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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第3章

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急病人

朝、侯爵家の馬車で王宮の前まで送ってもらった私は、書類や筆記用具を入れている鞄を手に行政部を目指して歩いている。出勤にはまだ少し早い時間なので、ちらほら王宮勤めのメイドを見かけるくらいだ。

「確か、ここを曲がって…」

「クララベル様!」


私を呼ぶ声に振り返ると、そこにはジュリオさんが。私と同じくまだ制服をもらっていないので、綺麗めなジャケットとズボンを合わせたスタイルだ。

「おはようございます」

「おはようございます!!」


学生の時と全く変わらない、朝から元気なジュリオさんを見られて嬉しい。

まだ正式採用ではないために職員寮を利用できないジュリオさんは、王都の宿を借りて通っているそうだ。職員寮は王宮の敷地中にあるので、利用するようになれば近くて便利なのだが。


「ジュリオさんは何課で研修ですか?」

「3課です。クララベル様は1課ですよね」

「え、あ、そうですね。どうしてご存知で?」

誰がどこに振り分けられたのか、昨日の今日で知っているのは不思議だ。まだ本格的に仕事が始まったわけでもないのに。


「そりゃあ知ってますよ。あのカートレッタ文官が1課だと、噂になっていますから」

「な、るほど…」

どうやら、名目上貴族社会とは切り離して仕事を行うべし、とされている文官の中でも、人間の集団である以上、噂話は簡単に回るようだ。噂の内容によっては対処が必要となるだろうが、今回のことは放置しておいても良い。下手に介入するとかえって悪化する可能性が高い。


そんな話をしながら行政部がある建物を目指して歩いていた、その時。数メートル先の曲がり角から横たわった両足が見えた。

「ジュリオさんっ!」

「はいっ!!」


慌てて駆け寄り、ジュリオさんは医者を呼びに走り出す。

倒れている人は、全身が脱力していて意識がないみたいだ。幸い浅い呼吸をしているが。

「ジュリオさん、外傷なし、意識なし、呼吸あり、です!」

「了解です!!」


「聞こえますか!?聞こえていたら応答してください!」

「ん、んん…」


返事、と呼んでいいものか、判断に悩む応答しか返ってこない。私はルードラさんのように医療を学んでいるわけではないので、詳しいことは全く分からない。なんとなく分かるのは、お祖父様が倒れられた時よりも緊急性は低そう、ということくらいだ。


「どうか応答を!」

「…ん」

短く喉を鳴らすような音を出して身じろぎをした。無理にゆすって何かあっては困るので、医者が到着するまではとりあえず様子見をすることにした。



「…カートレッタ文官?」

本日2度目の自分を呼ぶ声に反応して振り向くと、そこには行政部の制服を見に纏ったヘリオドール様がいた。


「このような格好で申し訳ございません。こちらの方が倒れているのを見かけまして…私の友人が医者を呼びに行っております」

「そうでしたか、朝から大変…ん?あぁ…」


倒れている人の顔を覗き込んだヘリオドール様は、顔から一切の感情を消して言った。 

「寝ているだけなのでご安心を」と。


「…えっ?」

「そちらは我らが1課のメンバーでユリエル・ウィルアイトと言います。いつも、鍵担当の時は出勤してくるなりこの有様なんです。お気遣いありがとうございました」

そう言ったヘリオドール様は、眠ったままのウィルアイト様の耳に口を寄せ、何かを囁いた。


「ひっ!」

「おはようございます。良いお目覚めで何よりです」

怯えたような声をあげて飛び起き、立ち上がったウィルアイト様、真っ黒な笑みをたたえるヘリオドール様。私には状況がよく分からないが、急病人ではなかったようなので一安心だ。

ちょうど医者を連れて戻ってきたジュリオさんにも事情を説明して、私たちは無事に行政部1課の部屋までたどり着いたのだった。



「改めまして、昨日紹介できなかったもう1人の1課職員、ユリエル・ウィルアイトです」

「よろしく…」

「初めまして、クララベル・カートレッタと申します。どうぞよろしくお願いいたします」

急いで、頭の中の「ベスビアナイト貴族名鑑」をめくって、その名を探す。

ユリエル・ウィルアイト。彼は4公爵家のひとつ、ウィルアイトの嫡男で、現王妃殿下の甥にあたる方だ。つまりはカロリーナ様の従兄。王太子殿下とお年も近いので、ご学友としての地位も持つが、大の社交嫌いでほとんど貴族たちの前に姿を現さないことで有名、だっただろうか。


「初めて、じゃないよ…君が5歳の時に会ったことがある。あれ、でもロザリンドの令嬢じゃなかったっけ」

「えっ…」

社交界に関心がないのではなかったのか。私の幼少期のことを覚えているだなんて。


「彼女は6歳の時に流行病で記憶をなくしています。それに、最近カートレッタ侯爵令息とご結婚なさったのですよ、そんなことも知らずに…」

「…そっか、ごめんね」

「いえ、気にしておりません」

どうやら、ウィルアイト様は人と話すのが苦手というよりは愛想良くするのが苦手、もしくは嫌いみたいだ。どこか私に似ていて親近感がある。身分も年齢もウィルアイト様の方がずっと上だが。

随分と更新の日が開いてしまい申し訳ございません!!

なかなかユリエルのキャラクターが定まらなかったんです、なんて言い訳をしておきますね…

今後は暑さに負けず頑張ってまいりますので、応援のほどどうぞよろしくお願いします(*´˘`*)

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