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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第3章

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本編完結記念SS⑤【家族】

またまた時間が行き来してすみません…

シオンとルーナが初等部を卒業する頃のお話です。

昼食を終え、溜まっている仕事を進めながら過ごす昼下がりの私室。今日はセレンと休日が被ったのだが、セレンは侯爵家の当主としての仕事を、私は事業の仕事をしているのでゆっくりはできていない。

そんなことを考えながらペンを走らせていると、扉をノックする音が静かな私室に響いた。

「母上、シオンです」

「どうぞ」


部屋に入り、ひと呼吸おいたシオンは口を開いた。

「クラス分け試験の結果が届きました」

「あら、こんなに早かったかしら。ルーナは?」

「父上を呼びに行っています。お仕事がひと段落したらサロンへおりてきてくださいね」

「わかったわ、すぐに行くわね」


先日行われた中等部のクラス分け試験。私たちの頃と違うのは、貴族の令嬢も初等部に通うことになったところと、平民の積極的な受験が推奨されるようになったことだ。令嬢や平民にもきちんとした教育を受けて欲しいという私の思いのもと、宰相様と国王陛下の協力を得て実現した。もちろん、シオンとルーナも初等部からアカデミーに通っている。


机に広げていた資料を一旦片付け、急いで1階へとおりた。そこには既に3人が集まっていて、シオンとルーナの手にはアカデミーの校章が入った封筒が。

「なんだか自分の時より緊張するわ…」

「それでは開けますよ」


2人同時に中の書類を取り出すと、どちらの紙にもSクラスの文字が。

「すごいじゃない!2人ともSクラスなんて」

「よく頑張ったね、おめでとう!」


シオンもルーナも、初等部に引き続き中等部もSクラスに所属することとなったのだ。


「お母様、どうやら私が首席のようですわ」

「あら、今回はルーナだったのね」

シオンとルーナはお互いに首席の座を狙って切磋琢磨してきた。結果として初等部では兄のシオンが、中等部ではルーナが首席を務めることとなったのだ。シオンも次席なので十分素晴らしい。


「高等部では取り返しますから」

「私も、維持できるように頑張りますわ」

中等部の試験が終わったばかりなのに、もう高等部の話をするなんてストイックにも程がある。



「頑張った2人にはご褒美を考えないとね。何か欲しい物やしたいことはある?」

セレンの提案に、2人は顔を見合わせて頷き、シオンが代表して口を開いた。


「父上と母上と、4人でゆっくりと過ごす時間が欲しいです。お忙しいのはよく分かっているので、短時間でも構いません」

想定していたものと違う内容だった。思い返せば最近は宰相補佐官としての仕事とカートレッタ侯爵夫人としての仕事に忙殺され、家族と一緒にゆっくりと過ごす時間は取れていなかった。シオンとルーナは年齢の割にかなり大人びているとはいえ、やはりまだまだ親との時間が大切な年齢だ。


「私は休暇を取りなさいと陛下から言われているくらいなので平気かと。セレンは?」

「カートレッタ領の視察に行くつもりだったんだけれど。そうだ、もしララが数日休みを取れるのなら、4人で領地に行こうか。仕事をしながらにはなるけれど、ゆっくり過ごす時間は十分取れると思うから。どうかな?」

「良いと思います」「私も」

2人はアメジスト色の瞳をキラキラと輝かせて答えた。こういうところはまだ子どもらしさが残っていて可愛らしい。


「明日、宰相様にお伺いしておきますね」

「よろしく」




この話し合いをしてから1週間後、私たちはカートレッタ侯爵領を訪れた。馬車で3日ほどかかるので、途中の街で宿泊しながら、とにかくゆっくりと過ごした。

「うん、良い気候だね」


社交開きすらされていない3月の侯爵領は、気温も湿度も非常に過ごしやすい条件になっている。今日は天気も良く、屋敷の窓からはキラキラと輝く海が見える。


「今日のところは旅の疲れもあるから予定入れないでおこうか。明日は海にでも行こう」

「それが良いですね。せっかくなのでピクニックなんかも良いかもしれません」




「お気をつけて行ってらっしゃいませ」

「ありがとう、行ってきます」

翌日のお昼前、私たち4人はお忍びコーデで街へと繰り出した。私は銀髪、残りの3人は黒髪なので目立つことは避けられないが、周りから見て明らかにお忍びであればそれでいいのだ。今日の目的は子ども達を海に連れて行くことなのだから。


「2人は海に行くのは初めてね」

「はい」

「いつも遠くから見ているだけですわ」

以前侯爵領に来た時はまだ2人とも初等部の1年生だったので、いくら見に行くだけとはいえ海は危険だと判断した。第1騎士団長を務めるセレンが見ていてくれるわけだが、パッと走り出されると簡単には捕まえられないから。


「危ないから入ってはダメよ。見るだけにしてね」

「「はい」」


20分ほど歩いて、1番近くのビーチまでやってきた。まだ海水が冷たい時期なので人はまばら。遠くに商船が見えるくらいだ。


「お腹が空いたでしょう。昼食にしよう」

「セレンが焼いたスコーンもあるわよ」

木陰になっている場所に敷物を敷いて、お弁当を広げる。サンドウィッチやフルーツといった簡単なものばかりだが、海辺で潮風を受けながら食べるにはぴったりだ。ほんのりと磯の香りが漂う中、2人が望んだゆっくりと家族で過ごす時間は実現された。


「お父様、このジャムは何ですか?」

「それは栗だね。エビネがルアーラで採れたものを送ってくれたから」

「栗ってジャムにできるんですね」

「珍しくはあるかな。皮を剥くのが大変だから嫌厭されがちだし」

セレンが朝から焼いてくれたスコーンに、これまたお手製のジャム達を挟んで食べる。最近のセレンは子ども達のためにスイーツを作ってくれることが増えた。2人も、セレンが作ったものが1番美味しいというので、さぞ作りがいがあることだろう。



「たまにはこうして何もせずに過ごすのもいいね」

「はい、なんだか久しぶりな気がします」

子ども達は波の音を子守唄に、私とセレンの膝枕で眠った。この環境で眠くなる気持ちはよく分かる。


「シオンとルーナに寂しい思いをさせてしまっていたのかもしれませんね」

「そうだね、反省しないと」

「忙しくてももう少し一緒にいる時間を作りましょう」

「せめて中等部を卒業するまでくらいはね」


次期カートレッタ侯爵として日々努力を重ねているシオンと、令嬢達の憧れの存在として社交界で生きているルーナ。2人とも大人びた言動をするし、普段はこうして甘えてくることもない。それでもこの子達はまだまだ子どもで、私たちの保護と愛情が必要な年齢なのだ。


私たちは2人の髪を指ですいて、地平線の向こうまで続く大きな海と広い空に誓った。


これにて「ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!」は完結です。初めて小説というものを書いた私の稚作にここまでお付き合いくださいました皆様、本当にありがとうございました。

いいねや評価、感想等頂けますと大変励みになります。


また、今後2〜5ヶ月ほどお休みをいただきまして、新たな連載を始めようと思っております。その間「ネガティブ令嬢」のおまけなどを活動報告に上げる予定しておりますので、興味がある方はぜひお気に入りユーザー登録をお願い致します。

それではまたどこかで皆様とお会いできることを祈って…

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