駄々をこねない駄々っ子と、俺は72億人の中からアイツと出逢った
普段行かないスーパーにブラリ。
お菓子を販売している通路に親子連れ。
2~3歳くらいの男の子がゆっくり地べたに座り、そのまま仰向けに寝て、天井をじっと見始める。
無視して買い物を続ける母親。隣の通路にそのまま行ってしまう。
永遠に近い1分間弱の時間。筆者は片目でこどもを観察。
まったく動じず、ただただ天井を見つめているおチビ。
やがて隣の通路から母親が戻ってきて、おそらく小僧のお目当てであろうお菓子をひとつ手に取り、こどもに見せる。
こどもは頷き、ゆっくりと立ち上がり、お会計へ。
ふたりとも、ひと言も口を聞かないからひょっとしてしゃべれない子供かとも思ったが、出口付近で、帰ったら見たいアニメのことをこどもが話し始め、母親が何やら答えていた。
スーパーの駐輪場でずっとたむろしているチャリとバイクの高校生5人組(来た時からいた)。
ひとりが「俺は72億人の中からアイツと出逢った。奇跡やよな」とつぶやく。
誰も笑わなければ、ツッコミもしない。ここは大阪なんだが?
なぜか、みんな同じ感覚を共有しているかのように、ほっこりとした雰囲気でいる高校生たち。
昔レミオロメンが、一億人から出逢ったとか歌ってたときも失笑したのに、72億人ていったいなんだ?
現在の地球の人口は80億人を超える。その中からなぜちょうど1割だけ省くのか?
一億人にしても、恋愛対象を全世代、全性別とした盛大な日本人愛みたいな曲だったのに、それを72億人に拡大とか、もうスケールがデカすぎる。
もし私が学生時代にあのグループにいたら、性別、年齢、ルックス、住んでいる地域などの数字に言及し、夢の欠片もないことを突っ込んでしまっていただろう。だけど、彼らは誰ひとり、恋の病の重症患者を笑わず、いっしょに優しく共感していた。こんな5人が同時に同じ場所に集まった奇跡は、おそらく地球の人口の数字を超えた確率になるのではないだろうか、と考えながら、ニッコリとその場を後にした。
不思議な夜だね。