貴族からの依頼 ブルックリン伯爵ダナトリスとの出会い
ある日神殿長から声を掛けられた。寄進に来た貴族から服を依頼したいのでダリアさんを紹介してほしいと言われたと。よく神殿に来るらしい。とても良い人なので会うだけでもと神殿長に懇願された。
お世話になっている神殿長に頼まれては断れない。先方の都合の良い日に神殿で落ち合うことにした。数日後神殿で、対面したのは、アイスブルーの瞳にシルバーの髪やや神経質そうな文官系の貴族だった。
病で寝たきりの娘に可愛らしい寝衣を作って欲しいという依頼だった。出入りの業者に娘の弱った姿を見せたくない。本人も拒否している。
そんな時、神殿の成人の儀の孤児院の女の子の服が目に入った。簡素であるがどこかかわいらしい子供服が気になり神殿長に声を掛けた。
病弱な娘に豪華なドレスを作っても着れない。かえってつらい思いをする。
床に臥せっていても着れるような服をつくって欲しいとのことだった。一度お嬢様と会いたいとお願いをしたらすぐに了承された。
5日後に店に迎えに来ると言われたが神殿で落ち合うことにした。貴族の馬車は目につく。変な噂が流れても困る。10歳のお嬢様なら、お土産は可愛いものが良いだろう。腕を見てもらうために数枚のワンピースと可愛いうさぎのぬいぐるみを用意した。
うさぎのぬいぐるみは、水色のワンピースに白いエプロンを着せた。裾にはレースのフリルを取り付ける。リリアとマーガレットは、本人の服とおそろいの服を着たぬいぐるみも人気が出ると商売の話で盛りあがった。
昼食後に神殿に向かうと家紋入りの馬車が待っていた。神殿で待ち合わせてよかったと安堵した。年配の男性が神殿長と一緒にダリアを待ち構えていた。遅れていないはずだと冷汗が出た。
「神殿に用があったので早めについただけです」
と言われ安堵した。馬車に乗り30分ほどで木々に囲まれた大きなお屋敷に着いた。歴史を思わせる重厚な建物だが何処か陰りのある重い空気を感じさせていた。
迎えの男性にエスコートされ馬車を降りそのまま面談室に案内された。やや小ぶりの応接間だろうか。来客によって部屋が分かれているのだろう。確実にラザフォード家より格上だ。庶民の洋服屋に声を掛けるのだからと下級貴族とダリアは思っていた。
アイスブルーの男性が名乗らなかった。こちらからは名前を聞けない。格上が名乗らなければ、格下は声などかけてはいけないのが貴族なのだ。
手慣れた様子の侍女がお茶を入れると部屋を退出した。先ほど迎えに来てくれて男性がアイスブルーの男性と一緒に入ってきた。
「ダリア様、当家の主、ブルックリン伯爵です」
そのまま伯爵の後ろに立った彼は、この家の執事のようだ。ダリアは慌てて立ち上がった。
「ご足労頂いて申し訳ない。ブルックリン伯爵ダナトリスです」
「お声かけていただきありがとうございます。洋服屋のダリアです」
挨拶が終わり、お茶を進められる。少しの間歓談する。しばらくして伯爵は、今回の依頼の話を始めた。
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