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1日目〔2〕

彼女たちは選曲に迷うほど知っている歌はなかった。

それに歌えるものといえば学校の音楽の授業で習ったようなものばかりである。

だが一緒に歌う歌を迷いながら決めるという行為自体を楽しんでいた。


「”野に咲く花”なんていいんじゃない?」

「ん~、確か真由美ちゃんが歌うはずだよぉ。他の子ならまだいいけど、真由美ちゃんはぁ…」

「真由美か…、あの子は歌がうまいから比べられちゃうのは嫌だね。どうせ歌う歌がかぶるなら下手な子がいいね、愛ちゃん!」

「うん…できればぁ~。あ、でも咲ちゃんって結構上手だった気がするけどぉ」

「真由美は特別だからね…。それに上手っていうのは」


二人はなかなか歌う曲が決められずにいた。

だが歌う曲が決められない理由は”歌えそうにないから”とか”歌いたくない”といったものではなく、

どの歌も歌ってみたいといった理由からである。


「何を歌うのかクジ引きで決めちゃおうか」


これ以上迷っていても練習する時間がなくなる。

そこで愛はとりあえず曲だけは決めてしまおうというのだ。

咲もその提案を受け入れ、まず愛がクジ引きをつくり、咲がそれを選ぶことになったのである。


今回のクジは音楽の教科書に書かれているものから二人が知っている歌を十曲だけ選び、

それを小さな紙に書いて四つ折にして紙コップにいれ咲が目をつぶりながら選び取るという単純なものだ。

駄菓子屋のクジのようにアタリがあるわけではないが、

なかなか遊び心のある選曲方法である。


「歌は十曲のうちから一つを選ぶことになるけどぉ、歌はわたしが好きに選んじゃっていいのぉ? 咲ちゃんの好きな曲があれば教えてねぇ」

「好きな曲? …そうだ! どうせなら二人が五曲ずつ選んで、その中から一つってことにしようよ」

「そうだねぇ、それがいい! じゃあ明日までに一人五曲の歌を選んでこよぉ」

「明日まで? うん、わかった!」

「緊張するなぁ~。何をひいても頑張って練習しようねぇ」

「うん! それじゃ明日!」

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