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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第1章

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セレンの悩み

21話はセレン・カートレッタ目線で進行します。

ララと初デートをしてから初めてララと会う日、父上と母上に会ってもらうため、侯爵邸に招いた。ララは記憶を失ってからどこか自分に自信がない様子で、知らない人にいきなり会わせるのを躊躇ったが、早いほうがいいだろうという判断のもと設置された機会だ。

他人との会話も頑張ってくれて、父上も母上も終始にこやかだ。「今のクララベルならセレンが入れ込んでいる理由がわかる」などと本人の前で言われた時には取り乱してしまったけれど、ララにはバレていないと信じたい。


何が原因か、その日からララの様子が少しおかしくなった。明確な何かをずっと掴めずにいた中で、「体調が悪いのか」と声をかけてみるが大丈夫だと笑ってみせる。本人はうまく取り繕っているつもりなんだろうが、明らかに頬が引き攣っている。ララの専属侍女に話を聞いてみるが、「最近のお嬢様は礼儀作法のレッスンを熱心に受けられていますわ。確かに少し食が細くなった気が致します」と言われただけ。本人が僕に隠そうというのなら、あまり深入りしないほうがいいのだろう。


半年後、そう考えていた自分を殺したいほど恨んだ。ララが過労によって倒れたのだ。アカデミーでその情報を聞いた時、全身から血の気が引いて頭が真っ白になった。もう以前のような浅い関係ではなくなったからこそ。

授業を放り出して伯爵邸に向かい、目にしたララの姿は1週間前に会った時より一回り小さくなっているような気がした。どうしてこんなことになるまで誰も…いや、自分も同じだ。本人の意思を尊重しようという考えからこんな状態になるまで放置してしまったのだから。それでも、「忙しいのにすみません、大事には至らなかったので大丈夫」と言われた時には自分の中の何かが切れた。大丈夫なわけがない。そんな姿で何を言っているんだ。1番に僕に対して言うべきことは謝罪ではない。何もかも、間違っている。どうして彼女はこうも自己犠牲を(いと)わないのだろう。

そんな思いが自制できず、強い口調で本人にぶつけてしまったことは深く後悔している。そして僕は固く決心した。今後少しでも彼女に関して気にかかることがあった時には必ず口に出して、しつこいくらいに無理をしないように伝えようと。たとえ面倒だと思われても構わない。彼女が笑ってくれなければ、僕の世界から色が消えるのだから。


それからは、侯爵領へ静養に行ったり、一緒にクラス分け試験の勉強をしたりした。決して彼女が無理をしないように、僕の過保護具合はこうして加速していった。


アカデミーの中等部に入学してからは、同じSクラスの男子生徒に手回しをしていった。ララの良き友人となりそうな女子生徒には仲良くしてくれるよう頼んだ。そんなことをしなくとも、ララの魅力を知った人なら誰でも彼女と仲良くしたいと思うけれど。

アカデミーに行くのが怖いと言っていた彼女だったが、つつがなくこなしている印象だ。


しかしまた、ララは倒れてしまった。先の一件があってから細心の注意をはらっていたはずなのに…

医師の診断は過労ではなく心理的ストレスによる意識障害だという。アカデミーが負担になっていたのだろうか、それともクラス対抗戦のプレッシャーだろうか。

その日はかなり遅くまでララのそばで手を握っていたが、うなされる一方で一向に目を覚まさない。

ララが何かしらの重荷を背負っているのは、前からなんとなく気がついていた。初対面の人を必要以上に怖がるのも、記憶を失ったからだと最初は思っていたが、1年以上が経っても変化はなかった。時折何かに追われて恐怖に支配されている姿も見る。本人から話そうとしない限り聞き出そうとは思わないが、自分の腕の中で震える彼女を見ているのはとても辛い。


翌々日、目を覚ました彼女は、いつもより少し顔色が悪いくらいまで回復していた。決して、どうしてうなされていたのか聞くことなどできないが。少しでもララのためになることを、と思って作ってきたプリンを美味しそうに食べる姿が見られて安心した。僕が差し出したスプーンから、少し恥ずかしそうに食べる姿はいつもと同じ、可愛いララだ。

科目選択も、教養の授業以外は知り合いがいるみたいでよかった。まぁ、たとえいなかったとしても僕の友達や側近を近くにつけるんだけど。



彼女はすぐに「迷惑をかけてごめんなさい」と謝る癖がある。だからこそ、彼女には僕の過保護ぶりがバレないように気をつけているのだ。ララには余計な心配をせず、可愛らしい笑顔をそのまま僕に向けていて欲しい。もちろん、何かあった時には僕が全力を持ってララの笑顔を守り切る。

8話に引き続き、愛が重めなセレンをお送りいたしました…笑

次話からはララ視点に戻ります!

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