毒を盛ったハンナ
タロット医師の診察後、伯爵はベッツに回復の見込みがあることが分かり安堵した。なぜ気が付かなかった。不甲斐ない父親だ。
マーカス医師の言う通り心の病だろうと思い込んでいた。心の病なら父親である自分がもっとベッツに寄り添えばよかったのだ。今更後悔してもどうにもならない。ベッツのこれからを考えていく。
まずは毒の経路。毒を飲ませたのはハンナで間違いない。マーカス医師も加担しているのか?ハンナはなぜベッツに毒を飲ませたか?ベッツの介護のためにマーカス医師が紹介してくれた。エリザベーナの勧めもあった。ハンナはベッツが死んだら伯爵家を辞めなければならない。
タロット医師が帰った後ハンナを呼びつける。その間に執事と侍女長にハンナの部屋を捜索するよう指示を出す。
ハンナはエリザベーナ様を無理やり帰したことに不満があるようでエリザベーナがどれだけ伯爵の事や伯爵家の事を思っているか話し始めた。べらべらと話すハンナに伯爵は問い詰めた。
「君はベッツに何を飲ませた。君は誰だ。何しに伯爵家に来た。エリザベーナに何を頼まれた?」
突然の伯爵の無機質な声にハンナは言葉が停まり声を出すことが出来なかった。 勢いよく執務室のドアが開く。息荒い執事が駆けこんできた。
「旦那様、薬の瓶を見つけました。引き出しの奥に隠すように保管されていました」
「ハンナ これはなんだ」
「薬です」
「何の薬だ」
「滋養のための薬です。エリザベーナ様がお嬢様のために届けてくれた物です」
すました顔で話すハンナが恐ろしい。
「ほ~ 小瓶は半分ほど残っているが何時から飲ませているのだ」
「体調が悪い時にマーカス医師の薬と一緒に飲んでいただいています」
「ではハンナが飲んでも大丈夫だよね。今飲みなさい」
「えっ ・・・」
「いいから飲みなさい。飲まないなら無理やり飲ませますよ」
庭師のサムがハンナを捕まえ、執事が顔を抑え鼻をつまむ。慌てたハンナは サムの手から逃げ出さそうともがく。ダナトリス自身が小瓶を手に取りハンナの口に流し込む。
「グウウ ゲボ」
むせながらハンナは吐き出す。
「死にたくない」とハンナは大声をあげる。
「このネックレスや腕輪はお嬢様の物ですが、どうしてハンナの部屋にあったのかしら?」
侍女長の冷たい声
「お嬢様から戴いた」
「嘘を言ってはいけませんね。こちらの首飾りは奥様の物、貴女に渡ることはない」
「・・・・・」
「誰の指示で、毒を持ち込んだ。いつから飲ませた。一人で罪をかぶって死刑になるか。よく考えろ。誰もかばってはくれない。ハンナよく考えろ」
伯爵の冷たい声がハンナに掛けられた。ハンナに先ほどの勢いはない。
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