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ハルトは攻勢に出る


 深呼吸。

 深呼吸。

 深呼吸。


 十分気持ちをチャージしたので戦線復帰。

 懲りずにもう一度ヴァージニアへ呼び掛けてみようと試みた。 

 諦めがすごぶる悪いのがゲーマーという人種である。

 もしかしたら簡単に許してくれるかもしれない。

 何ていったって大事なパートナー。

 お互いこのフィールドで戦っていくのに欠かせない半身だ。

 それに愛馬と戯れている内に怒りも収まった頃だろう。


「………………………?」


 だが、そう雑念に苛まれていると、ふと口から出たのは疑問を表現する発音。

 何故か帽子が音もなく水面を流れて来たからだ。

 円型で全体的につばが長い。

 色は夜の象徴である漆黒で、横には長めの真っ白い羽が然り気無く違和感無く刺さっていた。

 風に煽られて方向転換を何度も繰り返しながら、まるでUFOのようにフリスビーのように回転。

 狙っていた訳ではなかろうが、結果的にハルトの側で短い旅は終焉を迎え岸へと漂着する。

 

 帽子だ。

 これはどう確認しても帽子だ、かっこ良く表現するとハットだ、と困惑気味に呻く我らが主人公。

 紳士が登場する欧米映画に必ず出てくるタイプ。

 被るがわには黒に対して白いリボンが巻かれている。

 

 しかし、それでも帽子型のモンスターの可能性も否定出来ないので、逃げる事も想定しながら恐る恐る拾い上げた。

 当たり前ながらそれそれの角度で監査を入念に行う。

 生地は肌触りの良い物を使っている。

 陽にかざしても虹色にならなかったからポリエステルは使ってない。

 ただ年季が入っているので綻びが目立っていた。


 そして、改めて謎の物体の鑑定結果を発表。


「うん、これは紛れもなく帽子。帽子以外の何物でもない」


 そう結論付けた。

 ならば次は誰がこの所有物で、何でここへ流れてきたのかという論議に移行する。

  だが、それを推理するまでもなかった。

 何故なら流れてきた方角から、「くしゅん!」可愛いらしいくしゃみ。

 更に貴族の所有物ぽい観点からも男爵の娘ヴァージニア・ウィル・ソードしか適合者がいなかったからに他ならない。


 そこでハルトは思案する。


 これってもしかして、話す切っ掛けになるんじゃないかなぁ。

 会話の良し悪しは途中の流れでも結果でもない、全ては第一印象と第一声に掛かっているんだ。

 

 ――――と、先程から年頃のレディと会話するチャンスを掴めないハルトにとっては千載一遇の好機が訪れたと確信が強まった。

 凛以外の異性と話すのが経験不足なので天の采配。

 ゲーム的に表すとフラグまたはイベントのスイッチである。

 ならば攻勢の時と、静から動へと砂利を踏み締めながらターゲットへと足を進めた。



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