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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第3章

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クララベル・カートレッタ

「『むかしむかし、ある所に完璧令嬢と呼ばれた見目麗しい伯爵令嬢がいました。社交界の華であるその女の子はお淑やかで令嬢たちのお手本となるような人でしたが、6歳の時に流行病で記憶を無くしてしまいました』」

「えぇ、かわいそう…」

「そうね…『それから、女の子は人が変わったように性格が変わりました。人と関わることを怖がるようになり、塞ぎ込みがちになってしまったのです』」




「『そうして、女の子は真っ白なドレスを着て結婚式をしました。それは女の子たちの憧れとなり、今でも理想として語り継がれているのです』」

「白じゃなかったら何色だったの?」

「昔は結婚する人の瞳や髪の色を身につけていたのよ」

「そうなんだ!」


「『幼い頃から天才と呼ばれた女の子は、ある事件をきっかけに本当の天才となりました。その事件とは、王太子切り付け事件です。ベイリャル王国の平民によって王太子が重傷を負ったこの事件は、ベスビアナイト王国の出方によっては大きな戦争となる可能性もありました。しかし、当時行政部の文官として働いていた彼女は、国王様に進言をして戦争を避けさせました。これによって今の平和な社会があるのです。おしまい』」

「すごーい!」

「そうよ、この女の子は本当にすごいの」


「カロリーナ様、お子様たちに変な印象操作をするのはおやめくださいませ」

「あら、いいじゃない。私もこの絵本は大好きよ」

「いえ、そういう問題ではなく…」

王宮のある一室。礼服を着たカロリーナ様と、同じ色味を持ったお子様2人。カロリーナ様の手には先ほどまで読み聞かせされていた絵本がある。


「諦めた方がよろしくってよ?きっと、カートレッタ様も喜んでお子さんに読み聞かせをするはずですし」

「それは…そうかもしれません」

もうこの絵本がこの国だけではなく世界中多くの国で読まれている時点で、諦めるしかないのかもしれない。ただ、セレンが読み聞かせをするのはなんとしてでも阻止したい。


「カロリーナ様、ご歓談中に失礼致します。ララ、そろそろ時間だから行こうか」

「はい、お迎えありがとうございます」

「これくらい当然だよ。今の僕に、ララの体ほど大切なものはないからね」

「ふふっ、大袈裟ですわ」

セレンの手を借りてソファから立ち上がった私は、本日の目的を果たすため、玉座の間へと向かった。




「「王国の新たな太陽、国王陛下にご挨拶申し上げます」」

「面をあげよ。侯爵夫人には椅子を用意したゆえ、体に負担がかからないようにするといい」

「ご配慮痛み入ります」

ゆったりと腰を下ろした私は、陛下とセレンの会話に耳を傾けていた。ここのところ、体調は悪くないが、異常に眠気が襲ってくるのだ。とはいえ、玉座の間でそんなことは言っていられないため、何とか耐える。


「ご即位おめでとうございます。我々カートレッタ家一同、陛下のため忠義を尽くすことを誓います」

「更なる活躍を期待する」

30歳にして第73代ベスビアナイト王国国王となられた王太子様は、妃殿下を見やっていった。要するにもっと仕事をしろという意味だが、元ベイリャル王国王女である妃殿下も微笑んでおられるので水は差さないことにする。


「侯爵夫人はお体に気をつけてくださいね。安定しても油断は禁物ですわ」

「はい、お気遣いありがとうございます」

セレンを始めとする多くの人に温かい言葉をかけてもらい、私としては不安は小さい。むしろ、早く愛しい宝物に会いたいと思っているくらいだ。



「ララ、大丈夫?体は辛くない?」

「もちろんですわ。皆様にお気遣いいただきましたから。それに、少しは運動も必要ですし」

今にも、私を横抱きにして歩かせまいとしそうなセレンを制して、私室で室内着に替える。礼服はお腹周りを締め付けない意匠とはいえ、やはり圧迫感はあるので長くは着ていたくないのだ。


「ふうっ、さすがに今日は疲れました…」

「お疲れ様、もう今日は仕事は無しにしてゆっくりしよう。そもそも、ララはずっと休みにしているはずなんだけれど…おかしいなぁ」

「うっ、いやぁ…はい」

私の体を、私よりも大切にしてくれるセレンに言われてしまっては、返せる言葉は何もない。愛ゆえの過保護っぷりは健在である。




そして、セレンのその過保護っぷりは、双子が生まれても変わることはなく、さらに対象が広げられた。

「シオン、ルーナ、寒くはない?」

「大丈夫…」

「これくらいは平気ですわ、お父様」

「そう?寒くなったらすぐにいうんだよ」


「ピアノが弾けるようになったのか!?うちの娘は天才かもしれない…いや、ララの血を継いでいるのだから当然だね」

「根拠のない親バカはやめてくださいね?」

もはや、過保護というよりただの溺愛である。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



『私が、この世界に来た経緯、人生の全てを書き残しておこうと思う。この記録を見つけた人は、かつてこんな人間もいたんだと記憶の片隅に残してくれると嬉しい』


『あの時、死を選んでよかった、とは言えない。言いたくない。でも、この世界に来てよかったとは言える。言いたい』


『私を死に追い詰めたクラスメイトは絶対に許せない。もう何十年も前の話、それでも昨日のことのように思い出せる。それくらい私にとって壮絶な記憶だから』


『でも、恨むことはしない。たとえ日本で幸せに暮らしていたとしても、私のことを忘れていたとしても』



『私は幸せだった』

これにて本編完結です。長きに渡りご愛読いただきました皆様、本当にありがとうございました!

この先、数話SSを投稿する予定ですので、よろしければご一読ください(*´˘`*)

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