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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第1章

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誕生会

今日は早起きをして、侍女たちフル動員で私の身支度をする。赤いAラインドレスに白いパンプス、王宮茶会でも身につけた、赤いルビーの髪飾り。セレン様の色をこれでもかと詰め込んだ、ヴェラこだわりのコーディネートだ。異常な気の入り方だが、今日ばかりは仕方がないと思う。なんてったって、今日はセレン様の9歳の誕生会なのだから。




「無理しなくてもいいんですよ?ララが僕の婚約者として社交に出なくても、周りのみんなはララを認めていますから」

「無理をするわけではありませんわ。私も成長する時が来た、ということです」


私がこの世界に来てからは、当日までにお祝いをして、誕生会に参加したことはなかった。セレン様の婚約者として隣に立つ自信がなかったし、比べられるのが怖かったからだ。でも、セレン様やシェルファ、アドベイラ達のおかげで、少しだけ自分に自信を持てるようになった。だから今年は勇気を出して参加することにしたのだ。



昼前にカートレッタ侯爵邸に到着すると、盛装をしたセレン様が出迎えてくれた。全体的に白を基調としていて、所々赤を差し色として身につけている。2人並ぶとペアルックみたいだ。


「ララが僕の色を身につけてくれるだけで幸せです。今年の誕生日は最高な1日になりそう…」

「ふふっ、セレン様、さすがに大袈裟ですわ」


私たちは今日、正式に婚約の継続を示す予定だ。私がこの世界に来て記憶喪失ということになってからはほとんど社交の場に出ていなかったため、婚約破棄したと思っている貴族たちも多いらしい。私とセレン様を守りたい侯爵様とお父様はその状況を利用し、正式な発表を避けてきたのだ。


「今日でようやく名実ともにララは僕の婚約者ですね。長かった…」

「セレン様はずっと、早く公表したいと仰っていましたからね」

「本当に…ララを狙う男を排除するのに苦労したんですから!」


私を抱きしめるセレン様の腕に力が入る。セレン様のハグは不安をやわらげてくれたり、幸せを感じさせてくれたりするのだが、今日は私の心拍を急上昇させた。

「ララの心臓の音が聞こえますよ」

「そういうのは分かっていても言わないものです!」



セレン様と一緒に軽く昼食をとり、いよいよ誕生会の時間となった。参加者を迎えるため、会場の入口へと向かう。セレン様の隣に立って挨拶をしていればいいだけとはいえ、さすがに緊張してきた。


会場は侯爵邸で1番広いホールで、使用人たちの手によって完璧な準備が済んでいる。入口で待っていると、続々と参加者がやってきた。主役のセレン様と隣に立っている私に挨拶をしてから会場へと入っていく。侯爵家筆頭なだけあって、参加者はひっきりなしに到着した。私は淑女の礼を繰り返していただけでほとんど話していないので、大きなミスはしていないと思う。

ようやく全員が揃い、誕生会が始まった。侯爵様とセレン様の挨拶が終わると、参加者たちが祝いの言葉とプレゼントを贈るために集まってくる。同世代からお父様の世代まで、幅広い人達が参加しているようだ。



「セレン様、疲れていませんか?ずっと立ったままですわよ」

「僕は大丈夫です。ララこそちゃんと休憩してくださいね?」

参加者との挨拶も終盤に差し掛かった時、どこかで見覚えのある栗毛の女の子が私たちの方へやってきた。


「セレン・カートレッタ様、並びにご婚約者のクララベル・ロザリンド様にご挨拶申し上げます。メイフェル・マリンテリアと申します。本日はお誕生日おめでとうございます」


紳士の礼をした彼女は会場内をざわつかせたが、セレン様は特に反応をすることなく返事をする。

「ありがとうございます。どうぞ楽しんでいってください」



全員の挨拶が終わり、参加者たちはそれぞれ談笑し始めた。私は社交の場で話しかけることが出来るような友達は居ないので、セレン様の隣に待機する。

「お疲れ様でした。ひと段落ですわね」

「そうですね。慣れないことをしたので少し疲れました」


他愛もない話をしながら会場を見回していた時、ふと先程のマリンテリア様が目に入った。壁際のテーブルセットに着席して、1人で軽食をつまんでいる。

「セレン様、少し失礼しますね」

「え、ララ?1人で大丈夫?」


微笑みで返事をし、マリンテリア様の元へ向かう。普段自分から知らない人に話しかけることは絶対にないけれど、彼女には声をかけたいと思った。どこかで出会ったことがある気がしているのも大きな理由のひとつだ。


「失礼致します。お隣よろしいでしょうか?」

「は、はい…ロザリンド様がどうしてここに?」

「少しお話したいと思いまして。迷惑でしたでしょうか?」

首を横に振るマリンテリア様を確認してから話し始めた。


「恥ずかしながら社交界の情報に疎くて。マリンテリア様はお幾つですか?」

「ロザリンド様と同じ、アカデミー中等部の1年生です」

同い年らしいが、アカデミーで出会った記憶は無い。恐らく同じ授業をとっていないのだろう。


「そうなのですね。先程の紳士の礼があまりにも様になっていて、思わず声をかけに来てしまったのです」

「紳士の礼、ですか?」

何か変なことを言っただろうか。確かに女性である彼女が公的な場で、本来は男性がする紳士の礼をしたことはたくさんの注目を集めた。でも、私だって貴族なのに社交の場に滅多に出ず、他人と話すのが苦手な異端だから。


「はい、洗練された動きがとても美しかったのです。何か武術を嗜まれておられるのですか?」

「剣術を少し…」

彼女はアカデミーで剣術を選択しているらしい。ということは、セレン様と同じ授業を受けているはず。


「セレン様とは親しいのですか?」

「え、あのっ!決して、決しておふたりの邪魔はしておりません!」

そういうつもりでは無かったのだが。婚約者である私が聞くと、他の意図があるように受け取られてしまった。


「すみません、そういうつもりではなく。私は体が強くないので、武術が出来るマリンテリア様が羨ましいです」

「とんでもないです。ロザリンド様はお美しい上に勉強もできて、私とは天と地ほどの差がある方ですから」


嫌味のない話し方をするマリンテリア様と過ごしているうちに、誕生会も終盤。公爵様とセレン様が締めてお開きとなった。

マリンテリア様と別れたあと、セレン様の自室に戻ってきた。

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