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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第1章

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初デート

「そうでした、3日後予定はありますか?」

「いえ、特になかったと思いますが…」


そう答えただけなのに、いつの間にか外出の約束がされていた。えっと、これはどういうことだろうか…こっちの世界に来てからまだ一度も屋敷の敷地外に出たことがないのに、いきなり外出?外は怖いから嫌です、出たくないです!!

ただひたすらに悩んでいるうちに、当日になってしまった。




「ララ様、こちらの青いドレスはいかがですか?」

「髪はどうされますか?いつものハーフアップも可愛らしいですが、デートには少し物足りないですよね?」

いつも身支度はヴェラが1人でしてくれるのに、今日は異様に人数が多く、気合が入っている。


「あのーみんな?デートと言ってもお食事をしに行くだけよ?そんなに気合いを入れなくても…」

「何を仰っているんですか!初デートですよ、気合いは入れすぎぐらいがちょうどいいに決まってます!!」

ヴェラの目が本気すぎて少し怖い…すみません、おとなしくお任せします。



しばらく侍女たちに好き放題いじられた結果、ようやく落ち着いた頃には約束の時間まであと少しというところだった。時間をかけただけあって、いつもよりクララベルの美しさが際立っている。侍女たちの気合いのすごさに、デートはしたことがないし、外出なんてどうしようと悩んでいたことさえ忘れてしまった。


「お嬢様、カートレッタ様がお見えになりました」

準備は万端、深呼吸をしてエントランスに向かう。

エントランスにはいつもの2倍以上キラキラしたオーラを纏ったセレン様が立っていた。これはヴェラたちの言うとおりにしておいてよかった。危うくセレン様の隣を歩く霞になるところだった。


「こんにちは、ララ。私のためにおしゃれをしてくれたと自惚れてもいいのでしょうか?」

「えっと…はい」

「だめだ、可愛すぎる。街の中に連れて行っても平気か?連れ去られてしまわないか心配だ……さぁ、行きましょう。今日は見せたいものがあるのです」

何か言っていたようだけど、声が小さくて聞こえなかった。大事なことじゃなければいいんだけど。


エスコートされて馬車に乗り、初めて敷地の外に出た。王都は道が綺麗に舗装されていて、建物が所狭しと立ち並んでいる。馬車の窓から見る景色は活気にあふれていて、心配したほど怖いものではなかった。

それはそうと、どこに向かっているのだろう。外出の約束をした時に聞いてみたけれど、当日のお楽しみだと教えてもらえなかった。あまり人が多くないところが嬉しいんですけど…



そんなことを考えながら外の景色を眺めていると、小さな可愛らしいお店の前で馬車が止まった。ここが目的地なのだろうか。侯爵家のご子息が行くには少々庶民的すぎる気がしますが…

「到着しましたね。さぁ、お手をどうぞ」

「ありがとうございます」


馬車から降りてお店の中に入ると、テーブルセットがいくつか並べられたカフェのような空間だった。他のお客さんが食べているスイーツがとても可愛らしくて、不覚にもテンションが上がってしまった。

「私たちは2階へ行きましょう。景色が綺麗ですよ」


階段を上がると、2階の窓からは中央広場の様子が一望できた。席につき、今月のおすすめだというフルーツのタルトと紅茶を頼む。セレン様はモンブランとコーヒーという、8歳だとは思えない大人なチョイス。

「連れて来てくださってありがとうございます。景色も綺麗で、スイーツも美味しそうで…夢のような空間ですわ」

「ケーキひとつでそんなに素敵な笑顔が見られるのなら、世界中のケーキを集めたくなりますね」


時々こうやってクスッと笑えるような冗談を言ってくれて、出会った頃の沈黙が嘘のように楽しい時間を過ごした。家族以外で、こんなに気を使わずに話せる相手なんて前世を合わせても初めてだ。きっと、会話のキャッチボールを強制されないのが、気楽で過ごしやすい理由だと思う。



ケーキを食べた後は再び馬車に乗り、小高い丘のような場所へやって来た。色とりどりの花々が咲き誇り、中央には大きな木が座っている。いかにもデートスポットという感じの場所だ。

木の下に準備されていた敷物の上に腰を下ろしたセレン様は、すぐ隣に手を置いて私に座るよう言ってくれる。少し間隔を開けて座ると、なぜだか笑われてしまった。ふわっと花が咲くように笑うセレン様に、思わず見惚れてしまう。本物の花が目に入らなくなるほどに。


「大丈夫ですか?もしかして体調が悪くなったとか…」

「えっ、あ、いえ!大丈夫です、すみません」

「そうですか、随分と顔が赤いですけど…」


ほぼ反射的に顔を手で覆い隠した。見惚れていたのに気づかれてしまったかもしれない…恥ずかしい。

「ふふっ、可愛い」

「か、からかわないでくださいませっ!」



お互いの趣味や好みの話をしているうちに、お開きの時間になってしまった。名残惜しく思いながら帰りの馬車に揺られていると、だんだん眠たくなってきてついに意識を手放した。

私を呼ぶ声が聞こえて目を覚ますと、至近距離にセレン様の顔があり、びっくりしてしまった。どうやら肩をお借りしていたみたいだ。体重をかけてしまって申し訳ない…それに、寝顔が変じゃなかったかとても心配。


「色々と連れ回してしまってすみませんでした。ゆっくり休んでくださいね」

伯爵邸の馬車止めでセレン様と別れ、そのまま自室に直行する。自分が思っていたよりも疲れていたみたいだ。ヴェラに手伝ってもらいながらドレスを脱ぎ、軽く湯浴みをしてすぐにベッドへ入った。ふかふかの布団に包まれて、深い眠りへと落ちていった。

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