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鍵の落とし主
そんな風に賑やかに登校している3人組に足早に近づいてくる子供がいた。川村玲子だった。彼女はいつも通りの不機嫌そうな顔つき、かつ、何か悩み事でもあるような深刻な面持ちで3人組に近づくと、玲也の顔をギロリと睨みつけてから、物凄くぶっきらぼうに「ありがとう」とだけ言うと、踵を返し、またぞろ、物凄い速足で学校へと向かっていった。
玲也があっけにとられたような呆けた顔をしていると、「鍵のお礼らしいね、彼女、鍵を持ち上げていたよ」とシマオが解説してくれた。玲也は玲子が鍵をポケットから出して見せていたことには気づかなかったので、「あ、そうなんだ、なんだ、びっくりしたぁ」と間の抜けたことを言うのだった。そして、そんな玲也のことを親の仇でも見るかのような悔しそうな形相で睨みつけるフジショーだった。




