1 勇者として召喚されました
思いつくまま書いていきます。難しい表現はせず、かみ砕いた表現しかしませんので、気軽にななめ読みしてください。
また、勢いで書いていますので、修正を繰り返すことになるかと。
セーブデータを開くたびにデータの内容が変わっていく読み物だとご理解していただけたら幸いです。
ここは王国ミッドガル。ここ200年で、4つある隣国をすべて征服し、国土を広げ、大陸随一の大きさを誇る国だ。人間界は我が国のみ、とでも主張するような、いささか傲慢な名前から想像できるかもしれないが、王もまた傲慢だった。王は自分の脅威となりそうな芽はすべて摘み取ってきた。その時点では無害な芽だとしても、将来的に害をなす「かもしれない」と判断した存在はすべて等しく、粛正・駆逐の対象となった。
僕は王の命令で、異世界から召喚された勇者だ。こちらの世界にやってきた時は驚いた。見たこともない町、見たこともない景色、元いた世界の文化がミックスされたような文化。元の世界とこちらの世界は少なからずリンクしているような気がする。
召喚はRPGで見たような、床一面の大げさな魔方陣を用いて、レンガ造りの城の地下の薄暗い部屋で行われた。信じられないことに、ここにはシーリングライトはなく、壁に一定間隔でロウソクが取り付けられていた。本当に、ゲームの中か、僕の知っている中世のようだった。
失敗すると化け物を喚んでしまうこともあるらしく、周囲にはがっつり重装備をした騎士たちや、僕を喚ぶ魔法を発動させた魔術師がいた。
ちなみに僕は召喚されたとき非常にマヌケな姿をしていて、思い出すだけでも赤面してしまう。こちらの世界の人々にとっては僕は異界人なので、特に偏見の目で見られることがなかったのが幸いだ。
うん、上下グレーのだるだるのくたくたなスウェットで、風呂上がりのグシャグシャな髪で黒縁めがねをして、足を机の上に乗せて、ゲーミングチェアにどっかり座って、ポータブルのゲーム機器でがっつりゲームをしていましたよ。それも全力で。変な姿勢で思う存分自堕落にゲームをする、そのことだけに全力でしたよ。しかも漫喫のプレミアムルームだったから最悪だ。華金だから、金・土と泊まるつもりで入った漫喫。パジャマとか諸々持ち込んで、引くくらい準備は万端だった。
恋人には絶対に見せたくない姿だ(いないけどな)。召喚された瞬間は、狩りをするゲームで徹夜までして探し求めた、期間限定の超レア素材がドロップしたまさにその瞬間で、「うおおおおおおっっっしゃ!!!」と右手を上にあげてガッツポーズまでしていた。
自分がめいっぱいのけぞって座っていたゲーミングチェアを中心に、周囲が円状に光りだし、まばたきをした次の瞬間にはこちらに来ていた。驚いて、「へあっ!?」と間抜けな声まで出してしまって、丸っきり、ただのヘタレのゲーヲタだった・・・。そして瞬時に、満喫に置いてきた財布や、やりこみまくった他のゲームを心配してしまった。盗まれてたら困る。
僕はゲーヲタだが、数少ない「文武両道な」ゲーヲタだった。
実のところ、オンゲーのゲリライベントに備えていつでも数日徹夜できるように身体を鍛えてきただけだし、ゲームを買うための資金を稼いだ結果として勉強もできるようになっただけ(満点を取ると小遣いがもらえた)なのだ。
社会人になってからも、貯蓄を除いた可処分所得と平日の就寝までの空き時間、そして休日の大半をゲームに費やした。上司に怯えて有給を取れない・・なんてことを防ぐため、自分の好きなスケジューリングでいつでも休めるよう異例のスピード出世も果たした。重度のゲーム中毒ということを除けば、自分で言うのもなんだが、僕はかなりハイスペックだったと思う。身長は175cmと平凡だったけど。
まぁ、そうなるに至った過程は、当然ひとには言えない。
話は逸れるが、僕は「ヲタク」の「ヲ」の字が気にくわない。なんなんだ?
正直僕自身は紛れもないヲタクなのだが、「ヲ」って、そういう界隈の人をなんか馬鹿にしてないか?発音どうなってんだよ。
ま、よくわかんない怒りは置いといて・・。
とりあえず、僕のことは「ヲタク」で間違いない。ここでも便宜的に「ヲ」を使うよ。
もしも気を悪くされた同志がいたらごめんね。
さて、話を戻そう。続きは次の章だ。