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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第2章

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視察④

日が開いてしまいすみません!

「お久しぶりです、カノンさん」

「先々月ぶりくらいかしら?変わりなくお元気?」

「はい、もちろんです!」

到着してすぐ学校長の部屋を訪ねた。ここにはロザリンド伯爵家から派遣した職員であるキャペルが学校長として駐在している。


「皆様、遠路はるばるお疲れ様でございました。ここの統括を任されております、キャペルと申します。質問などは何なりと私までお申し付けくださいませ」

「ありがとうございます。早速質問なのですが…」


キャペルとルードラさんの話は長引きそうなので、先にジュリオさんをつれて学校を案内することにした。私やアドベイラ、セレン様はよく知っているが、初めて来たジュリオさんには新鮮な場所だろう。


この学校には現在、大きな校舎と休憩用の小屋がある。校舎には学長室や教室のほかに、関係者の待機室、備品の保管庫などがある。日本の小学校に比べたらかなり簡素な作りで設備も足りないけれど、この世界で平民に教育を施すには十分過ぎるほどだ。

しかし、生徒数が増えてきて教室の数が足りなくなってきているため、造設を手配中だ。



「話には聞いていましたが、改めて見るとすごさがわかりますね…思いついたロザリンド様もですけど、許可をして資金を出した伯爵様もすごいです!普通は平民のための事業にここまで労力と税金をかけることなんてあり得ませんから」

「確かにそうですね、お2人と関係者の方々には感謝してもしきれません」

ジュリオさんとアドベイラは満足な初等教育が施されることなく自力で頑張ってきたので、余計にこの学校の重要性がわかるのだろう。


「元はと言えば領民から集めたお金ですからね。還元するのは当然です。それに、まだまだここ1校で終わらせる気はありませんよ。私が成人するまでにロザリンド領の主要5都市全てに開校するのが目標ですわ」


大それた夢だと笑われるかもしれないが、私は本気だ。平民向けの学校が1つあったところで、受け入れることができる人数は限られる。最終的な目標は全領民に初等教育を行い、識字率を90%にすることだ。そしてその過程で国全体に広がっていけば良いなと思っている。



「さぁ、そろそろ子どもたちが登校してくる時間です。せっかくなので手伝って行きましょう」

1番勝手をよく分かっているアドベイラがテキパキと指示を出していく。みんなで子どもたちを迎えた後、アドベイラは算術の授業、私とセレン様、ジュリオさんはその補助を、ルードラさんは先生たちと交流をするらしい。


「「おはようございます!!」」

「はーい、おはよう!」

校門で登校してきた子どもたちに笑顔を向けるアドベイラの姿は、もうすっかり先生のようだ。子どもたちはアドベイラ先生と慕って呼び、ハイタッチをしている子もいる。きっと、明るくてお淑やかな彼女だからこそ、こんなふうに打ち解けることができているのだろう。


「今日はララは授業しないの?」

「まさか…!」

以前授業をしたときは成り行きでそうなっただけで、もう1度と言われたら緊張して絶対にできない。それに今回はセレン様とアドベイラ以外にジュリオさんとルードラさんがいるから。


「それは残念。久しぶりにララの授業受けたかったのに」

「セレン様にならいつでもお教えしますよ?私なんかでは力不足かもしれませんが…」

「また私なんかって言ってる。だめだって言ったのに…」


私よりも大きなセレン様の手で頬を挟まれ、ね?と言われるともうそれ以上何も言えなくなってしまう。軽く首を縦に振って肯定すると、セレン様はふわっと笑った。

「約束だよ?」



「ねぇ〜おにいちゃんたち、ちゅーするの?」

「なっ!?…こんなところでするはずがない、です…わ」

「えーー、つまんないの!」

駆け寄ってきた男の子が本当に突拍子もないことを言った。こんなに人目のあるところでするわけがないでしょうに!


「ねぇララ、それってここじゃなかったらしても良いってこと?」

「そ、それは悪いことを考えてる時の笑顔です…!」

セレン様はこういう時、何かを企んでいるような、黒い笑顔を浮かべる。もう短くない時間を一緒に過ごした私には分かってしまうのだ。


「でもそういうことでしょう?」

「そんなこと言ってませんっ!」

「ごめんね?怒らないで…」

「まったくもう!セレン様は私のことをからかいすぎです…」


「お2人さん、そういうのは他でやっていただいても…?」

子どもたちの前で話し込んでしまったせいで、アドベイラからの視線が痛い。少し申し訳ないことをしてしまった。


「本当に、独り身の僕たちの心を確実に抉ってくるんですよね…」

「ジュリオ、一緒にしないでください」

「えっ、アドベイラもそう思うでしょ!?」

「私は別ですから」

「どういうこと!?」


楽しそうなので私たちはそっと退散することにした。アドベイラも自分の気持ちに名前がつけられる日が来るといいなと思う。

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