懲りない男
――――暫くクドクドと再びお説教タイム。
体感時間は半日だが、実際は正味三十分ぐらいだ。
生活指導者になりつつあるメガネっ娘は正座を強要。
なので女の敵&チカン野郎は絶賛足の痺れと、砂利のゴリゴリとした刺激からくる肉体疲労と、遥か別世界から送信されてくる罵詈雑言による精神疲労で、合体コンボと昇華し悶絶に云る。
十連だったらKOであったであろう。
言うまでもないと思うが、悲鳴を上げたら色々と敗けなので、内心はパワフルなドラム式洗濯機のような、若しくは太鼓乱れ打ちのような荒々しい心持ちであった。
『全くもう、全然懲りてないんだから。もうちょっと女心を理解しないといつかヴァージニアちゃんに刺されるからね』
「はい、猛烈に反省しております」
本当に殺されても仕方がないと、今回は深く罪を意識していた。
どの世界でも少女を泣かせた罪は重い。
更にもう、反論するパワーも残っていないのだ。
『でも、これ、どうやって関係を修復するの?』
「え?」
『ハルちゃん、誰も疑問符上げろとは命令してない。私が言いたいのは、粉々になった信頼関係を元通りに出来るのかと聞いている。やったからには戻し方も考慮に入れていたんでしょ?』
「……………………」
当事者は何も答えられなかった。
この問い掛けに相応しいベストな回答を持ち合わせていなかったのだ。
あの裸体のヴァージニアが目に入れば、どんな優等生で多感なティーンエンジャーでも、出会ったキタキツネの様に見惚れてしまう。
しかし、偶然が重なったとはいえ、これは罪は罪だ。
しかも貴族の裸体では死罪かもしれない。
そう考えを膨らませると、ハルトは段々自分のやった事の重大さに体温が下がったような気がした。
『はぁ、昨日の今日で何をやっているのかなぁ。パンツ事件ならずっと謝っていれば、光明も差したのに、ノゾキの現行犯じゃ、もし私でも被害者なら只では済まさなかったよ』
「……………………」
女の子の気持ちを分かる凛にも匙を投げられた。
こうしてハルトは絶体絶命とあいなる。
『でも、今はそれよりやることがあるでしょ?』
「ん?」
『ハルちゃんの使命は、ヴァージニアちゃんを助ける事。まずはそれをやり遂げよう。もしかしたらそれで許してくれるかもしれない』
「…………そうだね。そっちの方が大事だ。何としてでもこの戦争を終わらせないと」
ハルトは気持ちを切り替える事にした。
そうする事によりヴァージニアに拒絶された事実を暫くの間だけ忘れようとする。
それだけ嫌われた事に対して怖かったのだ。