8ともだち
「まずい、逃げられた!今度こそ人民が危ないですよ先輩!」
三上はミコトのもとへ駆け寄った。すると下浦が三上の腕を掴んで引き留める。下浦は厳しい顔をしていた。
「お前な、もっと状況を理解しろ。神威のやつ多分今は冷静じゃないぞ。パラジットでもな人間なんだぞ、あの二人には絆があるんだ、それを第三者が入っちゃまずいだろ」
「先輩何言ってるんですか。これは任務ですよ。絆があってもなくてもパラジットである以上、しかも死者が出そうな場合に躊躇してどうするんですか。ほら行きましょう!」
三上は下浦の腕を振りほどいて白子が逃げた方へ走って行った。ミコトはまだ立ち止まっていた。下浦は少しため息をつく。
「みなさん急いで避難所へ逃げてください!現在応援を呼ぶのでそまで避難所で待機してください!」
ミコトは下浦の声にハッと我に返ると、自分を避難指示をした。一般人たちは不安を隠せないまま避難所へ逃げる。人気がなくなると、下浦はミコトの背中を叩いた。
「ほら、急ぐぞ。お前、彼女を助けたいんだろ」
「はい、すいません。こうなることを予想していてこんな状況にさせてしまいました。捜査官としての失態です」
「反省は事が終わってからだ、今は彼女の保護を最優先だ」
「はいっ」
ミコトと下浦は走った。
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その頃。三上は白子を追い詰めていた。路地裏まで追い込んで静かに銃を構える。白子は三上に敵意むき出しで壁に張り付いていた。
「おかしいですね、麻酔弾は効かないんですかあなた」
「殺す」
「言葉も通じない、ってことはもう浄土弾を使ってもいいですよね」
銃弾のストックホルダーから浄土弾を入れ替える。いよいよ白子は危機を迎えていた。
「えっと、あなたは捜査官になりたいそうですね」
「…そうよ」
少し言葉が通じて三上は銃口を構えるのをやめる。白子はかさかさと地面まで戻ってきて自分の足で立った。
「私は、神威さんの目になりたい…から、死にたくない」
「残念ながらそれは無理な願いです、HIは駆除しなくてはいけません、あなたはもう取り返しがつきません。だから大人しく眠ってください」
再び銃口を構えようとすると、白子が素早く三上に近づき首元に噛みつこうとした。がちんと歯がぶつかる音がする。
「殺す、殺す殺すころすころすころころ、ころ」
狭い路地の壁に蜘蛛の足を這わして、白子は緑の瞳を光らせる。
「あ、危な…これが本物のパラジット…噛まれたらひとたまりもなかったな」
三上はハラハラしながらでも表情は笑っていた。今三上は舞い上がっていた。この任務は自分の手柄だと白子を見ていた。




