異世界に来てはや1年今日も俺は、ゴブリンに土下座する
行き当たりばったりで書きました
少し長いかもしれません
「おっ! 上薬草発見 これは、いい金になるぜ」
ここは、ベンガル町の近くの森
この辺りに出てくるモンスターは弱く駆け出し冒険者には、ぴったりの場所だ
その時ガサガサと茂みから音が聞こえる
するとそこから3匹のゴブリンが現れた
そうゴブリンとは言わずもがなファンタジー世界の定番中の定番
そして最弱と呼ばれるモンスターだ
そんなモンスターが3匹出てきたところで問題はない
いつものように軽くあしらってやるだけだ
よしっいっちょやってやるか
ゴブリンとは言ってもモンスター少しだけ気合を入れる
そして……
「まじっすいませんでしたああああああああぁぁぁ
自分調子こいてましたああああああああぁぁぁ
上薬草この上薬草でどうかどうか命だけは勘弁してください」
土下座した
そう最弱のゴブリンに
それはもう紛うことなき綺麗なフォルムで
するとゴブリンは鼻で笑ったかのようにこちらを見た
そして俺が献上した上薬草を取り去っていった
「フッ他愛もないな」
そう言って俺は震えた足を抑え立ち上がる
ゴブリンに土下座をキメていた俺の名は葉隠空太
この異世界ファイベルに来てはや1年になる
そんな俺がどうしてこんなことをしているのかと言うとそれはやはり一年前に遡る
夕方の陽の光が差し込む放課後の教室
そこには友達と喋るためもしくは単純に電車を待っているのか分からないが何人かが教室に残っていた
え?俺がなんで残っていたかって?
そう俺は提出物を忘れそれを終わらせていた
そして今やっと終わった
よし帰るかと思い席を立つと
「お!ソラ帰ろうぜ!」
そんな俺を呼ぶ声が聞こえる
そんな訳もなく俺こと空太ではなく別の人でした
くっそソラと言われてつい反応してしまった
そう俺は昔ソラと幼馴染の女の子から言われていて
その子に告白して振られ
そのため誰も俺のことを知らない高校を選んだのだった
と言ったそんな過去は、あるはずもなく
単純にボッチだったので周りの環境が変われば友達できるかなと思っただけだ
まぁそれはすぐに間違いだと悟った訳だが…
やはり環境が変わっても自分が変わらなければダメだと思い今日に至るわけだ
ちなみにソラと呼ばれ反応したのは自分に友達ができた時どう呼ばれるかなと想像していたからだ
そして俺ではなく友達にソラと呼ばれたのは学校でイケメンと名高い空橋くんだ
スポーツ万能 成績優秀 イケメンとまさに三拍子揃っている
対して俺は、コミュ障 ボッチ アホと三重苦揃っている
あ、ヤバイ泣きたくなってきた
もういいやこんな日はさっさと帰ってアニメを見よう
そう思い帰路に立つ
学校を出てしばらく歩くと不意に立ち眩みがした
そして足下に魔法陣が現れた
これは異世界転移ってやつか?
そう思い俺は白い光に包まれた
目を開けるとそこはゲームで見たファンタジーの世界が広がっていた
そして俺はと言うと
「きたあああああああ異世界きたあああああああ」
絶叫していた
辺りの人がいっせいに俺を見る
あっ ここ街の中だった
まぁいいそれより異世界だ
異世界といえばハーレム ハーレムといえば異世界
彼女いない歴=年齢の童貞には当然の欲求だった
そして決意する
俺は、この世界で成り上がりハーレムをつくる!!
