
どかどかと俊輔、夏希、柚が僕と一緒の長机に座る。そしてなぜか柚が僕の隣の席に。遠くで見守るはずだったのに。
「好きであんたの隣に座ったんじゃないからね。誤解しないでね」
「大丈夫だよ。そこまで自分に自惚れてないから。たまたま座席の位置がこうなっただけだよね」
「そう、そうなのよ。わかってればいいのよ」
柚が顔を真っ赤にして激しく頷く。美少女は怒っていても可愛いな。そんなことを言うと、また怒られそうだから黙っておこう。
講師が教室へ入ってきた。教室が一瞬で静かになる。隣の3人も真っ直ぐに講師のほうを向いている。講師がテキストを持ち、ホワイトボードへ書きながら、講義が始まった。
チラッと横を見る、柚のきれいな顔の眉間が寄っている。そしてノートを書く手が止まっている。どうも講師の説明を聞いて、解説に理解できないところがあり、つまづいているようだ。
僕はノートを1枚破って、講師の解説を丁寧に、簡単な日本語に訳して、要点を書いて、柚に渡す。柚は驚いた顔をして僕の顔を見るが、素直に僕の渡したノートの切れ端を読んで、自分のノートへ写していく。理解できたようで、すこし微笑んでいる。やっぱり微笑んでいるほうが可愛いな。
柚からノートの切れ端が戻ってきた。大きく赤ペンで「ありがとう」と書かれている。その下に「チラチラ見られると講義に集中できない。エッチ、スケベ」と書かれていた。
確かに柚の横顔に見惚れていた僕も悪いと思うけど、講師の講義内容を丁寧に訳してあげて、要点も教えてあげたのに、返事はこれですか。赤ペンで大きく「ありがとう」と書かれていることから、嫌がられているわけではなさそうだが、柚の横顔に見惚れるのは止めよう。何を言われるかわからない。
講師が講義を進めていくと、やはり時々、柚のペンが止まる。そして固まる。僕はため息を漏らして、ノートの切れ端に講師の講義内容を簡単な日本語に訳して書いてあげて、要点をまとめて、柚に渡す。柚は顔を真っ赤にして、僕からノートの切れ端を受け取って、ノートに写していく。
柚の近くにいると爽やかで甘い香りが僕の鼻をくすぐる。
柚からノートの切れ端が戻ってきた。ノートの切れ端には赤ペンで「ありがとう」と書かれていたが、端のほうに顔の絵が描かれていて、顔がアッカンベーをしている。柚の顔をチラ見すると僕のほうを向いて、小さく舌を出して可愛くアッカンベーをしている。少しは僕に慣れてくれたかもしれない。
本日の更新はここまでといたします(*^▽^*)
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