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【完結】ネガティブ令嬢、今世こそ自分を愛します!  作者: らしか
第3章

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高等部卒業式③

「お待たせいたしました。こちらがミートパイとエビのグラタンになります。以上でご注文はお揃いでしょうか?」

「はい」

「どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。失礼致します」

ウェイターの女性はぺこりとお辞儀をして他の席へ注文を取りに行った。貴族がいると気付いたからか、明らかに他の客よりも丁寧な対応だ。


「それでは、卒業を祝しまして…カンパーイ!」

「「「「カンパーイ!!」」」」

グッとグラスを傾けて、ワインを口に含む。ちなみに、この国に乾杯という文化はなく、私が異国の文化として4人に教えたのだ。食器で音を立てるのは食事のマナーに反するため、あくまで掛け声だけだが。


「っっっああ!やっぱりお酒は最高ですね!」

「始めから飛ばし過ぎでは?潰れたら置いて帰りますよ」

「ひどいな!監督責任を放棄しないで!?」

ジュリオさんとルードラさんの掛け合いに、はははっと笑いが起きる。入学当初から変わらない、Sクラスお馴染みの光景である。


大皿に入ったミートパイとエビのグラタンを小皿に取り分けたセレン様は、ララもペースが速いよ、とすかさず注意を促す。誕生日から2ヶ月が経ち、お酒の飲み方も少しは分かってきたと自負しているのだが、私をよく観察しているセレン様には敵わない。

はーいと答えて口に運んだミートパイが驚くほど美味しくて、思わずそれを顔に出してしまう。


「クララベル様、美味しいでしょう?」

「はい、とっても!」

「グラタンもおすすめです」

せっかくの料理を冷ましてしまうのがもったいなくて、美味しくて、来て良かったと心の底から思う。


「ララ様とお酒を飲めて嬉しいです!お料理もお気に召したようで良かったです」

「私もアドベイラと来られて嬉しいわ。最近は忙しくて友人とゆっくりと過ごす時間も取れていなかったからなおさらね」


アカデミーで顔を合わせるクラスメイトはともかく、カロリーナ様やジニア様、メイフェルとは久しく会っていない。たまに手紙のやり取りをしているので、変わらずお元気だということは知っている、という程度になってしまっているのだ。

そもそも、ここ1ヶ月、まともに社交に顔を出していないのだ。私としては次期侯爵であるセレン様の妻として忙しくても社交に勤しむつもりだったのだが、セレン様には、そんなことをしているくらいなら休んで、と言われ、お義母様には、ララちゃんが頑張る必要はないし、気を配る必要がある人はグレシャム公爵子息夫人くらいよ、と言われてしまった。社交はたくさんの人と話す必要があるので苦手だしなるべく避けたいものなので、ありがたくその言葉に従っている。社交以外にこなすべき業務はたくさんあるので、忙しい日々を送ることはもはや私の通常運転となっているわけだが。


「本当にお忙しそうですもんね…来春からは私にできることはどんどん任せていただいて大丈夫ですからね!」

「ありがとう、そう言ってもらえると助かるわ」


「文官の仕事も、分担しますから頼ってくださいよぉー」

「ジュリオさん、ありがたいのですがもう酔っているのでは…」

「酔ってませんよぉー」

へらへらと笑って手を振るジュリオさん。顔も赤くなって、明らかに酔いが回っている。


「それは酔っている人が言うセリフです。ほら、1度水を飲んでください」

ジュリオさんはルードラさんに手渡されたグラスの水を一気に煽って、おいしーい!と笑った。この場で1番お酒が弱いのはジュリオさんかもしれない。




「ジュリオさん、大丈夫ですか…?」

「お酒を飲む時はいつもこんな感じなので大丈夫ですよ。それよりもカートレッタ様、お手を煩わせてすみません」

「いえ、私は大丈夫です」

結局酔い潰れてしまったジュリオさんは、この中で1番力のあるセレン様によって背負われている。近くに潜んでいる護衛に頼む手も考えたのだが、明らかに平民の格好をしたジュリオさんを侯爵家の制服を着た護衛が背負うという絵面がよろしくないと判断された。ジュリオさんはロザリンド領を視察した時から剣術の稽古をしていたので、細身ながら筋肉質で重そうだ。それをものをともせず、涼しい顔で背負うセレン様の凄さを改めて実感する。


「みなさぁーん、もういっけん、いきますよぉぉー」

「行きませんっ!」

「あどべいらぁー、かわいいんだからそんなにおこらないで…」

「かわっ…!?」

初々しいふたりの会話に、思わず頬が緩む。確かにアドベイラは笑っていた方が可愛い。異論は認めない。



そんな話をしながら笑って、アカデミーの正門の前まで帰ってきた。

ここで別れてしまえば、しばらくは会えない。それでも、それぞれが忙しい毎日を送るのに後ろを振り返っている暇などない。

さようならは言わない。永遠の別れではないから。


「また今度、お会いしましょう」

「はい、もちろんです」

「また」

「おやすみなさい、良い夢を」

ふらふらと歩くジュリオさんとそれを支える2人の後ろ姿を眺め、頭上に輝く満月に、クラスメイトの幸せを願った。

ようやく、長かった8年間のアカデミー生活が終了しました。これからは社会人として生きていきます。

ララとセレンの結婚生活もまだもう少し続いていくので、今後とも応援よろしくお願いします!

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