そうして俺は、街を歩いた
街を歩いていると1人のおじさんから声をかけられる
「そこのお方珍しい服を着ておりますな」
そういえば俺学ランだった
「もしよろしければその服良い値で譲ってくれませんか」
そして俺は
「はっはい」
ここでもコミュ障の弊害が
「では私の店に行きましょう」
そして俺はニコニコと笑をこぼしているおっさんと手を繋ぎ街を歩いた
見る人に寄ってはというか見る人すべてが俺たちを奇妙な者を見る目で見てくる
ってちょっと待って俺にそんな趣味ありませんから
と叫べなかった自分が恨めしい
そして俺はおじさんが営んでいる服屋に着いた
そして学ランやズボン さらに下着まで身ぐるみすべて剥がされた
もうお婿に行けないかも
と心に傷を負いつつ
その代償として50万ダルに替えて貰った
ダルとはこの世界の通貨でまぁ1ダル1円ぐらいの感覚である
百や千など単位が同じなのは非常に助かった
そして俺はおじさんに代わりの服を用意してもらった
流石に全裸で歩く趣味はない
あとこれ以上心に傷を負いたくない
そして俺は服屋を後にし冒険者ギルドへと向かった
え?場所は分かるのかって?
抜かりはない ちゃんとおじさんに聞いた
コミュ障空太ガンバったと自分を褒め讃えたい
何やかんやでギルドに着いた
扉を開け中へ入ると歴戦のおっさんのような人達から睨まれた
いや単純に見られただけだ
いやはやボッチもここまで荒むと病気だなと思いつつ
あれ? 見られただけだよね?
あれだよね? 見慣れない奴が来たからだよね?
なんでそんなお尻を狙うような目で見てくるの?
あれか? おじさんと手を繋ぎながら街を歩いていたからか?
嘘だろ ハーレムはハーレムでもこんな男だらけのハーレムなんて嫌だよ俺は
と貞操の危機を感じつつ受付嬢の前まで行くと
そこには綺麗なお姉さんが立っていた
そう出る所は出て締まるところは締まっているそんな世の童貞が夢見るプロポーション抜群の金髪碧眼美女が
そうあの金髪碧眼(大事な事なので2回言いました)
「あ、あの」
「はい 本日はどのようなご要件でしょうか?」
「え、あ、えーと」
くっヤバイこんな所でコミュ障と童貞のスキル(そんなスキルない)が発動するとは
いやこんな所で足踏みしている暇じゃない
俺は作るんだハーレムを
男になってこい空太
俺は意を決して口を開いた
「あ、あのぼうけんひゃとうろくしにきましひゃ」
噛んだ それはもう盛大に噛んだ
ヤバイ受付嬢さん唇かんでめっちゃ耐えてる
「ふふっえっとぼ、冒険者と、登録ですね…ふふっ」
いやもう笑いこらえきれてないですから
もういっそのこと盛大に笑ってもらった方が楽になれるんですが
「……はい……そうです」
「えっとそれではステータスの測定をするのでそこの水晶に手を触れて見てください」
その言葉を聞いて俺は息を吹き返した
そうだよステータスだよ
異世界って言ったらやっぱあるよね
そうだよ俺一応異世界転移してきたんだよチート能力で俺TUEEEEだよ
神様から貰ったスキルのひとつやふたつあるに決まってんじゃん
そうだよまだ助かる絶望するにはまだ早い
天は俺を見放してはいなかった
さぁそこのさっきまで笑っていた受付嬢よ
驚愕に染まるがいい 戦け俺の能力にな!
そうして俺は期待に満ちた顔で水晶に手を触れた
天に見放されました
チート? 俺TUEEEE?
何それ? おいしいの?
まず各ステータス平凡もしくは平凡以下
体力にいたっては10って一般の人は100あるんだよ
まぁ日本にいた頃は部活なんてやってないんで引きこもっていたんですけど
まぁ体力0=死ではないらしいのでまだいいか
ではあれか運が非常に高いとかか?
いえ運にいたっては0です
なんだ0って何が俺の運気を打ち消しているんですかね?
そして心なしか知力が少し高い
いやまぁ一応高校行ってるからね
でもほとんど誤差みたいなもんだ
そして最後にスキルである
そうスキルあったんです
腐っても異世界転移した身ですからね
そして俺のスキルとは……
採取の極み
スキル説明
採取系アイテムならばあらゆるアイテムを採取できる
そう薬草 キノコ 鉱石 何でもござれ
俺に採取出来ないものは無い(キリッ
ちなみに鉱石などは専用の道具は必要なく素手で採取できるよ(笑)
なんだこれ?
