表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神は何を思う?  作者: 桜花蒼衣
始まりは3歳の誕生日
3/13

出会い2

4月11日 改稿

 ユーリに連れられて、父であるエイス・アーダルベルト=フェルトの執務室に入った。

 入ると同時にユーリの腕からピョコンと飛び降りる。

 部屋の中を見渡すと、父の他に、レイモンド・シックザール=ベルニコフ宰相を見つけた。腰まである濃い青色の髪は、黒に近く、薄紫の目は笑みを称えている。普段は優しいけど、怒らせると怖い宰相を、グレン達は、レイと呼び慕っている。

 その向かいに、アレキサンドル・イーガ=ツェリらしき青年がいた。

「よく来たな。アレク。俺の息子のユーリと娘のグレンだ」

「初めまして。エイス・アーダルベルト=フェルトが第一子、ユーリ・アーダルベルト=フェルトです。この出会いにハクヨウ様の御加護がありますように」

「はじめまして、グレン・アーダルベルト=フェルトです。このであいに、ハクヨウさまのごかごがありますように」

 ユーリの真似をしてグレンも挨拶をする。

「これは、これは。ご丁寧な挨拶を。オレは、アレキサンドル・イーガ=ツェリ。王宮騎士、第一騎士隊隊長だ。アレクと呼んでくれ。この出会いにハクヨウ様の御加護がありますように。よろしくな」

 笑う笑顔は男らしく、茶色い髪、碧い目にとてもよく似合った。

 父の友達にしては、2つ3つ若かった。

 それでも、剣に疎いグレンにもわかるほど隙のない態度だった。

 導かれるままに、父の膝の上に座る。後ろから抱きしめられ、少し痛いが、楽しそうな雰囲気が伝わってくるので、グレンはそのままにしておいた。

「それにしても、溺愛だな。エイス。国王としての威厳が台無しじゃないか」

 父、エイス・アーダルベルト=フェルトは、ハクヨウ王国の国王である。

 26と若いながらも、治世は8年を過ぎ、賢帝であると評判らしい。

 ハクヨウ王国は、この世界の西にあるアスティア大陸を治める国。風の加護を受けており、風の大賢者が大陸一帯を管理している。

「いいだろ? お前も恋人を見つければいい。そうしたら、わかるだろう」

 父の言葉に、アレクは顔をしかめる。

「俺のことは置いといて。姫さんの誕生日は1週間後、だろ? なんで俺に、今日までに帰って来いって言ったんだ? 他の騎士隊もいるし、当日でもよかったんじゃ」

「グレン」

「えっ?」

「グレンってよんでください。ひめさんはなんかいやです。アレクさま」

「俺も、ユーリでいいです」

 姫さんと言われるのが嫌で、グレンはそう進言する。ユーリも勢い込んでそう言った。

「そうか。グレン、ユーリ。俺もアレクでいいぞ」

 明るく笑うアレクに、隣に座っていたユーリと顔を見合わせて笑いあう。父は少し嫌そうな顔をしていたが渋々頷いた。

「仕方ないな。だが、娘はやらん」

「何言ってるんだよ。グレンは今年3歳だろ? 俺は今年、23歳。20歳も違うの」

「20歳がなんだ。俺の父は、25歳、離れていたけど?」

 ヒートアップしていきそうな2人を止めてもらおうと、レイを見上げる。レイは呆れた風にため息を付き静かに話し出す。

「2人とも、いい加減にしないと怒りますよ」

 冷たい響きに、エイスとアレクは押し黙る。と同時にグレンは思い出した。父と、レイ、シックザール宰相は幼なじみだったことを。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