はしゃぐエリザベーナと口角が上がるハンナ
ダリアがハンナの残していった二層に分離した薬液を銀のスプーンでかき混ぜた。銀のスプーンが黒く変色した。毒・・・薬の中に毒が入っている。ダリアと侍女のエマ、執事のワイルドカードは一瞬息を詰め御互いを見る。
不安そうにこちらを見ているベッツイナーお嬢様に気取られないようにしなければならない。ダリアは薬液の入っている器を手にする。
「あら、苦そうなお薬ですね。お嬢様は毎日飲んでいるのかしら」
「1年半前からです。ここ1週間は一日三回に増えました」
執事が答える
「お薬飲んでもすぐに吐いてしまう・・・・」
マナの声が震える。
ダリアは薬液の入った器を誤って落としてしまいドレスを汚す。
「「「あっ」」」
お嬢様を含めて3人が声をあげる。
「お嬢様手が滑って溢してしまいました。申し訳ありません。ワイルドカード様、服が汚れたのでお部屋を貸してもらえませんか」
「分かりました。お嬢様新しくお薬用意します。しばらくお待ちください」
執事のワイルドカードに目配せして部屋を出る。
「ベッツイナーお嬢様ダリア様を少しお借りしますね」と声を掛け部屋に残る侍女のマナに
「ハンナが来たらお薬は飲んだと伝えてください」と言づけた。
「ワイルドカードさん。あのお薬は?」
「医師の処方ではありません。エリザベーナ様がお持ちになった滋養強壮のお薬です。医師にも確認取ってあります。もう1年半ほど飲んでいます。まさか毒が入っているなんて」
困惑で執事の声は震えていた。
「いつから毒が入ったのかはわかりません。ただ前回来た時よりだいぶ弱っていますね」
「そうなんです。食事もとれず嘔吐したり、下痢したり、腹痛や手足の震えが・・・」
「旦那様に相談してください。医師が共謀しているかわからないので他の医師に診察を」
「分かりました。すぐに旦那様に連絡とります。侍女服しかありません」
「いいえ、ありがとうございます。残った薬を他に移して器をお部屋に」
慌てて執事は毒入りの薬を持って出ていった。
ダリアが侍女服に着替え部屋を出た所にエリザベーナ様の声がする。
「ベッツが倒れたと聞きました。心配で来てしまいましたわ。早く案内しなさい」
白いひらひらのドレスで介護するのか。今日も香水が臭い。ダリアは侍女のふりして頭を下げその横を通り過ぎてお嬢様の部屋に入る。侍女のマナとお嬢様に唇に人差し指をあてて口止めをする。
バタンと大きな音を立てて、ベッツイナーの部屋のドアが開く。
「ベッツ息してる?苦しい?あら?まだ元気みたいね・・・貴女には私がいます。安心して眠りなさい」
エリザベーナ様大げさな手振り身振りで、お嬢様を案じていると振る舞う。
まるでお嬢様が危篤のようだ。あの毒入り薬液飲んだら危なかった。しゃべり続けるエリザベーナの後ろにハンナが控えている。ハンナの口角が上がっているのが見えた。
「旦那様が戻られました」
執事のワイルドカードの声が響く。
「あら、帰宅のお出迎えをしないと」
今の事が嘘のように、身をひるがえしてエリザベーナ様は部屋を出ていく。
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