宝田文具店
次は宝田団地文具店だが、店主の男は団地の子供達から”キムジイ”と呼ばれている、本名は”木村”だそうだが、物凄く老けて見えるのでジジイ呼ばわりである。シマオが両親から聞いた話では、高卒で就職して12年間勤めた事務用品メーカーを辞めて、新設された公団住宅内に店を持つことにしたそうだ。
つまり、17+19なのでまだ36~37歳である。36・7歳なのである。
額に3本ある深く刻まれたしわと、気難しそうな眉間の3本のしわ、そして、年の割にえぐられたようにくっきりとしたほうれい線、とても30代後半には見えないのである。
それでいて、本人は自分の年齢と見た目をめっぽう気にしているらしく、子供たちが悪気無く「おじいちゃんこれ下さい」というと「ばかやろーーー!人に向かっておじいちゃんとは何だ!!失礼な餓鬼だな!!どこの子だ!!」と怒鳴り散らすので、子供たちは陰で「キチガイジジイ」と呼んでいるのだが、それを本人に言うと店を出禁になるので、店主の男としゃべろうとする子供はいない。
特に用事が無い限り近づきたくは無い店なのだが、その店、皮肉なことに、駄菓子や、マニアックなメンコまで売っているので、割と子供達には人気の店なのである。
ちなみに、悪気無く「おじいちゃん」といった過去があるフジショーは出禁である。「パスだパス!!」というフジショーの吐き捨てるような意見に異を唱える者はいなかった。流石にレイヤでもキムジイに声をかけるのは気が引けるのだ、物おじしないことが数少ない長所のレイヤでも、である。