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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第2章

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視察①

王都から約半日ほどの距離にあるロザリンド伯爵領。私たちロザリンドが責任を持って統治する領であり、アドベイラの出身地でもある。

今日は研究の一環で伯爵領の学校へ視察に来ているのだ。


「ロザリンド伯爵領って意外と近いんですね。もう半分くらいまで来ているなんて」

「そうですね。馬車で日帰りは難しいですけど、馬なら間に合いますよ」


1度も訪れたことがないというルードラさんとジュリオさんは、興味津々な様子で窓からの景色を眺めている。確かに、北の辺境伯領や隣国ベイリャルとは全然植生も文化も違うので新鮮だろう。私やアドベイラ、セレン様からすれば見慣れた景色なのだが。


「伯爵領の産業ってどんなものがあるんですか?」

「地域によって全然違うのですが、今から私たちが行く街は温泉があるので観光地として栄えていますわ。他の街には少しですが宝石が出る鉱山があったり、運河として使われている河があったりします。基本的には農業と酪農で生計を立てている領になりますね」


学校は、伯爵家の別邸から見下ろせるパマダという街の中にある。温泉産業が盛んなパマダは、冬になると観光客が急増する。この世界の温泉は大衆浴場ではなく、個室に区切られた個人向けだ。それでも、3人くらいまでなら一緒に入ることができる広さはあるけれど。


「観光がメインの街なので、宿屋などで働くなら読み書きができた方が給金がはずみます。伯爵邸から近く管理しやすいという理由も相まってこの地に建てたという訳です」

「なるほど、立地もかなり重要なのですね」


私の話を聞きながら、ルードラさんが真剣な表情でメモをとっている。伯爵家の長距離移動用馬車とはいえ、地球の車に比べたらかなり揺れるのに。

そんな話をしながら、ロザリンド伯爵領まであと馬車で2時間というところまで来た。

お昼ご飯の時間になったので、馬車を降り、原っぱでお弁当を広げる。今日は全員分のお弁当を伯爵家の料理人が作ってくれた。いつも美味しいので味は保証する。


「わぁ!美味しそう…」

「どうぞ、遠慮せずにお召しあがりくださいな」

瞬間、小学校に通っていた時にあった遠足のような状況に、呼吸が浅くなる。仲のいい友達と集まってお弁当を食べているクラスメイトを遠巻きに見ていた過去。一緒に食べてくれた先生の笑顔が、すごく嘘っぽくて嫌いだった。


「クララベル様…?」

「あっ…ごめんなさい。違うことを考えていましたわ」

そうだ。ここは日本ではないし、私の周りにいる人たちは敵じゃない。私を友達として、クラスメイトとして慕ってくれるな人たちだ。恐れる必要はない。

落ち着くために息を吐いて、サンドイッチを頬張った。



再び馬車に乗って、ようやくパマダに到着した。今日は移動がメインの予定だったので、スケジュールは詰めていない。街の入り口で馬車から降り、歩いて伯爵邸を目指すことにした。

「本当に宿屋と観光客らしき人が多いですね」

「私からすれば見慣れた光景ですけどね…」

「滞在中に温泉に入りたいなぁー」


初めて来た2人にアドベイラが説明をしながら歩き、私とセレン様は後ろからついていく。楽しそうでなによりだ。



「「「おかえりなさいませ、お嬢様並びにご学友の皆様」」」

別邸のエントランスに入ると、ずらっと並んだ使用人たちがお辞儀をして出迎えてくれた。私とセレン様は慣れているからまだしも、平民組3人が若干引いているのですぐに姿勢を戻すように伝える。


部屋割りは事前に伝えていた通りに、女子と男子で別れて同室。アドベイラは私の自室、男子3人は1番広い客間だ。1人1人に使用人をつけ、荷物を部屋に運んでおいてもらう。

晩餐の時間までまだ少し時間があるので、屋敷の中を自由に散策するように伝え、解散した。セレン様は男子2人を誘って剣術の稽古をするらしい。おそらくまた、中庭だろう。私はアドベイラを案内しながら図書室やサロン、庭を紹介した。アドベイラは「領主様のお屋敷を見学だなんて夢みたいです!家族に自慢したくなっちゃいます」と笑っているので、今日は地元がパマダのアドベイラも別邸で泊まりにしてよかったと思う。



「そろそろ晩餐の時間かしら。戻りましょうか」

日が落ちてきたので、ダイニングに向かうと、すでに男子3人は席についていた。ジュリオさんがぐったりとしているが何事だろうか。


「セレン様、これはどういう状況でしょうか…?」

「ジュリオが僕に剣術の稽古をつけてくれというので指導しただけだよ。基礎体力が足りなくてバテてしまったみたいだけど」

「な、なるほど…」


椅子にもたれていたジュリオさんだったが、食事が運ばれてきた途端に元気を取り戻したみたいで、隣に座っているルードラさんは呆れ顔だ。

平民組3人が気後れしないように庶民食を中心に出すよう指示したのだが、それでも緊張した様子。食事を終えてダイニングを出ると、3人とも大きく息を吐いていた。


「せっかくですし、温泉に入りに行きませんか?」

「温泉!!行きたいです!」

見かねたセレン様の提案にジュリオさんが食いついた。先ほどまでのぐったりしていたジュリオさんはどこへ行ってしまったのだろうか。

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