いや確かにチートではあるんだけどさ
特に鉱石採取出来ることとか
だけど……思い描いていたのと違う!
あれだよね鉱石採取できるような所って火山とかだよな
火山ってだいたい凶悪なモンスターとかいるじゃん!
採取でどうやってモンスターと渡り合えって言うんだよ
バカなの? 死ぬの?
頭の中で 火山+駆け出し冒険者=死という方程式が出来上がる
あっ今知力が少し上がった
って要らんわ!
頭の中での誰に対してか分からないツッコミを終え
恐る恐る受付嬢さんの顔を見る
するとあちらも俺の顔を伺っていたのか目が合うと
光の速さで目を逸らされた
気まずい沈黙が辺りを支配する
そして受付嬢さんが沈黙を破ってくれた
「あの最初からスキル持ってるなんて凄いですね…」
「……ありがとうございます」
居た堪れない居た堪れないすぎるぞ俺
「あのまだレベル1ですしこれから頑張って行きましょう!」
今日一番の笑顔で言ってくれた
「……はい」
「あのこれで冒険者登録は以上となりますのでえっと頑張ってください」
今ほど頑張るという言葉が便利だと思ったことは無い
そして俺は重い足取りでクエストの貼られたボードへ向かった
くっ周りのヤツの暖かい目線が辛い
おっさんたちなんてさっきまで俺のことを獲物を狙う猛禽類のような目で見てきて貞操の危機を感じていたのに
今では慈愛に満ちた目で見てくる
もう母性すら感じるよね
今ならあのたくましい胸筋の中で泣けるかもな
なんて思っていたが受付嬢さんの言葉を思い出し
何とか踏みとどまる
危ねぇこのままだと新たな扉を開きかける所だった
これからこれからだよな
そう思い自分で自分のことを鼓舞して俺は薬草10本を取ってくるというクエストを受けることにした
そして俺はギルドで装備を整える
そうお金はあるからね
よしっいざクエストへ これから俺の成り上がりの始まりだ
採取はやはりスキルのおかげで難なく終わった
だがそんな俺に敵が立ちはだかる
そう最弱と名高いゴブリンが1匹
「はっなんだゴブリンか最弱が俺にかなうとと思っていのぐべらぁ」
痛い殴られたひのきのぼうで
最弱だからと慢心はダメだということだな
だがやつは俺に勝つ最後の機会を失った
今の俺に慢心はない 故に俺にスキはない
さぁ始めようかゴブリン 大人しく俺の経験値となれ!
結局タコ殴りにされました
殴られ薬草回復のループにより俺もゴブリンも疲弊していた
ゴブリンは傷を回復する俺に目を丸くしている
このままではいずれやられる
そう思い俺は最終手段に出た
「すいませんでしたあぁあああ」
薬草を献上しながら土下座した
するとどうだろうゴブリンは薬草を手に取り去っていった
「フッ紙一重だったか」
そして俺は薬草をもう1度採取し帰路についた
そしてゴブリンに土下座し続け1年後
もちろんレベルは上がることはなかった
だがそのかわり新しいスキルを習得した
そうそれは……土下座
そう俺の土下座はスキルにまで昇格した
スキル説明
相手に誠心誠意土下座することで謝り倒し許してくれるかもしれない(超超低確率)
なんだこれ? 低確率って新手の状態異常か?
すると急に確率が表示された……3%と……
なんだ3%か フッ意外と高いな
そう俺は異世界転移したとはいえデジタル社会育ち
そうつまり生粋のガチャ戦士
そんな俺にとって3%などむしろ高いとさえ言える
1年を通してもはやポジティブになっていた
ギルドに帰ると受付嬢のミーシャさんが迎えてくれた
そう最初のステータス測定の人だ
「今日も凄い稼ぎですねっ」
そう俺の採取してきたものは上質なものが多くもはや空太ブランドと化していた
「まぁでも相変わらずレベル1ですケドね」
「でも魔物を殺せないというのは空太さんが優しい人だからよね? その優しさは素敵だと思います」
いえ単純に勝てないからです
「優しいなんてそんなことないですよ」
「そんなご謙遜をあたし知っているんですよ
道で絡まれていたおばぁさんを助けていましたよね?」
あれか? かっこよく助けようと思い向かったもののレベル1の俺がかなうはずもなく土下座して事なきを得たあの無様な姿か?
