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最弱の救世主


「ゴミの分際で抵抗するのではないである」


 受け身が取れなかったので、「ぐはぁ!」ダメージが背にダイレクトに伝わった。

 ヴァージニアはずり落ち、神木の樹皮が一部剥がれ樹液が流れ出る。

 

「わ、私はゴミじゃないだっちゃ、生きているんだっちゃ……」

「いや、ゴミである。生ゴミである。魔族以外の知的生命体は存在自体が迷惑至極だ」

「皆、皆、いい人達ばっかりだったちゃ。お前らのせいで、お前らのせいで!」


 この無力な自分に腹が立ち、嗚咽を漏らす。下敷きになって死しても守ってくれた仲間の骸の目蓋を降ろした。


「バイ菌は消毒するべきである、ゴミは焼却するべきである」


 ヴァージニアはもう立てなかった。

 いや、「……………………」立つことを諦めたのである。

 読み聞かせを終えた幼子が眠るかのように静かにマナコを瞑った。


「ふん、何事も諦めが肝心。直ぐにあの世に送ってやるのである」

「皆、今行くだっちゃよ」


 金棒をスイカ割りの要領で構えるソンゲン。

 しかし、「パラライカ~~!」妙ちくりんな掛け声と共にヴァージニアをかっさらい横っ跳びする奇人あり。


「何奴だ!?」


 お粗末な盗人はお宝を抱き込み、「ラリホー!」死に物狂いにおむすびころりの要領で幾つもの茂みを貫き、回転、回転、大回転。


「うわぁぁぁぁ!」

「ウキャアァァァァ!」


 今走ってもお互い蟹歩きが関の山と理解している二人は、これが最高の移動手段だと本能に従う。

 気分は下り坂のトロッコorジェットコースター。


 途中見付からない用心に猿知恵発動。

 コースを木々にぶつかりながら軌道修正、タンコブ量産しながらローリング。


「こここ、このまま外へ――」


 ハルトは脱出を思案するも、足が木の根に引っ掛かり、少し離れた木にぶつかって止まった。

 ベルトコンベアの流れ作業で不良品として弾かれた感覚かもしれない。

 最後、穴に落ちればオールミッションコンプリートだったが、これでもヘタレの分際では上出来とも言える。


「……つっ! た、隊長さん大丈夫?」

「いたた、何で隠れていなかったんだっちゃ!?」


 命の恩人に牙を剥く救命対象者。

 胸ぐらを掴むも、疲弊していたので握力がなく直ぐに手放す。

 髪の癖毛で絡みやすいので、見事に色とりどりの木葉でトッピングされていた。

 頭の上で小鳥を飼っていたマリーアントワネットには遠く及ばないが……。

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