空からの救援
4月11日 タイトル変更
森の中を進むと少し開けた場所に出た。月明かりが差し込むその場所は木が無く、真ん中に切り株があるだけだった。
グレン達3人は、切り株の側に放り投げられる。
「おとなしくしていろ」
野太い男の声が響き渡る。そして警戒するかのように周囲を見渡す。
グレンはユーリとケンに近づいた。
「ユーリにいさま」
「大丈夫。俺がなんとかするから」
そう言ってユーリはケンを見る。
「魔法をつかおう」
「魔法って言ったって、かんたんな魔法しか、あ」
「そう。ぼくがいるから力をつよくできる」
何かを思いついたのか小声で話始める二人にグレンはついていけず、ユーリの服の裾を引っ張る。
「ごめん、ごめん。グレンはまだならってないもんな。じゃあ、おれの手をにぎって」
「ことばはいらない。思うんだ。風を、空へ」
「かぜを。そらへ」
強く、強く願う。
だんだんと体が熱くなり何かが弾けとぼうとするのを感じる。周りの風がだんだんとうずをまき、上空へ向かって翔けあがった。周囲の木々の葉を揺らし、凛と張り詰めた音がなる。
「ガキども」
耳を押さえながら、男が言った。腰に下げてあった剣をとり振り上げる。
「そんなもの俺の子供たちにむけるんじゃない」
鋭い声音とともに短剣が剣を弾き飛ばす。
「何者だ!」
「ん? 俺の名はシュウ。風の大賢者だ」
空を見上げると、白い髪で白いマント。すべて白づくめの少年が浮かんでいた。