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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第3章

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夢物語

思い立ったが吉日、と晩餐の後にお父様とお母様、シェルファの3人に自分の考えを話した。何か職に就きたいと思っていること、セレン様が応援してくれていること、カートレッタ侯爵家への説明はセレン様がしてくれていることなど、すべて。


「私は反対しないわよ。カートレッタ侯爵家に迷惑をかけない程度なら、ララの好きなようにして欲しいと思っているから。その道を進むのが大変なのはララも分かっているでしょうし」

想定通り、お母様はすぐに理解を示してくれた。高等部に進学したいと頼んだ時もお母様はすぐに許してくれた。ただ、実質的に必要なのはお父様の許可。このロザリンド伯爵家の当主であるお父様の許可がなければ、成人前の私にできることは何もない。


「…許可できない」

しばらくの沈黙の後に放たれたお父様の一言は重く、心の奥深くに沈みこんだ。もしかしたら反対されるかもしれないと懸念してはいたのだが、いざ現実となると驚いてしまう。はっと息をのみ、お父様の目をまっすぐ見つめて問う。


「それは、なぜですか…?」

「クララベルとカートレッタ様のことを大切に思っているからだ」

大切に思っているのなら、私の意思を尊重してくれてもいいのに、と思ったが、口にはせず、ぐっと飲み込んだ。この決定を覆す気はさらさら無いという顔をされたから。

リアネン様に頂いたこの人生は、後悔を残して終えたくない。だから諦められない。



自室に下がってソファに腰を下ろし、クッションを膝に乗せて体重をかける。ヴェラがテーブルの上に紅茶を用意してくれたが、口にする気分になれない。


お父様は「私とセレン様が大切だから認められない」と言った。おそらく、ただでさえ社交界からの視線が鋭い私たちが変わった動きをすることで、より厳しい立場になることを懸念しているのだ。もちろん、私だってそれを考慮していないわけではない。でも、1000年以上のアカデミー史において初めて貴族令嬢の高等部生になった私が今更変わった動きをしたところで、もともと目立っていたのだから関係ないだろうと思うのだ。もはや目立つこと自体は諦めている。

きっと、何か明確な目標を定めなければ、許可されることはないだろう。お父様はそういう人だ。




「何をそんなに難しそうな顔をしているのだね」

「あっ…申し訳ありません、お祖父様のお時間をいただくほどのことではございませんわ」

経過観察のためアイドクレース公爵邸にやってきたのだが、どこか上の空でチェスの駒を動かす手が止まっているのに気づかれたらしい。にっこりと笑って見せたが、おじい様の顔は晴れなかった。


「医者の言いつけを守って酒も辞めたというのに、可愛い孫の相談に乗ることも許されないのか…」

わざとらしくシュンとしたお祖父様には敵わない。仕方がないので、人払いをして話を始めた。私の話を遮ることもなく、ただ相槌を打って聞いてくださるおかげか、自分の意識の奥深くに眠っていた言葉までもが紡がれた。さすが元王族というところだろう。


「私は現在手掛けている事業のようなことを仕事にしたいのです。もっと規模を大きく、それこそ国中の人を対象としたものに関わって、幸せにできるような仕事を」

私の話を聞き終わったお祖父様は、なんだそんなことかと拍子抜けしたような顔をして言った。


「文官に、王宮文官になればよいではないか」

「わ、私は何か秀でた才能があるわけでも、努力を継続できる根性がある訳でもありません…ですから私なんかは王宮文官などという高尚な職には相応しくありません」

王宮文官とは、日々発生する国内外の諸問題に対応する官僚のような職だ。身近な例でいうと、中等部卒業式の頃に南部で発生した感染症への対処が仕事に含まれる。と言っても部署が変われば扱う内容も変わるので簡単には表せないが。

お父様や最初の研究発表会で質問を頂いたヘリオドール様は行政部という内政と外交を主に扱う部署の配属。他には日本でいう警察のような働きをする部署や貴族たちからの報告書を取りまとめる専門の部署があったりする。

国王陛下の指示に従って仕事をするのだから当然だが、王宮文官になるのはとてもハードルが高い。なんせ条件がいくつもあるのだ。まず、アカデミーの高等部を卒業していること。そして身元がはっきりしていること。業務に足る能力があることなどだ。その結果必然的に9割9分が貴族の男性で、残りの1分程度が平民の男性ということになる。当然と言うべきか、女性の文官は未だかつて現れたことがない。

そんな職に、私が就くだなんて大それた夢物語だ。何か職を持ちたいと考えた時点で女のくせにと後ろ指を指される覚悟は出来ているが、能力が足りない職に就きたいなどという常識知らずな願いを持つつもりは無い。


「はははっ!ララは随分と面白い冗談を言う。君が相応しくなければ誰なら相応しいというのだ。課題があるとしたら、その自己肯定感の低さだけだな。自分に自信をつけるといい」

お祖父様は快活に笑ってそう言ったが、それが出来れば苦労していない。

2、3日に1度の更新を目指すと言っておきながら5日ほど空いてしまってすみません…

必ず完結させますのでお許しください( . .)"

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