てかあれ見られたのか?
「他人の為にあそこまでプライドを捨てれる人はそういませんよ」
毎日捨ててるんですよね
しかもゴブリン相手に
「あ……えっと……ありがとうございます」
自分の残念さに打ちひしがれていると
ギルド内が騒がしくなってきた
みんなクエストから戻って来たのだろう
ギルドのおじさん達はご飯を奢ってくれたりなど結構優しくしてくれるのはありがたい事だ
まぁそこに貞操の危機を感じるのだが
それでもダークサイドに落ちないのはミーシャさんがいたからだ
そう感慨に耽っていると
厄災は、やってくる
俺は分かっていなかった毎日の日々はたった一つのイレギュラーで崩れるのだと
「緊急警報緊急警報ゴブリンの大量発生が確認されました さらにゴブリンの上位種が多数その中にゴブリンキングも確認されています」
「この街の予想到着時間は三日後です
冒険者の皆さんは至急装備を整えてください」
やっべえーゴブリン大量発生って俺ゴブリン1体にすら勝てないんですけど
さらに上位種って何? バカなの? 死ぬの?
そんな俺にミーシャさんから鶴の一声がかかる
「あの空太さんは無理に討伐に参加することはしなくても……」
そうだよレベル1だもんね 助かったー
だがふと思う
俺が討伐に参加しようとしまいと変わらないかもしれない
だがそれで助かるのか?
よしんば俺が助かってもどうなる?
おっさんたちは? ミーシャさんは? この街の人達は?
そんな中俺1人がのうのうと生きられることは出来ない
戦わねばならない 立ち上がらねばならない
今までは逃げてきた
そう結局は異世界に来ても俺は根本的なところは変わっていなかったのだ
だから俺は変わろうと決意する
この世界に来ていろんな人とであった
だから俺はそんな人たちを死なせたくない!
「ミーシャさん俺は戦いに行きます!」
そう決意すると早かった
俺は装備を整え街を後にした
そう誰一人として死なせることのないように
街を後にし5時間ほどゴブリンの群れは見えた
「予想より早い?!」
ゴブリンキングの統率で能力が上がっているからか?
そして俺はゴブリンの群れに1人で立ち向かった
すると群れからキングが出てきた
恐らく俺のことを完全に舐めきっているのだろう
そこに勝機がある
俺は震える足を抑え一歩一歩距離を詰めていく
キングさえどうにか出来れば戦力は大幅に減るだろう
だから俺は完全に舐めきっているゴブリンキングに必殺の一撃を繰り出す
そうそれは今までは使うことの無かった俺のスキル
土下座だ
「すいませんでしたあぁあああ」
with上薬草と魂の叫びを添えて
だがこれは今までの土下座とは違う!
今までは媚びへつらう敗者の土下座だった
だがこれは勝ち取る為のいわば勝者の土下座だ!
するとキングは上薬草を手に取り群れを率いて帰っていった
「……もしかして3%引いた?」
土下座のスキルが発動したのか定かではないが
それでも街は みんなは救われたのだった
ギルドに戻ると祝勝ムードだった
ってか情報早すぎだろ
SNSでも普及してんのか
「空太さんゴブリンの群れを追い返したんですよね
いったいどんなことをしたんですか?」
ミーシャさんが期待に満ちた顔で見てくる
言えない土下座しましたなんて
だから俺はオブラートに包むことにした
「ははっ貢いで謝り倒して来ただけですよ」
包みきれなかった!
「え?謝り倒す?
まぁでも街を救ったことに変わりはないですよっ」
そうして危機は無事に去った
そして相も変わらず俺の異世界ライフは続いている
「ゴブリンさんすいませんでしたあぁあああ」
そう今日も俺はゴブリンに土下座していた
短編ってどれくらいの長さが適切なんですかね?
これでもそこそこ削ったんですけど
感想お待ちしております