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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第3章

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王太子の帰還

私生活が落ち着き、ようやく「ネガティブ令嬢」の更新を行える環境となりました。

今日からは今まで通り 2、3日に1度のペースで投稿していきますので、よろしくお願いします!

文官試験まであと1ヶ月となった9月。王都は大いに盛り上がっている。無理もない。王太子殿下が外国から帰還なさったのだ。




「王太子殿下にご挨拶申し上げます」

「あぁ、カートレッタか。久しぶりだな。隣の令嬢は…ロザリンド嬢か?」

「はい、クララベル・ロザリンドでございます」

セレン様に倣って深々と淑女の礼をする。王女殿下の2歳年上であられる王太子殿下は、非常に優秀な方だと言われている。私がクララベルになってからお会いしたのは初めてで、ずっと外国を見て回っておられたので、詳しいことは何も知らないが。


はて、という殿下の顔。おそらく殿下の記憶の中のクララベルと今の私が上手く一致しないのだろう。

ヴェラやシェルファの証言によると、以前の私はもっと明るい色味のドレスを好み、髪もアップスタイルにするのが常だったという。それに対し今の私は、濃いアメジスト色のドレスにふんわりと巻いた髪を下ろしている。これでは殿下が疑問に思うのも当然なのかもしれない。


「彼女は10年ほど前に病に倒れ記憶を無くしたのです。ですから、初対面ということでお願いいたします」

「…そうか、大変だったのだな。今日は楽しんで行くといい。これから顔を合わせる機会も増えるだろうからよろしく頼む」

「光栄に存じます」


王太子殿下へのご挨拶を終え、セレン様とは1度別れて王女殿下たちの輪に加わった。社交界に顔を出すようになった8年前は友人もおらず、ただその状況にビクビクと怯えているだけだったのに、今ではこうして複数の友人と楽しく過ごすことができている。

「クララベル様!何だかお久しぶりですね」

「そうですね、試験の勉強が忙しくてなかなか時間が取れませんでした」

「お忙しいのなら仕方がないですね。王女殿下の婚姻の儀には出席なさいますよね?」

「もちろんですわ。今からとっても楽しみにしておりますもの」


半月後に予定されている王女殿下とグレシャム様の婚姻の儀。王都にある一番大きな聖堂で行われるそれは、王太子殿下の帰還を待ってようやく実施されるものだ。とっくの昔に16歳を迎えたおふたり、そして何より私とセレン様の友人が結婚するのだから試験勉強を理由に欠席などあり得ない。その1日を心置きなくお祝いに使っても後悔しない程度には日頃から努力は重ねているつもりだから。


「みんなに祝ってもらえるなんて、その日は私が世界で1番幸せな花嫁ね」

「当然です!殿下に幸せになっていただかなければ私がグレシャム様に決闘を申し込みます!」

「ふふっ、メイフェル嬢ったら。パンセは剣術はてんでダメだからお手柔らかにね?」

確かに、今年の春から正式に騎士としての任務を始めたメイフェルに勝てる令息は数少ないだろう。


「カートレッタ様は来春から騎士国に入団なさるのですよね?」

「はい、そのつもりにしているとお聞きしました。一応試験を受けるそうですが、お義父様は騎士団長様ですし、ご本人も相当な実力をお持ちですから、もうすでに受かっているようなものですね」

メイフェルは実家が騎士の家系でもなければ、史上初の女性見習い騎士だったので、実力を認められるまでに約3年かかったわけだが、セレン様は違う。彼は何といってもカートレッタ侯爵家の嫡子だし、実力もお義父様のお墨付き。

「さすがですね。社交界ーハイスペックなカートレック様と幻の天才令嬢のクララベル様、お似合いの一言に尽きますわ」

「ジニア様ったら、そんなにほめても何も出ませんよ?」

「あら、残念ですわ、ふふっ」





「今回の題は『王宮文官の仕事に求められるのは質か量か』です。それではグループディスカッションを始めてください」

研究の時間が終わり、放課となったアカデミーのSクラスの教室。以前から約束していた練習が始まった。


「はい!僕は量だと思います。文官の仕事の量はとても多いので、いかに効率よく捌けるか、ということが大切だと思います」

「なるほど、ジュリオさんの意見には納得ですね。クララベルさんはどうですか?」

進行役のセレン様、書記のルードラさん、ジュリオさんとアドベイラ、私は議論をする立場だ。


「そ、うですね。確かに量をこなすことも大切だと思います。でも私はそれだけではなくて、民心に寄り添うような質も必要ではないかと思いますね。量を求められる仕事なのか、質を求められる仕事なのかを見極めて適切に対処することが1番大切なのではないでしょうか」

「……」


教室に流れた沈黙。何か変なことでも言っただろうか。グループディスカッションの練習なのに、こんなふうに全員が黙ってしまってはよくない。

「あ、の…みなさん?」


心配になってみんなの顔を見回すと、あはは…という苦笑いをされた。

「この練習、必要あります?」

「いえ、ないですね」

「ですよね、僕もそう思います」

「私も」


なぜに…?


「とにかく、ララにはもう練習は必要ありませんね。ジュリオさんはその元気さを少しおさえて、題に対して出題者がどんな答えを求めているのかを考えてみましょう」

セレン様とルードラさんの講義は長く続き、練習前よりもずっと知識がついた状態でお開きとなった。

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