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あーかい部! 74話 完全変態

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「ちゃおっすあさぎちゃん。」


「あ、きはだ。」




あさぎが1人でまどろんでいると、きはだが部室のドアを開けて入ってきた。




「……ん?」




あさぎはきはだの髪に黄色い蝶が留まっているのに気がついた。




「ん〜?」


「きはだ、頭。」


「頭?」




きはだが頭を触ろうとすると、留まっていた蝶が羽ばたき、




「おお、なんかいた……!?」




部室の中をゆったり、ヒラヒラと飛ぶと、




「……なんかこっち来たんだけど。」




あさぎの頭に着地した。




「おめでとう、今日からキミは完全な変態だ……!」


「変態……って、ああ。なんだっけ?幼虫が蛹になってトランスフォームするヤツ?」


「そうそう。」


「あったなぁそんなの。」




あさぎは頭上の蝶を刺激しないように、目だけで蝶を見上げた。




「じゃあ蝶を失ったきはだは不完全な変態?」


「そうそう、おんなじ姿のまんま脱皮して大きく……って誰がバッタじゃあ!」


「う〜ん理不尽。」




あさぎの頭が揺れたのに反応して再び蝶が飛び立った。




「や〜い不完全変態。」


「2人ともバッタかぁ。」


「2人でキックでもするぅ?」


「悪者いないのに?」


「それもそっかぁ。」




2人が雑談している間も、蝶はゆったり、ヒラヒラと部室の中を飛んでいた。




「……なかなか出て行かないね。」


「きゃつは今もこうして、わたしたちを完全な変態にしてやろうと狙っているのさ……。」


「私たちを完全な変態にしてなんのメリットがあるのさ。」


「全人類変態化計画?」


「悪者けっこう近くにいたなぁ……。」


「2人でキックでもするぅ?」


「オーバーキルだし届かないでしょ。」


「それもそっかぁ。」


「「あ。」」




蝶が開きっぱなしの部室のドアから外へと飛んでいった。




「行っちゃったぁ……。」


「今度は誰を完全な変態にするんだろうね。」




『おっと!?』




「外から白ちゃんの声が……、


「次の変態は白ちゃん先生かぁ。」




『何この蝶、しっし……!』




「まとわりつかれてるね。」


「白ちゃん変態だからねぇ。」




『あ、こら留まるな!この……っ!』




「懐かれてるねぇ。」


「虫って懐くの?」


「さあ?」




あさぎときはだが部室の外で蝶と奮闘する白ちゃんを肴に語り明かしていると、




「ああもうなんなのよあの蝶!」




白ちゃんが部室に駆け込み、勢いよくドアを閉めた。




「あ、完全な変態だぁ。」


「お疲れですね、完全な変態先生。」


「なんなのよ……。」


「さっきは蝶とお楽しみでした?」


「ああ、あれ?いきなりまとわりついてきて……ほんと、なんなのよ……!」


「そう、完全変態の蝶に留まられたということは……完全な変態として認められたということなのだよ白ちゃん!」


「あ〜、『完全変態』ってイモムシが羽生えて飛ぶアレ?」


「そうです。」


「なんで表記を『変態』で揃えちゃったのかしらね?」


「だってヤツら子作りのことしか考えてないもぉん。」


「確かに。」


「そういう意味だと『完全』に『変態』……蝶とかカブトムシの成体はさしずめ、『子作りフォーム』って訳ね。」


「「うわぁ……。」」


「なによ、誘導した癖に。」


「いや、ヒーローものとかそういう目で見てるのかなって……。」


「やめろやめろ。」


「やはり不完全変態……!」


「お子さまに見せても大丈夫なのはバッタやクモくらいか……。」


「日本はバッタが人気で海の向こうだとクモが人気だもんねぇ。」


「あ、本当だ……!?」






あーかい部!(4)




あさぎ:投稿完了


白ちゃん:あの蝶どこ行ったのかしらね


ひいろ:蝶?


きはだ:完全変態だよぉ


ひいろ:幼体と成体が蛹を経て別物になるアレか?確かに蝶は完全変態だが……


きはだ:詳しいねぇ


ひいろ:理科の教科書に出てこなかったか?

あさぎ:ひいろ好きそうだもんね


ひいろ:おい




ひいろ:変な蝶もいるもんだな


白ちゃん:まったくよ!しつこくまとわりつかれて鬱陶しいったらないわ!


きはだ:白ちゃん変態さんだから


あさぎ:私ときはだは動いたらすぐ離れて行ったよね


ひいろ:蝶から見ても白ちゃんの方が変態なんだな


白ちゃん:『も』ってなによ


きはだ:お胸に手を当てて考えてみて〜


あさぎ:当てる胸があればだけどね


白ちゃん:おいこら愚妹(いもうと)


ひいろ:モーラさんいたのか


あさぎ:ストレスはおっぱいに良くないんだぞ〜?


白ちゃん:たいして変わんねえだろサイズ言ってみろ、おん?


あさぎ:う〜ん、これは完全変態


きはだ:これは見事なカウンター


白ちゃん:合法とか言って身内の生徒に手ぇ出してる方が変態でしょ


あさぎ:あさぎとは姉妹みたいなもんだし。ねえ?

あさぎ:最近は家族と一緒に外食行ったりしましたね


ひいろ:なんだこの腹話術感……


きはだ:距離感クリンチで草ァ!


白ちゃん:何勝手に他所で家族作ってんのよ……


あさぎ:お?お?羨ましい?


白ちゃん:そんなに家族が良いなら久しぶりに実家にでも帰る?


あさぎ:すみ姉の鬼!悪魔!悪代官!


白ちゃん:やれやれね……


ひいろ:悪代官そこに並ぶのか……?


白ちゃん:まあ、強がっても所詮は妹。本物の姉の私に姉力では叶わないわよ?


きはだ:う〜ん……そうかなぁ


白ちゃん:きはだちゃん!?


あさぎ:あさぎはどう思う?

あさぎ:モーラさんは料理作れるしなぁ


ひいろ:わかっていても腹話術感

白ちゃん:あさぎちゃん!?


ひいろ:ワタシはまだあまりモーラさんのこと知らないからなんとも……だな


あさぎ:だってさ、すみ姉♪


白ちゃん:な、な、な、な……!

白ちゃん:そんなの認めないわ!お姉ちゃんは私なのよ……!?


あさぎ:はぁ……どこまでもステータスにこだわる辺り、やっぱあの人の子なんだねぇ


白ちゃん:あんたも血を分けた姉妹でしょうが


あさぎ:もう白久家の人間じゃないし〜

あさぎ:私の名前はモーラ・コロル!誰よりも自由に人生を謳歌する者の名前、覚えておくことね♪


白ちゃん:やれやれ……

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