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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第2章

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高等部入学式

睡眠時間を削ってなんとか終わらせた課題を持ち、高等部の校舎へ歩いていく。新しい高等部の制服は、中等部のものと色違いだ。

「おはようございます!」

「あら、おはようアドベイラ」


学生寮の方から歩いてきたアドベイラと合流し、入学式の受付を通る。4年前と同じように大ホールの席に着いたが、今日の私はアドベイラと一緒だ。



「おっはようございまーす!!お2人さん早いですねぇー!」

「声が大きい!」

ジュリオさんとルードラさんも卒業式から変わりない様子。また4年間、この2人の掛け合いが見られると思うと、自然と笑顔になった。

セレン様や他のクラスの生徒たちも席につき、式が始まった。内容としては中等部の時とほとんど一緒で、違うところがあるとするなら、生徒の数がとても少ないということくらいだ。セレン様は相変わらず首席として新入生代表挨拶をしている。


高等部は国の最高教育機関であることから、進学にいくつかの条件が設けられている。王立アカデミー中等部を卒業していること、3人以上の中等部の教師から推薦を受けること、クラス分け試験で得点率ボーダーを超えることなどだ。そんな条件をクリアできる人はそう多くない。今年は私たち5人のSクラス、それぞれ10人ほどのA、Bクラスの30人足らずだ。ちなみに、3クラスのうち、平民は5人で残りは貴族の男子。私はたった1人の貴族令嬢だ。



式を終え、それぞれ教室へと入っていく。場所こそ違えど、メンバーは同じなので今更緊張することもないし、自己紹介も省略。新しい先生も優しげな感じのおじいちゃんだ。


高等部で新しく使うようになった校舎だけを見てまわり、そのあとは自由。

「またこの5人で同じクラスになれてよかったですね」

「本当に。せっかく仲良くなったのにお別れだなんて寂しいですから」


「そうだ、カフェテリアに行きませんか!?中等部の時と同じように!」

「いいね、みんな予定は大丈夫?」

「「「もちろん!」」」


中等部の入学式と全く同じ席、同じティーセット。でも、あの時とは違って、誰が砂糖を入れるかわかっている。これも、4年間みんなと一緒に過ごした結果だ。

各々が好きなお茶請けを食べながら、楽しい時間が過ぎていく。高等部の生徒ということはもちろん、Sクラスの証である紫リボンとネクタイが目立つので、周りの目が少し気になる。こそこそと私たちのことを話しているのも聞こえてくる。でも、多少は自分の身を自力で守れるようになったし、隣には頼もしいセレン様がいる。同じ状況でも、こんなに違う。




「高等部はどんな感じなのですか?やはり中等部とは大きく違うのでしょうか?」

入学式から1週間後の今日、私は王女殿下とジニア様、メイフェルの4人でお茶会をしている。会場は伯爵邸の温室だ。というのも、王女殿下が「素晴らしいと噂の温室にぜひ行ってみたいわ!」とおっしゃったのだ。王女殿下をお招きするということで、使用人総出で準備をし、お迎えした。


「そこまで大きくは変わりませんわ。授業の内容はもちろんレベルが高くなりましたけれど、形式自体は同じです」

「大変そうですわね…私には無理そうです」


ジニア様もメイフェルも、勉強は苦手らしいので無理もない。

メイフェルはこの春から王国騎士団に見習いとして所属し始めた。女が剣術なんかと言われ続けた彼女は、実力で所属の権利を勝ち取り、今では見習いの中で期待の星と呼ばれているそうだ。

ジニア様は婚約者の方の家に通って花嫁修行をしているらしいが、どうもお義母様とソリが合わなくて苦労しているそうだ。



「それはそうと、今年の社交始めのドレスは決めまして?」

「マダムスミスのお店で注文しましたわ!今年の流行は綺麗めなデザインのAラインだそうですわよ」

話はあっという間に流行のドレスについてに移る。社交始めのドレスは、その年の流行に合わせて新しく作るのが通例だ。


「私は忙しくてまだ頼んでいませんね。近いうちに採寸の予約をしませんと…」

「クララベル様は今年も社交始めと締めのお茶会だけ参加されるのですか?」

「そうですわね…アカデミーもありますし、事業も忙しいですから」


アカデミーの授業に伯爵領での事業、最近はそれに加えて南部の感染症についての作業も同時にこなしているのでかなり忙しい。セレン様も同様で、会う頻度も1週間に2度だったのが1度くらいになっている。


「寂しいですわね…その様子ではカートレッタ様ともあまりお会いできていないのでは?」

「そうですね、もう少し2人の時間を作れたらと思うのですが…」



この私の何気ない一言が、王女殿下を経由してセレン様に伝わったのは、この日から1週間後の話。


「ララに寂しい思いをさせるなんて、一生の不覚だよ」

「大袈裟ですわ」

その日は甘い言葉を滝のように浴びせられ、セレン様は私の耳までが真っ赤になってようやく、満足げな表情をした。


「セレン様は私に甘過ぎです…」

「そう?僕からしたらララの方が甘いけど?」

そう言ってチークキスをしたセレン様は、少し意地悪な顔をしていた。

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