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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第2章

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気になる人、好きな人、愛している人

「あはは!さすがララだね!」

「笑いごとじゃありませんわ…国中の貴族が集まる場で陛下から勲章を頂くなんて、想像しただけでも気絶しそうですのに!」

私の身に起きたことのあらましをセレン様に話すと、めずらしく声を上げて笑われた。


「ごめんね。確かにそうだけど、当日は隣に僕もいるから安心して?」

「えっ、セレンも叙勲を受けるのですか!?」

セレン様も私と同じく、先の感染症の収来に尽力したとして叙勲されるそうだ。本当は一緒に研究したルードラさんにも勲章が与えられるべきなのだが、平民という理由から省かれたらしい。その代わりに、将来職に就くときに陛下から推薦状を頂けるんだとか。要するに、将来が約束されたということだ。



「だけど、王太子妃にという話は聞き捨てならないね。こんなに可愛くて優秀なララを王家に入れたいという思考自体は理解できるけど。陛下には絶対に渡しませんとでも伝えておこうかな…」

焦てた私の様子を見たセレン様は、「冗談だよ、たぶんね?」と悪い顔で笑った。


「私なんかが王太子妃だなんて恐れ多いです。セレンの婚約者だというだけでもプレッシャーを感じているんですよ?」

王太子妃ということは、次期王妃ということ。現国王陛下の王妃殿下に直接お会いしたことはないけれど、元公爵令嬢様なので、きっと教養があって威厳溢れる方なのだろう。そんな方の後に続くだなんて、私には絶対に無理。実力も、自信も身分も不十分だ。


「また私なんかって言ってる…ララは僕の隣で笑ってくれていたらそれでいいんだからね?」

私よりも大きくて優しい手でふわふわと頭を撫でられると、漠然とした不安も少し消えるような気がする。それと同時に、なぜ、という疑問も生まれる。


「セレンはどうして、そんなにも私を必要としてくださるのですか…?」

「えっ、これでも伝わっていなかったの…?ちょっとだけ、ショックだなぁ」

不意に出た、ちょっとした疑問のつもりだった。でも、大きく息を吐いたセレン様は、私に向き合って続けた。


「ララのことを世界で1番、誰よりも愛しているから、かな。それこそ、ララよりも。僕は7歳のあの時、自分の命よりも大切な人を見つけたんだ。ララのためならなんだってできるよ。僕の全てだから…」


赤い瞳をまっすぐに向けられて告げられたその言葉は、私の心の奥深くに染み込んでいく。ストレートな愛情表現に、私の瞳は揺れた。

セレン様の気持ちを嬉しく思ったが、それと反するように転生者だという事実を隠している自分を申し訳なく思った。私も、セレン様に自分の気持ちを伝えたい。


「…私は、人が怖いです。6年が経った今でも、多くの人に注目されることや、話すことは苦手です。理由はまだ、話す勇気がないので明かせませんけど…そんな私のことを、見捨てずに大切にしてくださるセレンのことが好きです。愛、というものはまだ分からないですけど、いつか分かるとしたら、それはきっとセレンのために生まれる感情です。セレンは私に恋を教えてくれた人だから」

「ありがとう、本当に、嬉しい…」


私を抱きしめたセレン様は、それ以上何も言わなかった。でも、その一言に全てが詰まっている気がした。



「もう僕の気持ちを疑ったらだめだからね?」

「分かりました、心に刻んでおきます」

私には、王太子妃という大きな名誉は必要ない。セレン様の隣にいることが出来る権利さえあれば、私は幸せに生きていけるはずだから。





「ということで、セレン様にも分からないそうよ」

「そうなんですね…すみません、お2人の時間を私のために割いていただいて」

セレン様に自分の気持ちを伝えた日、ロザリンド伯爵領の視察の際に、アドベイラから頼まれていた件をようやく遂行できた。視察から帰ってすぐに聞いてしまえば、勘のいいセレン様が何かに気づいてしまうかもしれないので、間をあけたのだ。


聞いてみれば答えは簡潔で、「今思えば、ララが僕のスイーツを美味しいって食べてくれて、褒めてくれた時にはもう落ちてたからね。自分でもびっくりするよ」と言われた。セレン様も私と同じで、私に気になる人という名前をつけていた期間がなかったらしい。


「人の気持ちにこれという名前をつけるのは難しいことだから仕方がないわ。アドベイラの気持ちはアドベイラにしか分からないのだから、ゆっくり決めたらいいと思うわよ」

「そ、うですね…もう少し考えてみます!」


アドベイラを縛るものは何もない。彼女は比較的自由恋愛が許されやすい平民だし、中等部での人気も高かった。肝心のジュリオさんがどう思っているのかは分からないけれど。



「クララベル様とカートレッタ様はお互いを大切に思って尊重し合っておられますよね。貴族令嬢様方が憧れるのもよく分かります」

「なになに、恋愛の話?」

「私の名前が聞こえたような気がするしたんだけど…」


始業までまだまだ時間がある教室に、男子3人が連れ立って入ってきた。1番先頭を歩いていたらしいジュリオさんに先ほどの話が聞こえてないことを祈るばかりだが。


「クララベル様のことを令嬢様方によく聞かれたという話です。ご本人に聞くのは難しいので、私に、という様子でした」

セレン様をはじめとした私以外の4人はやけに納得げだが、私にはなんのことだか見当がつかない。アドベイラに私に関することを聞くのは分かるが、私の情報を入手する意図が理解できない。


「ララは社交界でも時の人だし、幻の天才令嬢と呼ばれているからね。実際は努力家なんだけど。令嬢たちがアドベイラに探りを入れるのも無理はない」

「直接聞いて…はご遠慮いただきたいですね。囲まれるのはごめんです…」


私の発言に、確かに!と笑いが起きた。

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