閑話-大人達の話-
4月11日 タイトル変更
話があるからと子供達を追い出したエイスは、アレクに真剣な顔を向ける。
「どうだった? カレイラ州は」
「料理もおいしいし、水もきれい。それに女の子も綺麗だし? サイコーだったぞ」
アレクは明るくそう言ってから声をひそめる。
「州を治める貴族、オーガスト伯爵は、知らないと言っていたが、あれは知っている顔だった。間違いなく反乱は起こる」
「やはり、そうか。起こるなら1週間後のグレンの3歳の誕生パーティーだろうな。公式にお披露目するのは明日だが、パーティーは11州を治める貴族を招いてだからな」
考え込むようにエイスが言った。
カレイラ州は、海に面した州で、いくつかある貿易の拠点の一つ。中でも1番王都に近い。
そのカレイラで『反乱の疑い』という報を、特務調査官からエイスが受け取った。そこで、命令で国中を回っていたアレクに、予定になかったカレイラを視察するよう頼んだのだ。
「そして、早ければ今日から、パーティー出席者が離れの城に滞在します」
感情の無い冷静な声で、レイが告げた。遠いところの州は、早めに出発し、王都で準備をする。また、近くの州も、離れの城、といっても王城であることから、早めに来る人が多い。
「だからか。わかった。パーティーが終わるまで、俺は、グレンやユーリを護ればいいと」
「ああ。それと、レイの息子もだ。パーティーでは3人まとめて遊ばせておくからな。部下は2人まで。その2人には、今後も護衛をさせることを考えて選んでくれ」
息子もと言われた時、レイの眉が軽く上がった。すぐに戻ったが、心配なことが伺えた。
「了解。2人見繕ってユーリ達に対面させる。で、子供達は?」
「多分、私の息子と一緒に……」
レイは目を閉じて少し考え込んだ。魔力を探っているのだ。そして、淡々と告げる。
「騎士達の訓練所に向かってます」
了解とばかりに手を振り、アレクは執務室を出て行った。