表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/120

衝撃の事実

教室のテーブルの上には軽食とデザートが並び、全員の手にはグラスが行き渡っている。

「それでは、研究発表会の成功を祝って、かんぱ〜い!!」

「「「「かんぱ〜い!」」」」


主催者であるジュリオさんの音頭のもと、会は始まった。参加者は5人だけのささやかなものだけれど、王宮で開催されるような仰々しいものよりよほど居心地が良くて楽しい。各々が好きなものを食べて飲み、取り留めもないような雑談だけが飛び交う。



「いやぁ、ロザリンド様が演台に立った時には正直、ヒヤヒヤしましたよ。普段は物静かで人と関わるのが得意じゃない様子なので!」

「おい、失礼だぞ…」

「あっ、すみません!」


ジュリオさんの謝罪を首を横に振って受け入れ、本当のことですから、と笑っておいた。確かに、私は人と関わるのが苦手だし、目立つような行動は控えているつもりだ。それでも、王女殿下やジニア様、あまり社交界に興味がないと言うメイフェルでさえ、いつも目立っていると言うのだが。


「僕の前ではそうでもないんですがね…」

「まぁ〜お熱いこと!」

セレン様の何気ない、独り言のような発言に、ジュリオさんから茶々が入る。そして場は沸く。

ジュリオさん以外、物静かな人が多いこのクラスがこんなふうにキラキラとした笑顔で満たされるのは、見ていてとても美しい。


「お2人は成人したら結婚されるんですよね?」

突拍子もないジュリオさんの発言に、私の思考は完全に止まった。それはセレン様も同じなようで。


「そ、うなりますね…そのための婚約だから」

先に動き出したのはセレン様だった。

今まで次期侯爵夫人としての教育を受け、セレン様の隣に並び立つために努力をしてきたという自負はある。でも、結婚という言葉を突きつけられると、一気に現実味を帯びた気がした。


私とセレン様の婚約は、元々両家の利害の一致によって結ばれたものだ。それは間違いのない事実だが、社交界では、「欠点を補いたい侯爵家と権力が欲しい伯爵家の利害が一致した」だとか、「忌み子と記憶を失った令嬢、他に婚約者を見つける方が難しい」と言われている。

私たちは、今ではお互いを想い合った、れっきとした恋人同士だ。でもそれを理解してくれる人たちばかりではないということ。その現実は、事実と関係なく変わることはないのだろう。


「ということは、1番最初に結婚するのはセレン様とロザリンド様でほとんど確定ですよね。その次は誰だろう…」

どうやら今日のジュリオさんは恋バナの気分らしい。普段でさえよく回る口だが、今日はいつになく調子がいい。


「可能性としては僕ですよね。恋人がいますし…」

「「えっっ!?」」

衝撃の発言をしたのは、ルードラさんだった。予想外の出来事に、私とアドベイラは理解が追いつかなかった。いつでも冷静で口数の少ないルードラさんに恋人がいるというのは全くの初耳。セレン様とジュリオさんが全く驚いた素振りを見せていないということは、2人はすでに知っていたのだろう。


「ルードラくん、恋人がいるんですか!?」

「はい、お伝えしたことありませんでしたか?もう2年以上前からですよ」

「そんなに前から…知りませんでしたわ」


セレン様とジュリオさんは、研究の視察でロザリンド伯爵領に行った時に聞いたそうだ。ちなみにお相手は、元中等部の平民科Aクラス所属の女の子で、世界地理学の授業をきっかけに仲良くなったのだとか。

「彼女は中等部を卒業して地元に帰ったので普段は会えませんけど、手紙のやり取りはずっと続いています。夏の休暇に入ったら、会いに行く予定にもしているんですよ」


どちらかというと表情が変化することの少ないルードラさんが、ほんの少し頬を染めて話す様子を見る限り、交際は順調なようだ。こうして他の人の恋バナを聞くのは随分と久しぶりなので、不覚にもワクワクしてしまっている自分がいる。

「とても仲がいいということがよくわかりますわ。結婚も視野に入っているなんて、よほどお相手のことを大切に思っているんですね」

「そうですね。こんな僕のことを楽しい人だと言ってくれる人ですから、大好きですよ」


ルードラさんの口から飛び出た惚気に、飲んでいた紅茶を吹き出すところだった。セレン様は本人にも周囲にも直接的な愛情表現をする人だが、ここまでではない、と思いたい。こんなふうに周りに公言しているのを想像しただけでいたたまれない気持ちになるから。


「はい、ララ。気持ちはわかるけど落ち着いて?」

ハンカチーフを手渡してくれたセレン様にお礼を言う。吹き出しそうになったのがバレないように取り繕ったつもりだったが、セレン様にごまかしは効かなかったみたいだ。


「セレン様が初めて聞いた時もあんな感じだったのですか?」

「そうだね。いろいろと参考になったよ」

「参考、ですか?」

「ララに僕の気持ちをはっきり伝えることができる言い方、とか、愛でる方法とか?」

「分かりました、分かりましたのでその辺りでやめてください…」


セレン様はどうして?という顔をしたが、クラスメイトの前でそんなことを言われて恥ずかしいからに決まっている。


「このクラスの男子は2人とも…どうしてそんなにまっすぐ表現できるんだよ!」

ジュリオさんは少しやさぐれ気味だが、気にする必要はないと思う。普通は本人や他人の前でこんなにも堂々と愛情表現をするものではない。この2人が少しおかしいのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