ラザフォード子爵家は誰の噂になることもなく終焉を迎えた
ミリーと離婚。屋敷の使用人が辞め、閑散とした屋敷でエリオットは孤独だった。俺は悪いことはしていない何もしていない。いつも友達に囲まれていた。遊ぶお金に不自由はしていなかった。屋敷には多くの使用人がいて屋敷の中はきれいに磨かれていた。庭師がきれいな花を庭に咲かせていた。
美味しい食事が毎日出されていた。当たり前のように。
それなのに、今は屋敷の中に使用人はいない。いつ食事をしただろう。何時から人と話をしていないのか。声を掛けてくれる友人はいない。声を掛けてくるのは借金取りだけだ。
思い出すのはミリーの事ではない。父と母のいた頃だった。何の苦労もなかったころだ。そして、この静かな屋敷を見回す。何が悪かったのか・・・何が悪かったのか・・・。父が早く死んだから、何も教えないで死んだから、母が早く死んだからいけない。
あんなに愛したミリーが不貞したから、セバスもマーサも俺を見捨てたから。俺は何も悪くない。俺は、何も悪くない。
ミリーの実家から慰謝料を取ることは出来なかった。男爵位と屋敷を売っていなくなっていた。赤ん坊は、孤児院に預けミリーもいなくなった。もともと男爵は、借金があったようだ。
借金取りがもうすぐ来る。ミリーが作った借金が後から後から出てくる。屋敷にある物は売った。金など何処にもない。屋敷を売るしかない。いずれは爵位も売るしかない。俺は、貴族でなくなる。何になるんだろう。
ああ・・・俺は、何もしなかったからいけないんだ。父のことも母のことも感謝することが無かった。ラザフォード家の当主としてするべきことを何もしなかった。ダリアと結婚しても夫として何もしなかった。したのは不貞だけだ。すべて、自業自得。
ラザフォード家の屋敷はほどなくしてどこかの金持ちに売られていった。主のエリオットの行方は誰も知らない。ラザフォード子爵家は誰の噂になることもなく終焉を迎えた。
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