ラザフォード家の没落の始まり 3
妻ミリーが産んだ子は、とても可愛い女の子だった。髪の色さえ青色でなければ顔かたちが少しでも僕に似ていれば・・・。
「髪の色は違うけど顔かたちは、エリオットそっくりよ」叫んだ。その横で義両親は真っ青な顔をしている。僕は、喜びから絶望のどん底に落ちた。怒りより凍り付き冷え冷えする自分がいた。
ミリーに出会ってからの浮かれた自分が、見逃していたものが頭に流れ込む。ああ・・あの青い髪は妻が連れてきた若い執事だ。ああ・・あの若い髪の男は、昔からミリーの周りにいた。ああ・・あの若い男は、仕事だと言ってミリーによく会いに来ていた。 ミリーもあの男を部屋に呼びつけていた。
仕事だと思っていた。俺が忙しいから代わりに色々呼びつけられて悪いなと思っていた。間抜けだ!妻は最初から不倫していたんだ。
青髪の執事は捕らえてある。何も分からない領主だけど1年もたてばセバスの指導の元少しは分かるようになってきていた。
ミリーの個人的出費が多いこと屋敷内の人件費や食費の増額。ミリーが辞めさせた古参の者が多いのに増えるのはおかしい。執事自体の身なりが良くなり貴金属が増えていた。
屋敷の使用人を全部集めた。見知らぬ顔ぶれが並ぶ。ミリーが新規採用した者の解雇を告げた。
「ここ一年以内に採用された者は辞めてもらう。碌に仕事もせず盗難をする者を屋敷には置けない。部屋を確認するし逃走する者は捕らえる。盗難届を出さなければならないからね」
ぶるぶる震える者、そのまま逃げ出そうとする者騒然となった。
ミリーの部屋は古参の侍女に対応させているので心配はない。その後すでに売却されている物もあったが銀製食器から宝飾品と幅広い物が使用人の部屋から見つかった。執事と共に刑務部に突き出した。
泣き叫ぶ妻と泣く赤子を連れて男爵夫妻は帰っていった。夕方には、屋敷内は閑散となった。
俺は何をしていたんだろう。ミリーを運命の人だと思って母の反対を押し切って娶ったのに。何も見えていなかった。セバスやマーサの忠告も耳に入らなかった。最初から子爵家は傾いていた。ダリアの持参金でどうにかなったと言われていた。
そんなこと忘れて仕事もしないで金を使っていたのだ。金は母がいつも用立ててくれていた。父の苦言も、母の苦言も、・・・ダリアの苦言も、ただ煩わしかった。やるべきことがあったのに何もやらなかった。今自分の手には何もない。
一緒に遊び惚けていた友人たちは、いつの間にか爵位を継いで結婚して子供がいる。皆それなりに家を守っていた。貴族としての義務を果たしている。自分だけが大人になっていなかった。
エリオットは、愛しいミリーを連れて歩くだけで浮かれていた。可愛いお嬢さんだねと言われて喜んでいたが裏では、礼儀作法も知らない山猿と言われてた。可愛い賢いミリーならこれから学べばいいんだと思っていた。
いつの間にか二人は社交界から孤立していた。それさえも気が付かなかった。
屋敷内からの多くの犯罪者を出した。子爵家の管理能力の欠如、信頼は喪失した。セバスとマーサを探してもう一度働いてもらわなければ、子爵家は潰れてしまう。エリオットはセバスもマーサが何処にいるのか分からない。途方に暮れるしかなかった。
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