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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第2章

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視察③

翌朝、隣でアドベイラが動く感覚で目を覚ました。まだヴェラが起こしに来ていないので、いつもより早い時間なのだろう。

「あっ、すみません、起こしてしまいましたか?」

「大丈夫よ。どうせなら一緒に起きるわ」


今日は学校へ視察に行くので、とりあえず制服に着替え、いつもヴェラがしてくれるような感じで髪を結ってみる。しかし、あまりの下手さにアドベイラが笑って、代わりに結ってくれることになった。手ぐせなのか、お願いしたわけではないのに2つのおさげで、アドベイラとお揃いだ。いつの日かお揃いにしようと思った記憶があるので、珍しいけれど良しとする。


2人とも準備が整ったにも関わらず、まだヴェラは顔を見せない。外もまだ薄暗い。

このままずっと部屋の中にいても時間を持て余してしまうので、庭園を散歩することにした。4月の下旬はまだ朝晩が冷え込むので、コートを羽織るように伝え、1階へ降りた。

空には雨雲らしき雲が立ち込めていて、昨日のお昼に歩いた時とはまた違った雰囲気だ。アドベイラと2人、歩きながら取り止めもないような話をする。こんなに朝早くから友達と一緒に過ごして、笑いながら話せるなんて思ってもみなかった。

「もしかしたらセレン様たちが剣術の稽古をしているかもしれないわね。見に行ってみる?」

「ぜひ!」


中庭に近づくにつれ、セレン様とジュリオさんの声が聞こえてきた。木刀で打ち合っているのか、鈍い打撃音が響いている。

「おはようございます、皆様」

「あ、おはよう、ララ」「おはようございまーす!」

いつも通りのセレン様と、朝から元気なジュリオさんに対し、ルードラさんは静かにベンチに腰掛け、疲れている様子だ。昨日もぐったりとしていたがどうしたのだろうか。


「ルードラさん、大丈夫ですか?体調が悪いのですか?」

「あ、いえ…ご心配には及びません」

昨日セレン様にも大丈夫だと言われ、本人にも同じように言われたので引き下がろう。

「そうですか?もしも何かあればすぐに言ってくださいね」


首を縦に振ったのを確認して、セレン様とジュリオさんの打ち合いに目を戻す。

私も体力作りのために少しだけ剣術を習ったけれど、そう簡単に上手くなれるものではない。それなのに、昨日初めて剣を握ったというジュリオさんは筋が良いように見える。


「上手ですね、飲み込みが速い」

「ありがとうございますっ!」

切り込んだジュリオさんの剣は軽くかわされ、逆にセレン様の剣がジュリオさんの首筋に当てられる。勝負ありだ。


「「ありがとうございました!」」

2人は向き合ってお辞儀をし、稽古を終えた。


その時、ちょうど朝食の時間になったのか、ヴェラが呼びに来た。

「この髪は…アドベイラ様でしょうか?」

「は、はいっ!勝手に結ってしまってすみません…」


アドベイラの謝罪に対しヴェラは、いえ、ありがとうございます、と感謝の意を示した。

朝食はダイニングではなく、サロンでとることにした。本来はあまり褒められたことではないのだけれど、昨日の平民組3人の様子を見る限り、こうした方が良いと思う。やっぱり食事は楽しくあるべきだと思うから。



朝食を終えてもなお、視察の時間までまだ少しあるので、そのままサロンで作戦会議をする。王都を出発してから、ピクニックをしたり温泉に入ったりして、ちょっとした旅行のようになっていたが、本来の目的は学校の視察だ。実際に見学をして、通っている生徒や働いている関係者の声を聞くためにわざわざここまで来たはず。


「楽しくて目的を忘れかけてましたよ…」

「それは多分ジュリオだけです」

「えっ、嘘でしょう?ね、アドベイラも忘れてたよね…!?」

「一緒にしないでください、さすがに覚えてましたよ」


いつも通りのジュリオさんとルードラさんの掛け合いを見て、全員で笑う。

「とりあえず少し早めに向かって、登校の様子を見ることにしましょう。その後1時間目を見学して、関係者に話を聞きましょうか」

「分かりました、そのように手配しておきますね」


控えていた使用人は私が何も言わなくても動いてくれた。さすが第一線を退いたとはいえ、元・本邸の侍女だ。

「それと、ジュリオさんとルードラさんにお伝えしておくことがありますの。学校では、子どもたちや関係者の人たちに気軽に話しかけてもらいたいと思っています。そのための手段として、私のことをカノンと呼んでもらっているのです。お2人にも協力していただきますね」


「気をつけます」「了解です!」



そうこうしているうちに、出発の時間となった。学校まで歩いていくつもりだが、外は大雨だ。雨よけの外套を着て、布製の傘をさす。幸か不幸か、ちょうどみんなの制服と、私の銀髪やセレン様の黒髪が隠れた。


観光が主な産業であるパマダの街は、雨の日の朝であるということもあり、昨日の夜と比べると明らかに人通りが少ない。想定していたよりもすいすいと進めたので、生徒たちが登校してくる前に到着することができた。

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