努力の結晶
更に上位世界ランカーを三人倒してからは、大物食いも追加。
ヴァニシングライダー ジャイアントキリングと大手詮索サイトやSNSで検索すると大体はハルトへと繋がる。
基本はノーマルパーツとノースキルによる技巧派プレイを信条としていた。
拘りはアニメ第一話で瞬殺されるような量産型雑魚機体で、課金パーツや課金スキルでカスタマイズされたオンリーワンロボをフルボッコにする事。
昔、それで凛を何度も何度もコテンパンにノックアウトして、しまいには大泣きさせた良い思い出がある。
その為、直感型の癖に以外だがデータ収集を怠らない。
ハルトが習慣で纏めているゴッドハルトファイルは、企画した大会優勝記念の動画で公開した時、余裕で一億再生数を突破。
一部の資産家により、密かに売却話が持ち上がった時は一千万円の高額の値段が付く。
断ったが……色々とあったのは割愛。
これもゲーム代以外ノーコストの代わり、労力を惜しまなかった結果だ。
プレイスタイルは基本初期装備による中距離射撃型だが、途中敵の落とした武器により臨機応変に変えられるオールラウンダーでもある。
相手の隙を探して騙して陥れて最後に勝つ。
それとは逆に真性のスキル使いが長瀬凛だ。
バイト代と動画収入は全て課金に注ぎ込み、金にものをいわせてレアパーツや期間限定レアスキルをかき集めている。
だが、それだとただの何処にでもいる重課金者と変わらない。
凛の何が凄いというと、ハルトと同じく、いや、その10倍はデータ収集を怠らないで、徹底的に相性とか特性とか調べあげていた事だ。
己の機体能力だけに頼らないのがポリシーなので、常にスキルと相手機体の相性または効果、世界公式大会の詳細、フィールド情報などが頭に丸々インプットされている。
そうしないと友でありライバルのハルトと、同じ視点、同じ立ち位置を維持出来ないと常に考えているからだ。
プレイスタイルや武器は対戦相手によって変える。
そのさまは千差万別、変幻自在。
その為、敵が幾ら攻略の糸口を掴もうとしても、常に戦い方が違うので事前に対策をとりづらく太刀打ちできなかった。
彼女には知らないことは何もないと噂され、付いたあだ名がヴァニシング・プロフェッサー。
だから、彼女のハンドルネームが『ローレライ・リンドウ』と知っているユーザーはハルトを含め僅か。
そんな二人が出会って紆余曲折の末、ゲーム配信デュオを組んだら、動画で世界中に名前が轟くのは至極当然、至極当たり前だ。