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恐怖の本棚

プールから伸びる手




 これは、私が小学四年生の頃の話。


「あれ?お花のヘアピンがない」


 放課後、学校の図書室で本を読んでいると、ふと前髪にヘアピンがないことに気づいた。それは、お母さんが私の誕生日の時に買ってくれた、お花の飾りがついたヘアピンだった。


「え~落としちゃったのかな?それとも、どこかで外したっけ?」


 と呟いた瞬間、私は、はっとなった。


「そうだ!プールの時に外したんだ!」


 泳いでいる時に無くしちゃいそうだからって、水着に着替える前に外してロッカーに置いたんだと、思い出した。そのことを思い出すと、私はランドセルを背負い、図書室を出て急いでプールの方に向かった。


 プールは校舎の後ろの少し離れたところにあった。プールの入り口のドアに鍵がかかっているかもしれないと思ったが、鍵はかかっておらず。私はプール入り口に入ると、真っ直ぐに更衣室の方に向かった。


「あった~……よかったぁ」


 私が使っていたロッカーを開けると、ヘアピンがあった。私はそれを手に取り、ロッカーにあった鏡を見ながらそのヘアピンで前髪を留めた時だった。プールの方から、どぼん!と音がした。


「誰か泳いでいるのかな?でも、こんな時間に?」


 するとふと、以前に友達が話していた怖い話を思い出した。

 私の学校では昔、プールの時間に足をつって溺れて亡くなってしまった女の子がいたとか。その子が幽霊になり、時々その子がプールの授業中の子達の足を引っ張って溺れさせようとしている──と言う噂話だ。


「まさか、その子が……?」


 怖いなと思いつつけど好奇心に駆られ、私はプールの方に行ってみた。恐る恐るプールに近づき、プールを覗き込んだ時だった。


 バシャッ!!


 突然プールから手が伸びてきて、私の腕を強く握った。水着姿の女の子だった。


「いやああああ!!」


 私は悲鳴を上げながら掴む手を振りほどき、プールから走って逃げた。


 その日、私は怖くて一人で眠れず、お母さんに頼んで同じ布団で眠った。けど、あの時の女の子の幽霊が私のことをプールに引きずり込もうとする夢を何度も見て、その度に泣きながら目を覚ました。

 結局、殆ど寝不足の状態で学校に行く事になった。すると学校に着くなり、体育館に集まるよう放送が流れ、体育館の方に行った。



 校長先生の話によると、昨日夕方ごろ、無断でプールで泳いでいた女子生徒がプールで溺れて亡くなっていたとのことだった……




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― 新着の感想 ―
うーむ…これは何とも悲しい話ですね。 普通のプールの授業や市民プールでしたら、仮におぼれても先生や監視員といった大人が助けてくれますけれど、この場合はいない訳ですし。 やはり人目を盗んで勝手な真似をす…
無断でプールで泳いでいたのが悪いな。一人だし。まぁ自業自得である。
な、なんか、リアル。 女の子の幽霊さんかと思いきや。 え? マジの事故……? 解釈の仕方かも知れませんが、本当に実は誰かがプールで溺れてて。 けど、その本当の原因は──。 やっぱり、噂は本当で。 少女…
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