ラザフォード家の没落の始まり 2
俺の馴れない仕事で苦労を掛けたせいか過労でセバスが倒れた。ミリーは、役立たずの年寄はやめさせて若い執事を雇うことを進めてきた。時を置かずにミリーが、一人の青年を連れて来た。 聞けば、学院を首席で卒業し文官として仕事をしていたらしい。
そんな人を引き抜いてくるとはミリーは、ラザフォード家の女主人立派な子爵夫人だ。ダリアなど母がいたから仕事ができただけだ。その時は本当にそう思った。そして 古くからいた使用人がいなくなり新しい若いメイドが増えていた。
屋敷の中は薄汚れ、掃除がいきわたっていないことにしばらくして気が付いた。マーサがいた時はいつも整然として玄関ロビーに花が生けられていた。シーツもパリッとして 気持ちよかった。当たり前が当たり前でなくなると目につくことが増えた。
お茶が美味しくない。料理の質が落ちた。何処かしこで無駄話の声がする。物音もガタガタ煩い。新しい執事のダリーに色目ばかり使う若いメイド達。怒鳴り散らすミリーの声が増えた。それでもミリーのお腹は大きくなって結婚一年目の春ミリーは女の子を産んだ。
俺の家系にもミリーの家系にもない青い髪の女の子だ。ちょうど最近採用した執事と同じ青い髪色だった。目鼻さえ俺に似ているとこが無い。 俺でもわかる。ミリーは泣きながらどう見ても似ていない赤子を指さしてエリオットの子だと叫ぶ。
出産のために来ていたミリーの両親男爵夫妻は、言葉も発せず項垂れていた。一度に頭に上がった熱が急激に冷えていった。
子供さえ生まれれば元に戻ると思った。ミリーの優しい声も落ち着いた日常もすべて元に戻ると思っていた。ああ・・・もういい。
「男爵、ミリーの今の状態では話になりません。親であるお二人に話があります。不貞による離縁状へのサインをお願いします。あれだけ騒げるなら、すぐに男爵家にお連れ下さい。男爵夫人は侍女と一緒に荷造りしてください」
うろたえる男爵夫人の横でさすが男爵はやや声を震わせた。
「生まれてすぐは赤子もミリーも可哀そうだ。せめて数ヶ月...」
「何を言っているのですか結婚前からの不貞ですよ。さらに不貞相手を執事として家に連れ込んでいるのです。男爵なら許せますか。その執事は、横領にも手を染めている。
もし赤子の髪がミリーの色なら僕は、知らずに不貞の子に家を継がせるとこでした。家の乗っ取りです。訴えれば重罪です。すぐに出ていってください。謝料は追って請求します」
男爵はあわてて離縁状にサインをして執務室から出ていった。
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