宝田大橋交差点で
宝田大橋交差点に到着した3人は、歩道の信号が青になるのを待つ。信号が青に代わってもすぐに横断歩道を渡らず、全ての自動車が完全に停車したのを見届けてから横断歩道を渡る。渡り切った直後、玲也が「あれ!?」と不意に声を上げた。それにつられて玲也の方を見る2人。続けて彼が「あれ、川村じゃね?」と言いながら指さした先には、水門橋の用水路側の真っ暗な斜面の中腹には、川村玲子のように見える、しゃがんでいる子供の姿が見えた。
早速、フジショーが「かわむらーーー!そこでなにしてんだーーー!」と叫んだが、それに気づいたその人影はびくっとした後、こちらを一瞥するや斜面から駆け降りて水門の中に入ってしまった。「ちょっと、何してんだよ」と玲也がフジショーを咎めると、シマオも「完全に驚かせてしまったね」とツッコミを入れる。フジショーに対する玲子の心象がどうなっていたかは読者のご想像にお任せする。
「どうする?」と誰にとは無く問いかける玲也だが、今さっきのことなのでフジショーは何か戸惑っている。シマオはニヤニヤしながら「驚かせてしまった以上、もう何もしない方が良いと思うよ」と無碍な返答をする。何かと彼女と接触するための口実を作りたいフジショーは、「でも、女の子1人であんな危ないところにいるのはダメじゃねーか?」と自分に言い聞かせるように述べた。
玲也とシマオが顔を見合わせてにやける、それに対してフジショーが抗議する、「な、何だよ、そ、そんな変な意味じゃねーよ」と。2人ともそんなことはわかりきっている、それに、この年齢で強い性的関心があるとしたら異常だ。「まあ、『驚かせてゴメン』と言いに行くのが良いのでは?」と言うシマオの助け舟に「あー、それそれ」と渡りに船と乗っかるフジショーだった。玲也は苦笑いをしながらそれを見守るのであった。




