9ともだち
「三上やめろ!!!」
やっと追いついた下浦が三上を止める。しかし浄土弾は白子の頭に当たった。その衝撃で蜘蛛の足は怯みで動けなくなり白子は地面に叩きつけられる。しかしまだ意識はあった。それを見たミコトは頭に血がのぼって三上の胸ぐらをつかんだ。
「神威先輩も下浦先輩と同じこと言うんですか」
「……っ」
ミコトが言葉に詰まっていると、白子が悲鳴をあげた。耳鳴りをおこすほどの声に三人は思わず耳を塞ぐ。しびれをきらして三上は俯きながらうごめいている白子のうなじに標準を合わせる。
「三上いい、僕がやります」
「え…」
ミコトは自分の拳銃をホルダーから抜いてゆっくり白子に近づいた。白子はずっと悲鳴をあげたままである。体中に力が入らないのかもがき苦しんでいた。
「白子さん、聞こえますか僕です、神威です」
膝をついてミコトは白子に訊ねるように話しかけた。すると白子は悲鳴をやめた。ウッと唸り吐血する。
「神威…さん」
視線だけ白子は神威に向けた。ミコトは拳銃を白子のうなじに宛がう。
「ごめんなさい、僕がもっと早く白子さんに真実を教えていればこんなことにならなかったかもしれませんね。こんなに苦しまなく済んだかもしれないのに…」
「ゴホッエホッヴッ…」
「僕がだめでした。白子さんを早く保護していれば、捜査官になれていたかもしれない…、こんな姿になるまで追い詰めることもなかったのかもしれない」
「わ、だじ、ごそ…ごめんなざい…。気づいてたのに…が、む、いさん…いえな…くて」
じわじわと白子の体から血が溢れ出ていく。それでも彼女は言葉をつづけた。
「でも…どもだぢって…言ってぐれで……しあわぜっゴホッ…だっだ」
「はい、ずっとともだちです。僕も、白子さんとともだちになれて幸せです」
その言葉を聞いた白子は嬉しそうにほほ笑んだ。ミコトは白子のうなじに麻酔弾を打った。今度こそ白子は静かに目を閉じ動かなくなる。
「下浦さん、急いで白子さんを輸送班に。ようやく保護できましたが、瀕死ですお願いします」
「わかった」
下浦は仮面を外しHI刑務所に送り届ける輸送班に連絡をとる。三上は仮面を外してミコトに近づいた。
「先輩……」
するとミコトは再び三上の胸ぐらを掴んで三上を睨んだ。
「パラジットだって人間なんだよ、虫を殺すとは違うんだ。お前も保護班ならパラジットの命を守ることを心掛けておけ」
三上はその言葉に強く心を打たれた。自分はただパラジットを退治しようとしていたことに気づいたのだ。自分の手柄、初めてのパラジット戦で大切なことを忘れていたのである。
捜査官はパラジットを殺すための組織ではない、救うための者なのだと。




