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たからしまのちズ  作者: まろやかポン酢風味
レイヤを見舞うシマオ
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レイヤのお見舞いに行くシマオ

この時代、お見舞(みま)いと言えば果物(くだもの)、果物と言えばオレンジ・スイカ・バナナ・パイナップル・ブドウ・メロン・(よう)ナシである。そして、大体この時期にこの2人(ふたり)が持って行くのはバナナとオレンジだ。何故(なぜ)なら、どちらも常温(じょうおん)で食べるからだ。オレンジとバナナ以外は日本では冷やしてから食べることが多いので、寝冷(ねび)えで具合が悪い人に冷えたものを食べさせなくても済むように、オレンジとバナナなのだ。夏だとスイカもあるが、こいつは冷やしてから食べる方がうまいので寝冷えの人には(おく)らない。


シマオの母親は、宝田青果店でそれはもうたいそう立派で見てくれの良い大きな房のバナナ1房(ひとふさ)とグレープフルーツ3個と洋ナシ3個ほどを選ぶと会計を済ませ、領収証(りょうしゅうしょう)を要求した。そして、お見舞いセット用の簡単な(かご)に詰められたそれを(おさな)い我が子に持たせた。その時のシマオを正面からみると、パイナップルの代わりにシマオの顔が乗っかっているかのような見た目になる。我が子がこんなにも可愛(かわい)らしいものかと彼女は少し微笑んだ。シマオ本人はというと、小学2年生にはかなり重たく感じるフルーツ籠を歯を食いしばりながら運んでいた。シマオが体調不良(たいちょうふりょう)になることはそうそうないのだが、玲也はしょっちゅう体調不良になるので、シマオは度々(たびたび)玲也を見舞っている、最初のうちは『なんでコイツはしょっちゅう具合が悪くなるのだろうか?』と不思議に思っていたが、最近ではランダムイベントとして楽しむようになってきていた。なんなら、玲也の体調不良を待ちかねてもいる。なぜなら、シマオは滅多(めった)に玲也の家に遊びに行くことがないからだ。


そして、シマオの母親は何故(なぜ)かいつも息子のお見舞いに一緒に行く。引きこもりな玲也の母親と話す機会はこれくらいしかないからだ。2人が玲也の自宅に到着すると、両手が(ふさ)がっている息子の代わりに母親が呼び鈴を鳴らす。すると、玲也の母親が対応しに出てきた。シマオの母親の予想通り、玲也は寝冷えでお腹を壊したようだ。二人が玲也の見舞いに来たことを告げると、玲也の母親である麻生玲子(あさぶれいこ)は2人に(れい)()べてから彼らを部屋に上げ、居間(いま)の食卓に着くよう勧めると、彼らによく冷えた麦茶を出した。ついでに、お見舞いで(もら)った果物と買い置きの菓子を出す。当の玲也は当然ではあるが食欲が無く、茶碗1杯分の梅のお粥を半分残してしまうほどで、今は腹巻に湯たんぽを入れて寝ているのだった。そして、麻生夫人(ふじん)は「いつもレイくんの宿題を手伝ってくれてありがとう」とシマオに礼を言った。最後に寝顔(ねがお)を見ていくか?と問われたシマオは(うなず)く。湯たんぽ入り腹巻(はらまき)を巻いて汗だくで(よだれ)を垂らし、時折(ときおり)うめき声をあげながら寝ている玲也の寝顔はとてもシュールだったという。

※ 玲也の母親は、自分の息子を「レイくん」と呼ぶ。

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