初心忘れず生きていこう。
久しぶりに我が家に戻ってきた。朝日の柔らかい光がカーテンの隙間から部屋を明るく照らしてくれた。少し寝坊をしてしまったかもしれない。
一度は結婚したが、子供を持つことは出来なかった。ベッドに沈むように弱ったベッツを見た時とても残して帰ることが出来なかった。伯爵家に残ってしまったことに後悔はないが、少し長居してしまった。
このまま伯爵家に残って欲しいと伯爵様からの無言のお願い。ベッツの可愛さにずるずる残ってしまいそうな自分に鞭打って伯爵家を出てきた。
買っといてくれたパンとジャム、紅茶を入れて軽い朝食をとる。買い物をしないと食料品がない。
店や住居は弟子たちが手を入れてくれていたので綺麗になっている。我儘な店主をよく支えてくれた。伯爵は子供のために側に居て欲しいと言った。ベッツのためだけに生きて行けるかといったらダリアは生きていけない。
ダリアは、父のため、兄のため、夫のため、義母のためにと生きてきた。誰もダリア自身を必要としてはくれなかった。でも誰かに必要とされることが大切ではない。誰かの基準に合わせるのでなく自分の価値観を持たなければならない。
心を強く持ち知識を増やし制度を知り視野を広める。夫の有責でも貴族の離婚はなかなかできない。男性有利のこの時代にダリアのように生きるのはまだまだ難しい。それでも街に小さな店を持ち暮らしていける自分を褒めてあげたい。
軽く身支度して店の窓を開け空気を入れ替える。店回りを掃除して庭の手入れを考える。新しい朝の始まりだ。
店先に伯爵家の馬車が停まる。可愛らしいブーケを持って、伯爵が笑顔で降りて来た。窓の外を見ていないダリアはまだ知らない。
誤字脱字報告ありがとうございます。
感想も多くいただきました。返信が遅くなり申し訳ありません。
咲く日が説明文になりがちで読みにくいことが多かったと思います。
それでも最後までお付き合いいただきありがとうございました。




